ブロードウェイ戦の超ゴリゴリのお話

投稿日:2024.04.29 / 西野亮廣エンタメ研究所

※この記事の内容は外部に発信していただいて大丈夫です。



 

おはようございます。
世界で一番美味しい食べ物は『クラムチャウダー』じゃないかと思っているキングコング西野です。
#クラムチャウダーよりも美味しい食べ物ある?

さて。
皆さんが気になっている『サンフランシスコ国際映画祭』の結果が出るのは明日なので、今日はブロードウェイ戦の超ゴリゴリのお話をさせていただきます

他では絶対に聞けないオモロイ話です。
 
 

劇場選び
 

今年1月に投資家向けにおこなったプレゼン公演は(準備が本当にドタバタでしたが)結果的には大成功で、ミュージカル『えんとつ町のプペル』はセカンドステージに進みました。

「ファーストステージとセカンドステージは具体的に何が違うの?」という疑問を持たれている方もいらっしゃると思うので、(色々ありますが)分かりやすい違いを一つだけ言うと、

・ファーストステージ=持ち出しで作る
・セカンドステージ=投資家のお金で作る

です。
セカンドステージも、ファーストステージ同様に「リーディング公演(本読み公演)」を繰り返して、作品のブラッシュアップ&作品のプレゼンは続くわけですが、そこにかかるお金は『持ち出し』ではなくて、1月のプレゼン公演で集めた『投資家さんから集めたお金』だったりします。

投資家さんから集めたお金から、トニー賞(ミュージカル界のアカデミー賞)の受賞歴があるようなブロードウェイのクリエイターさん達を雇って、「この作品を、このチームで作ります」というプレゼンを、また投資家さんや、劇場オーナーに向けておこなうわけです。

ちなみに、当たり前ですが「お金を出せばトニー賞の受賞歴があるようなブロードウェイのクリエイターさんを雇える」というわけではなくて、世界中から引く手あまたのクリエイターさん達ですから、まずは作品に惚れてもらわなければなりません。

今年1月のプレゼン公演は実は“そっちのプレゼン”も兼ねておりまして、『ムーラン・ルージュ』のセットデザイナーさん達に観に来てもらっていたのです。
#なので本当に大きな勝負でした

加えて、(プレゼン公演に来られなかった)クリエイターさんや投資家さんを口説くときに、『映画 えんとつ町のプペル』は本当にビックリするぐらいにハマって、「この映画を舞台化します」にメチャクチャ食いついてもらえます。
#映画作って良かった

さて。

そんなこんなでセカンドステージに入ったミュージカル『えんとつ町のプペル』の次の一手として、「ソルトレイクシティの劇場でプレ公演をおこなう」という案が上がっていました。

ここは少し特殊な劇場で、なんと劇場側が制作費を結構出してくれるんです。
「そのかわり、オンブロードウェイ公演が決まって、成功したら、その売り上げを分配してね」という条件付きで。
つまり、劇場が投資をしてくれる形です。

このソルトレイクシティの劇場で、期間限定で公演をおこなって、そこに投資家さんや、劇場オーナーをお招きして、オンブロードウェイ公演を狙おう…という魂胆。

その選択肢も残しつつ、先週は、オフブロードウェイの劇場の下見に行ってまいりました。
ここで考えられるのは…

①オフブロードウェイの劇場で期間限定でプレ公演をおこなって、投資家や劇場オーナーをお招きして、オンブロードウェイ公演を狙う。

②「プレ公演」ではなく、オフブロードウェイの劇場で5年でも10年でも上演するつもりで作る。

の二つ。
ソルトレイクシティの劇場の話を合わせると、三つの選択肢が僕たちにはあったわけです。

そんな感じで、オフブロードウェイの劇場の下見に行ってきたわけですが、「このサイズ(499席)の劇場に対して、ありえないぐらいの美術と照明をブチ込んだら、他を一気に圧倒できる」と勝負師・西野の鼻がビンビンに反応しました。

ここからがもう本当にエグい話(血も涙もない話)なのですが、当然、圧倒的な美術と照明をブチ込むには「予算」が必要で、皆、その「予算」が用意できないから、「想定内の美術と照明」に落ち着きます。

では、「なぜ、予算が用意できないのか?」という話なのですが、その要因の一つに「予算を分散させているから」があります。

「音楽」にも「衣装」にも、あれやこれやにも、予算が必要で、全体のバランスを考えたら、そりゃ、分散させなきゃいけなくなるわけですね。

そんな中、世界のNISHINOがブロードウェイのスタッフに変なことを言いました。

「オンブロードウェイを狙うのは一旦忘れて、オフブロードウェイ公演を本公演としない? 生オケにかける予算を全カットして、その分を『美術』と『照明』に集中させた方が勝てると思う」

ちょっと意味が分からないと思うのでご説明させていただくと、ブロードウェイには『ユニオン』と呼ばれる労働組合があって、その組合の規定で「オンブロードウェイ公演をするなら、オーケストラ(音楽家)を十数名以上雇うこと」というのがあるんです。

音楽家を守るためのルールですね。

当然、それによってランニングコスト(十数名分の給料)がかかるわけですが、決して目を背けてはいけない現実として「観光スポットになっているブロードウェイ作品しか残っていない」というのがあります。

「ミュージカルに、さして興味がない人が集まっている作品じゃないと生き残ってない」という厳しめの現実です。

ここで向き合いたいのは、「ミュージカルに、さして興味がない人」の“耳”です。

ミュージカル好きは「やっぱ、生オケ(オーケストラの演奏)だわ~」「やっぱ、フルオーケストラの音が最高だよね~」と言いますが、「ミュージカルに、さして興味がない人」からすると、生オケであろうが、音源であろうが、どっちでも良いどころか(※劇団四季は音源)、オーケストラの皆さんの姿を見ないかぎり、その違いすら分からない…というのが実際のところ。

「ミュージカルに、さして興味がない人を集めないと、そもそも生き残れない」というルールの中で、オーケストラに大きな予算を割いたせいで、美術セットや照明に予算を割ききれない…というのは一体誰得?

そんな中、オフブロードウェイであれば「音源」が許されています。
#実際に音源でまわしているオフブロードウェイ作品はたくさんあります

それであれば、オンブロードウェイ公演を一旦忘れて、オフブロードウェイ公演に的を絞って、オーケストラにかける予算を全カットして、その分を美術と照明に当てよう…というのが鬼西野の提案です。

これには僕自身がお客さんとして足を運んだ海外のショーが大きく関与していて、身も蓋もない話ですが、僕のようなド素人を前に「音質」は宣伝にならないんです。

先日、観に行った『重慶1949』もTikTokで見つけたのですが、その映像には“TikTokの音楽”がついていて(※アレクサンドロスさんの『閃光』とか)、本当に血も涙もない話なのですがCM(素人の集客装置)として機能しているのは「ビジュアルだけ」なんです。

というわけで、ブロードウェイチームには「こんな感じで、ちょっとエグめに攻めませんか?」と提案してみました。

はたして、どうなるのでしょうか?

また話が進み次第、共有させていただきます。
現場からは以上です。

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