えんとつ町のプペルの世界戦略と、ちょっとだけSDGs

投稿日:2020.09.30 / 西野亮廣エンタメ研究所

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おはようございます。

昨日は山梨にあるサロンメンバーさんの旅館『柳屋』でサロンメンバーさんとの呑み会があったのですが、その呑み会の為だけに、シンガポールから来て、二週間隔離(コロナ対策)を突破してまで呑み来た大バカヤロウがいたことを御報告します。キングコング西野です。

#酒がうめぇと言ってました

#バカすぎる

#天才かよ

さて。

今日は『えんとつ町のプペルの世界戦略と、ちょっとだけSDGs』というテーマでお話ししたいと思います。

「物語を作るときは、思いつきで作っちゃダメだよ」という話を、今から延々としてみます。

 

ジョブを見極める

あらゆるサービスは、お客さんの「ジョブ」を正しく見極めることが、とっても大切です。

「ジョブ」とは、お客さんが抱える「悩み」や「課題」や「成し遂げたい目的」のことです。

たとえば、吉野家に駆け込むお客さんのジョブは「サクッと食べたい」なので、吉野家の隣に「ジックリコトコトと牛丼を作る超高級牛丼店」を作っても競合にはなりません。

吉野家の競合は、「松屋」であり、「富士そば」です。

#たぶん

#知らねーけど

#それっぽいことを言ってるだけだから

駅前の床屋さん「QBハウス」の隣に、オシャレ美容室を作っても競合にはなりません。

お客さんのジョブがそれぞれ違うからです。

#知らないよ

#テキトーに言ってるよ

#マジになるなよ

サービスの本質は「お客さんのジョブを正しく見極め、解決する」に尽きるわけですが、これは何もサービスに限った話ではなく、作品もそうです。

『えんとつ町のプペル』のメッセージは、「信じ抜けば、夢は叶う」です。

ド真ん中ストレートを全力で投げています。

お察しのとおり、今の時代、こんな臭い台詞はなかなか言えません。

笑われて、叩かれるのが目に見えているので。

そして、もう1つ。

「折り合いをつけてしまった人」には、「信じ抜けば、夢は叶う」は言えません。

その言葉に説得力が伴わないからです。

でも、子供達には言ってあげたいじゃないですか?

彼らが挑戦する前から「無理だから、諦めて生きろ」とは言いたくない。

彼らが自身が納得のいく結論を出すまでは、「信じ抜けば、夢は叶う」と背中を押してあげたい。……でも、自分の口からは言えない。

そういった大人(親)の「ジョブ」を解決しているのが『えんとつ町のプペル』です。

要するに、大人が口に出せない気持ちを作品に代弁させているわけですね。

お客さんがプペルバスが走らせたり、お客さんが『えんとつ町のプペル 光る絵本展』を開催したり、『えんとつ町のプペル』の「こどもギフト」が機能している理由が、まさにそれ。

https://salon.jp/child_gift

ただの「いい作品」だと、そういった運動は起きません。

作品を自走させる為には、誰かの「ジョブ」を解決する機能を内包させる必要があるのだす。

#だす

ロングセラー作品は、必ずココ(ジョブを解決する)を押さえています。

 

社会問題とリンクさせる

そういった感じで、作品単体で成立させるわけではなく、個人が抱えている問題を絡める必要があって、メガヒットさせる為には、「社会が抱えている問題」を絡める必要があると思っています。

その時、注意しなければならないのは、「【世界が抱えている問題】と【日本が抱えている問題】は違う」ということです。

たとえば、持続可能な開発目標「SDGs(エスディージーズ)」って、ぶっちゃけピンとこなくないですか?

日本にあるのは「相対的貧困(他の家庭と比べたらウチは貧乏だよね)」であって、「絶対的貧困(もう食っていけない。死ぬ)」ではありません。

生活保護を受ければ、食っていけるんです。

「貧困」や「飢餓」なんて、日本には無いから、「飢餓問題を解決しよう!」と言われても、あまり刺さらない。

品川さんがゲストで来られる次回の『スナック西野』でも、その話になっているのですが、「日本の貧困を描いた作品」なんて、世界じゃ、ほとんど相手にされない。

日本人は貧しくないからです。

日本に住んでいると「ゴミ問題」もピンとこないかもしれません。

日本には、ゴミ山なんてありませんし、海もそこそこ綺麗です。

一方で、日本には「日本ならではの問題」があります。

「閉塞感」です。

TVをつけりゃ、ワイドショーが延々と公開処刑を続けています。

他人の色恋沙汰に40分も50分も時間を割き、「許せない!」と怒り出すコメンテーターまで発生する始末。

大声で夢を語ろうものなら、袋叩き。

海外で言われる「クール」は、日本では「イタイ」に変わり、今日も日本は自殺者を量産しています。

『えんとつ町のプペル』には、日本が抱えている「閉塞感」と、世界が抱えている「ゴミ問題」を内包させました。

日本では「えんとつ町(閉塞感の象徴)」を押し出して、

海外では「ゴミ人間」を押し出す設計にしています。

日本から世界に出ていこうと思ったら、それぞれが抱えている問題が違うので、このように【二つのエンジン】を積んでおく必要があると思います。

社会問題をリンクさせないと、「ただの良い物語」で終わっちゃうよね…という話です。

『えんとつ町のプペル』はこんなことを考えながら作られているわけです。

以後、お見知りおきを。

そして、最後にちょっとだけ……

 

最後にちょこっとだけSDGs

昨日、サロンメンバーの古澤さん(https://www.facebook.com/profile.php?id=100035728685765)と呑んでて、SDGsの話になりました。

彼は今、世界が抱えている問題を日本の皆に知ってもらう活動をしているのですが、「もっと興味を持って貰う為にはどうすれば?」という悩みを抱えていました。

とりわけ、子供達の興味(視線)を「ゴミ問題(海洋プラスチックごみなど)」に向けることが、日本だと、なかなか難しいそうです。

やっぱり、日本は綺麗なので共感しずらいのかもしれません。

こうなってくると、「正しさで人を動かす」ことは難しいので、「楽しさで人を動かす」にシフトする必要があると思います。

そこで、

「映画がヒットした後に、町にプペルのゴミ箱を置いたら、ゴミ箱に視線が集まるので、そのゴミ箱に広告枠を設けて、その広告の売上を清掃活動の費用に回したら、誰にストレスがかかるわけでもなく、皆、楽しみながら、町が綺麗になるんじゃないですか?」

と古澤さんに提案したところ、「プペルのゴミ箱って、こんな感じっすかね?」とチャチャっとデザインをあげてきてくださって、それが最高だったので、皆様に共有しておきます。

このゴミ箱が町にあるといいよね😁

なにより、ゴミを入れたくなる。

現場から以上でーす。
 

【追伸】

サロン記事の感想を呟かれる際は、文章の最後に『salon.jp/nishino』を付けて《本垢》で呟いていただけると、西野がネコのようになつく場合があります。



 

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