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地方創生の成功条件

2021.08.06 / 西野亮廣エンタメ研究所



おはようございます。
「ここから、どうすれば名古屋市長が社会復帰できるのか?」を勝手に考えているキングコング西野です。
#難しい問題が好きです


さて。
今日は『地方創生の成功条件』というテーマで、お話ししたいと思います。

地方創生に関しては、多くの地方が同じ問題を抱えて、同じコケ方をしているので、そのことについて。

 

集客の素人が集客をして、お金の素人がお金を使う地方創生
 

エンタメ畑で働いて、かれこれ20年が過ぎました。
舞台(ミュージカル)を作るにしても、映画を作るにしても、必ずつきまとうのは『集客』の問題で、ここをクリアしない限り、「次」がありません。

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僕は吉本興業に所属していた頃から、「とにかく、企画立ち上げ時のマネージャー(担当)を変えないで」ということを訴えてきました。
#比較的聞いてもらっていた方だと思っています

というのも、『集客』には二つの要素が必要で、その一つが「想い」、そしてもう一つが「技術」だからです。

「想い」が必要なことは説明するまでもありません。

「企画を立ち上げたスタッフ」と、その企画を「届けるスタッフ」が入れ替わってしまうのは、やはり具合が悪くて……後から配属されたスタッフからすると「他人が作った作品を届ける」という任務にあたることになるので(※それでも前々からその作品のファンだったら問題ないですが)、どうしても「お金を貰っているから(仕方なく)やっている仕事」に近づいてしまいます。

四六時中、作品を届けることを考えている“立ち上げスタッフ”とは、「届ける熱」が全然違うんですね。

そして、重要なのは二つ目です。

『集客』は「才能」などではなく、「技術」だということです。
「知っているor知らない」「やったことがあるorやったことない」で、結果が大きく変わります。

「クラウドファンディングを絡めて、映画の観客動員数を1万人増やしてください」という課題を出されたところで、クラウドファンディングをやったことがない人にしてみれば、「どんなプレゼン文章が刺さるのか?」「どんなリターンを用意すればいいのか?」「リターンの金額設定はどうすればいいのか?」を、いちいち全部知らないんですね。

なので、結果、あてずっぽう(※「大体こんな感じかな?」)になり、 支援が集まらず、人が集まらない。

「素人あるある」でいうと、「BASEでチケットを出しといて」という指示を出した時に、BASEでチケット販売ページを作ったはいいものの、「BASEのWebページ」ではなくて、「BASEのアプリページ」のリンクを、お客さんに案内してしまう。

これだと、「BASEのアプリ」をダウンロードしていない人は、ページを開くことができません。

「『WEBページ』のリンクを貼らないと機会損失になる」という、インターネットの取扱い説明書の1ページ目に書いてあるような情報ですら、素人は簡単に見落とします。

同じく、“お金の使い方”も「技術」です。

「どこに、いくらかければ、どれだけの効果があるか?」を“知っている”優秀な経営者に1000万円を渡せば、サクッと1億円にしてくれますが、右も左も分からない素人に1000万円を渡したら、増やすどころか、数億円の負債を作ることもあります。
東京五輪の開会式で160億円を溶かした惨劇を、皆さんも見られたでしょう?
素人に任せると、ああなります。

地方創生で、各地方がやっちゃっている(まったく同じ)ミスは、集客をしたことがない素人が集客をして、「集客に繋げるお金」を使ったことがない素人が「集客に繋げるお金」を使っている点です。

キャラクタービジネスなどやったことがないオジサン達が、「このキャラクターかわいいねぇ」と言って、税金をブチ込んで、秒速でお金を溶かします。
一度決めてしまった「売れないキャラクター」は負債となります。

売れないキャラクターを押し出す為に広告費が割かれ、スタッフの大切な時間が奪われ、そして売れません。

我が町「川西市」では、誕生以来、一度も支持されたことがない「きんたくん」というキャラクターが、今日も市民の税金をバクバク食べています。
皆さんの町にも いるでしょう?
税金を食べるマスコットキャラクターか、金メダルを食べる市長が。

僕らの会社は、予算が大きめのプロジェクトをたくさん取り扱っていますが、社員(インターン生)には、100円、10円単位で計算するように、そこそこ厳しく伝えています。
「どうして、この商品が300円じゃなくて、400円なの? 意図を聞かせて」といった感じで。

素人がF1カーを運転すれば死人が出るように、
素人が「集客」をすれば、素人が「お金」を使えば、事故が起きて、食いっぱぐれる人が発生してしまいます。

 

ならば、地方創生はどうすりゃいいの?
 

「それならば、地方創生はどうすりゃいいの? 」というところですが、結論、「プロに任せる」が一番イイです。
「自称プロ」ではなく、「結果を出しているプロ」です。

『御船山』という地元の名所をチームラボに委ねた佐賀県(武雄市)の判断が、とても良い例で、「才能を依怙贔屓する」が基本的な打ち手になってくると思います。

「才能」というのは引く手数多で、依怙贔屓されないのであれば、そこと手を組む必要がありません。
なので、「一般市民であろうが、ものすごーい才能であろうが、平等に扱います」というスタンスの地方は潰れるでしょう。

ただ、「才能を依怙贔屓してお招きする」だけでは、まだ弱い。

それというのは、地方創生イベントでよく見られる、「税金を使って、東京から人気タレントを呼んで、イベントを盛り上げる」と同じで、たしかにギャランティーも発生して依怙贔屓されてはいるんだけれど、タレントさんからすると、「フロー仕事(日銭を稼ぐ仕事)」でしかなくて、ぶっちゃけ、その後、その町が廃れようが痛くも痒くもないんです。

当然、地方創生イベントに参加したタレントが、翌週も、翌々週も、1ヶ月後も、半年後も、一年後も…自身のブログで、地方創生イベントでお世話になった地方の宣伝をするようなことはありません。

これはタレントが薄情なわけではなく、“そういう契約だから”です。

では、才能を依怙贔屓して、才能に関わり続けてもらう(宣伝し続けてもらう)には、どうすればいいのか?

答えはシンプルで「才能に、『地元の株』を持たせる(買わせる)」です。
「地元が盛り上がれば盛り上がるほど、才能が得をして、廃れれば廃れるほど才能が損をする」という関係を作ることが重要です。

『御船山×チームラボ』がコケればコケるほど、チームラボのブランドに傷がつく(チームラボが次の仕事を生みにくくなる)ので、チームラボは御船山を宣伝せざるをえません。
極めてフェアな関係です。

地方創生に本気で取り組むのであれば、「株式会社」の町づくりを進めることが重要で、僕は「実践家」ですので、まずは自分が最初にやってやろうと思って、CHIMNEY TOWNの事業とは別で“個人で”川西の土地を買いました。

ここに僕の(えんとつ町の)家を建てて、売れたら、その売上でまた川西と土地を買って家を建てます。
当然、売れなかったら、「ただただ西野の財布からお金が出ていった」という状態になるので、僕は積極的に宣伝をするでしょう。

地方に対して私財を投じる(リスクを背負う)ことが、地方との「株式会社的な繋がり」を生むと思っていて、グイグイ進めている最中…

昨日(ニシノコンサル)で、とある地域のサロンメンバーさんから、とある物件を進められて、面白そうなので「共同購入」する方向で話を進めてみました。

共同購入した以上は、僕はそのサロンメンバーさんと二人三脚て、購入費の回収にあたるでしょう。
それがそのまま、その地域の盛り上げに繋がるわけで、「地方のサロンメンバーさんと物件を共同購入」は今後の可能性として、全然ありそうだなぁと思っています。

購入が確定したら、また、このサロンでお知らせして、そこからの地方創生の様子も共有していこうと思います。

以上、“口だけではない男”が現場からお届けしました。


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