おはようございます。
夜中二時に下関の港を徘徊しているキングコング西野こと、ほぼ幽霊です。
さて。
今日は『常設劇場を作る夢』というテーマでお話したいと思います。
さっそく本題です。
ずっと夢見ていた
昔から常設小屋(専用劇場)を作るのが夢でした。
『キャッツ』や『ライオンキング』、ラスベガスにあるシルク・ドゥ・ソレイユの劇場…などなど。
その作品の為だけに作られた建物の中に、その作品を観ることだけを目的としたお客さんが胸を踊らせながらゾロゾロと入っていく。
そんな光景に憧れていました。
僕がブロードウェイを追いかけている理由もそれ。
ブロードウェイではお客さんが入り続けるかぎり終わりがこないので、作品がロングランに突入すると実質「常設小屋」として機能します。
「ヒットしたら常設小屋になる」というのは日本には無いシステムで、今もその夢を熱っぽく追いかけています。
常設小屋を作るのは本当に難しくて、当たり前の話ですが、劇場のランニングコストを上回る売り上げを出し続けなければいけません。
お客さんを入れ続けなければいけません。
「365日お客さんを入れ続ける」というのは奇跡のような話で、どの糸を引けば、その奇跡が近づいてきてくれるのか、まるで分かりませんでした。
そんな中、昨日、急に『ボトルジョージ・シアター』が誕生しました。
コマ撮り短編映画『ボトルジョージ』を観る上では、この上ない環境で、『ボトルジョージ』を上映する為にスナックCANDYを作ったみたい。
シミュレーションをすればするほど、スナックCANDY以外で『ボトルジョージ』を上映し続けることは不可能で(※移動時間に対するサービス提供時間の問題)、スナックCANDYで上映する為に『ボトルジョージ』を作ったみたい。
「お金が無いから」とか「上映する映画館が無いから」といった運営の都合で『ボトルジョージ・シアター』が出来たわけではなく、お客さんの満足度の最適解が『ボトルジョージ・シアター』というのも最高。
堤監督との始まり(ボトルジョージ生誕の地)がスナックCANDYというのも、あまりにも出来すぎた話だ。
生まれて始めて作った常設小屋は思っていたよりもずっとずっと小さかったけれど、ずっと見ていた夢がある日突然叶いました。
僕は、これを再現性の無い夢物語にはしたくないので、この偶然が起きるまでの間に準備していたこと、そして、我慢していたことを整理しておこうと思います。
可能性を残した
これはたぶん11月5日の新宿バルト9である松本プロデューサーとの対談イベント(※メインイベントは『こまねこのかいがいりょこう』の上映会)でも話すことになるかもしれませんが、『ボトルジョージ』の製作を進めている間も、堤監督や松本プロデューサーはずっと「予算回収」のことを考えてくださっていました。
3人で呑みに行っては「あーでもない、こーでもない」と頭を抱えていたわけですが、お二人的には、「製作費を出しているCHIMNEY TOWNの負担を少しでもラクにしてあげなきゃ」という想いがあったのだと思います。
予算回収のアイデアや作品を届ける為のアイデアはたくさん御提案いただいたし、その中のいくつかは今も(先々の)選択肢の一つとして残っています。
映画祭に行くと、いろんな人が、いろんな話をくれました。
「ウチはショートムービー専用の配信サービスをやってまして…」とか、「○○の映画館はショートムービーに理解があって…」とかとか。
皆さん、本当に優しくて、少しでも予算を回収する為に、一人でも多くの方に届ける為に、たくさん提案してくださいました。
その時の僕の反応はというと、「う~ん…」「もうチョイ、待ちましょう」と冴えない返事を繰り返すばかり。
おそらくスタッフさんだけじゃなくて、お客さんも、「…あれ? 西野、何もしねーな」と思ったでしょうし、なんなら「もう『ボトルジョージ』に飽きたの?」と思った方もいらっしゃったかもしれません。
自分の中では、何もする気が無いなんてことは1ミリも無くて、ただあったのは「机の上に並んだ手札を切っても、大きなウネリが生まれないまま終わりそうな気がする」という違和感でした。
2~3日前のVoicyでもお話しさせていただきましたが、その時点でやれることは「大きく化ける可能性を残しておくこと」で、DVD化したところで大きく化けないだろうし、むしろDVD化してしまった時点で(多くの人の手に渡った時点で)「大きく化ける可能性」を潰してしまいかねないと思ったので、途中まで進めていたDVD化も制作をストップさせました。
その結果、「まったく動かないヤツ」「『やらない』としか言わない製作総指揮」になってしまったわけですが、だけど、皆で大切に大切に作った作品なので、無難なところには着地したくなかったのです。
化ける可能性を潰してしまう選択肢を潰し、一番面白い答えを「どこだ?どこだ?」と四六時中探して、全然見つからなくて、それでもシブとく探した先に、一番面白い答えがコロンと落ちていました。
しかも結構身近に。
でも今になってみると分かるんです。
『ボトルジョージ』を配信にはせず、『ボトルジョージ・シアター』という体験に全振りできた(そこに価値を覚えた)のは、
「もはや、サクって買えてしまうものは思い出に残らないよね」
という話をした絵本『夢幻鉄道』の思考実験を通ったからだと。
『能勢電鉄の終点(妙見口駅)でしか売っていない絵本』というアレです。
今回の『ボトルジョージ・シアター』は、あの日の寄り道が手繰り寄せた答えであることは間違いありません。
あれが無ければ、「もっと皆が見やすい場所で上映した方がいいんじゃない?」という思考のままだったでしょう。
挑戦を続けていると、いつも思うことがあります。
僕はよく挑戦を「星座」に喩えますが、最後の最後の点と点を結ぶ瞬間(星座を作る瞬間)というのは、やっぱり「偶然」で、「イイ感じの場所」に点(星)が無いと綺麗な星座は描けないのですが、ただ、その偶然の確率を上げるのは「点の数」で、丁寧にたくさん点を打たないと偶然は始まりません。
今回の『ボトルジョージ・シアターが生まれるまで』は、そのことが顕著に表れたんじゃないかと思います。
たくさんの人に愛される作品になりますように。
現場からは以上です。
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