おはようございます。
『天才万博』で慣れないエアギターに挑戦してしまい、「そんなとこに筋肉あったの?」というところが筋肉痛になっているキングコング西野です。
さて。
今日は現在執筆中のビジネス書『夢と金』の原稿(ラフ)の一部を共有したいと思います。
こういうことができるのは今だけなので❤️
「自分の商品を高く買ってもらう為にはどうすればいいか?」というブロックから一部抜粋。
以前、サロンで共有させていただいた記事にチョイと手を加えた内容です。
もちろん、ここから手直しはしますが、手直し前のホヤホヤの原稿をお楽しみください。
どうぞ!!
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『正しさ』にかまけるな。惚れさせろ。
僕らのチーム(CHIMNEYTOWN)の話を少しだけさせていただくと…現在、『YS-11』(第二次世界大戦後に初めて日本のメーカーが開発した旅客機)をロビーに展示する〝一棟貸しのホテル〟の計画を進めている。
(※機体はヤフオクで購入したよ)
機体を一時解体&運送する段階で、機体を停めていたスリランカが経済崩壊するなど、様々なトラブルに見舞われながらも、スタッフ一同めげずに頑張っています。
『森のひこうきホテル』と名付けたそのホテルは「一棟貸しのホテル」なので、ターゲットは「富裕層」になるんだけど、兵庫県川西市の貧乏人である僕は、大人になるまで「富裕層」に触れたことがない。
富裕層の生態系を知らずに、当てずっぽうで富裕層向けサービスを展開したところで、スベり倒して、ハゲ散らかすことは明らかだ。
富裕層向けのサービスを作るには、富裕層が普段利用しているサービスを知る必要がある。
というわけで、格安宿から超高級ホテルまで、国内外のホテルを泊まり歩いてみたんだけど、そこで見たのは、「宿泊料金が上がれば上がるほど(高級宿になればなるほど)、『機能』と『値段』が相関しない」という現実だった。
「だんだんと値段に機能が比例しなくなってくる」と言った方が分かりやすいかな。
たとえば、一泊5千円の宿と一泊1万円の宿の『機能』は明らかに違う。
5千円の宿は「トイレが他の客と共有」だったりするが、さすがに1万円の宿になってくると、部屋にトイレがついてくる。
一泊1万円の宿と一泊2万円の宿の『機能』も違う。
1万円の宿はユニットバスだけど、2万円の宿になってくると「風呂」と「トイレ」は別だ。
最初のうちは、『値段』に合わせて、『機能』もグレードアップしていくんだけど、どっこい、「一泊5万円の宿と一泊10万円の宿の違い」を探すのは難しい。
どちらも当たり前のように「風呂」と「トイレ」は別だし、どちらのベッドもフカフカだし、どちらもアメニティーは充実している。
値段が二倍になったからといって、部屋の広さが二倍になるわけでもなけりゃ、ドライヤーの馬力が二倍になるわけでもない。
そりゃそうだ。
ベッドのフカフカ具合には限界があるし、部屋面積にも限界がある。
これ以上、『機能』を上げようがない。
そして、ここから値段が上がれば、さらに『機能差』が分かりにくくなる。
残すは「快適さ」「居心地の良さ」といった目には見えない「感情部分」だ。
超高級ホテルはこの「感情部分」で他との差を生み、値段に納得感を生んで
いる。ここでも、やはり「機能」ではなく「意味」だ。
「正しいサービス」よりも「惚れるサービス」
そんな中、とても勉強になったことがあったので共有しておくね。
都内にある超高級ホテルに泊まった時のことだ。
超高級ホテルの正体を知るには一日では足りなさそうだったので、僕は三日間ほど予約してみた。まぁ、勉強代。
初日。
部屋に通され、さっそく仕事をしようと思ったら、スマホの充電器を自宅に忘れてきたことに気がついた。
一晩ぐらいなら乗り切れそうだけど、今日から三日間お世話になる。
これでは仕事にならない。
僕は大きく溜め息をこぼし、近所のケータイショップを検索した。
どうせ充電器はすぐに寿命がくるし、スペア用に買っておこうと考えたわけだ。
ところが、そのケータイショップは、歩くと遠く、タクシーを拾っていくほど遠くない位置にある。
これではタクシー代が勿体無いし、それに、こんなことでタクシーを使ったら、「充電器を忘れた」というミスが際立ってしまうので、負けじゃん(#負けなのか?)。
スマホを閉じて、もう一発溜め息をこぼした後、「ホテルのフロントに言えば貸してもらえるかも」と考えた西野は、すかさずフロントに連絡を入れて「スマホの充電器を忘れて困ってるんです。お貸りできますか?」とお願いしてみた。
そこから、ものの1〜2分で充電器を持って来てくださり、飛んで喜んだ西野は「ありがとうございます!助かりましたー!」とホテルのスタッフさんに何度も頭を下げた。
おかげで、そこから三日間は実に快適に過ごすことができましたとさ。
さて。
これは「充電器を忘れたことお客さんの為に予備の充電器を用意していたホテルってイケてるよねー」という話じゃない。
僕が気になったのは、「僕がスマホの充電器を忘れたお客さん第一号なわけがない」という点だ。
過去、数百人、数千人のお客さんが、スマホの充電器を忘れ、そして、僕と同じようにフロントに駆け込んできただろう。
ならば、最初から部屋の中にスペアの充電器を置いておけばいいじゃないか?
実際、部屋の中(鏡台の前など)にスペアの充電器が置かれてあるビジネスホテルは少なくない。
「配慮が行き届いているサービス(正しいサービス)」は、明らかにそっちだ。
だけど、どうだろう。
僕がスマホの充電器を自宅に忘れたことに気がついたあの時。
部屋の中にスペアの充電器が備えてあったら、僕は溜め息を溢すこともなく、感情の針を動かすことなく、そのまま三日間を過ごしていただろう。
ホテルのスタッフさんとコミュニケーションをとることもなければ、ホテルのスタッフさんに救われ、感謝することもない。
あの時、僕は一度谷に落ちた。
そこにホテルマンが颯爽と現れ、救いの手を差しのべてくれて、僕を谷から引き上げてくれた。
そもそも「谷」などなければ、僕が谷に落ちることもなかったわけだが、だけど僕の目にはそのホテルマンがヒーローに映った。
「この人(この人が働くホテル)に何かの形で御礼をしたいな」と思った。
それは「恋」に近い感情だ。
「不自由のない正しいサービス」と「不自由があるが惚れるサービス」。
より高い値が付くのはどっちだ?
「恋」を設計する
このホテルの話をした時に、高級ホテルオタクであるマネージャーが「実は私も…」と、こんな話を聞かせてくれた。
彼女が海外の高級ホテルに泊まった時のことだ。
決して安くないホテルなので、「このホテルに泊まるのは三日だけ」と決めていた三日目のこと。
部屋の中に鍵を忘れてしまい、部屋のドアが開けられなくなってしまった。
仕方がないのでフロントまで行き、スペアキーを貰おうとしたところ、「本人確認」を求められたそうだ。
そこで彼女は、パスポートを見せて、無事にスペアキーを手にして、部屋に入ることができた。
その夜。
部屋の呼び鈴が鳴り、出てみると、「一日遅れてすみません。お誕生日おめでとうございます!」とホテルマンが小さな誕生日ケーキを持ってきてくれたという。
たしかに昨日は彼女の誕生日だったが、なぜ、昨日が誕生日だと分かった?
考えられるのは一つ。
フロントでパスポートを出したあのタイミングだ。
そこで、「誕生日」に気がついたスタッフが、すぐにケーキを買いに走ったのだろう。
高級ホテルからすると、たかだか1500円程度のケーキだ。
それでも、その気持ちが嬉しかったマネージャーは、「あ~ん、もう、好き!!」となり、その場で、もう一泊することを決めたらしい(笑)。
「海老で鯛を釣る」を絵に描いたような話だけど、ここで富裕層を捕まえたのは「正しいサービス」ではなく、「惚れるサービス」だ。
キミの商品を高く買ってもらいたいのであれば、「機能」に酔うな。
「正しさ」にかまけるな。
「感情」はプライスレスだ。
人が惚れる立ち振る舞いを学び、心を奪え。
『夢と金』(幻冬舎)より
【追伸】
「https://salon.jp/nishino」を付けて今日の記事の感想を呟いていただけたら、西野がエゴサーチで見つけ出してニヤニヤします。
宜しくお願いいたします。
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