テイラーバートン(第3稿)
もっともっと文章をスッキリさせたいです。
「こうした方がスッキリ(短く)なるよー」というところがあれば、教えてくださーい。
「続いてのニュースです。
昨夜未明、世界最大のブルーダイヤモンド『テイラー・バートン』が盗まれました。
現場には一輪の赤い薔薇が残されており、これらの手口から、警察は『怪盗13号』の犯行とみて捜査を進めており…」
♯1【騒然となる美術館。現場には一輪のバラ】
《タイトルページ》【テイラーバートン】
怪しい地下アジトの中、怪しげな男たちが話しています。
「さすがオイラたちのボスだっぺ。テイラーバートンは怪盗13号が盗んだことになってるっぺ」
「おい、とっとと部屋を片付けろよ!
こんな部屋をボスに見つかったら、タダじゃすまねえぞ。この犬を最後に檻に入れたのはお前だろ?」
「『犬』じゃない。『サリー』だっぺ」
目を話した隙に、ボスの愛犬の『サリー』が檻から出て部屋を散らかしてしまったようです。
カンプントンは シブシブ 掃除屋に電話をいれました。
♯2【マフィアの地下アジト。散らかっている。犬を抱くカンプントン。赤ワインを飲んでいるチンプントン。テレビ画面の中は騒然となる美術館】
カンプントンがひらめきます。
「いいこと思いついたっぺ!
怪盗13号が盗みに入って部屋を荒らしたことにするっぺよ。ボス達が『テイラーバートン』を盗んだ時みたいに、怪盗13号の仕業ということに」
「あのな……怪盗13号はスマートな泥棒なんだ。一輪の赤い薔薇を置く以外は現場に痕跡を残さねえんだよ」
部屋は、この散らかりっぷり。
どうやら、ボスが戻ってくるまでに部屋を片付けるしかなさそうです。
♯3【散らかりまくった部屋に呆れるチンプントンとカンプントン】
ほどなく 掃除屋がビルに到着。
入り口の見張り番に止められていると連絡があり、カンプントンが部屋を出ていきました。
次の瞬間、チンプントンの表情が変わります。
♯4【電話をしながら階段をのぼっていくカンプントン】
チンプントンは何者かと話し始めました。
「応答セヨ、応答セヨ……やはり我々が睨んだとおり、『テイラーバートン』を盗んだのはマフィアの連中だった。探すのに苦労したぜ。
おかげで、ちょいと部屋を荒らしちまったかな」
チンプントンは、飴で出来た偽物の『テイラーバートン』をポケットから取り出して、隠し扉の中に入れました
「本物はあの犬に飲み込ませた。散歩の時にウンコをするから、そのウンコを回収してくれ。テイラーバートンは、そのウンコの中にある」
本部への受け渡し方法を伝えるチンプントン。
なんと彼の正体は潜入捜査官だったのです。
♯5【チンプントン、腕時計のアンテナを伸ばして、通信している。壁にかけられた額縁の裏のスペースに偽物のテイラーバートン。サリーのお腹が青く光っている】
掃除屋のスーザンが到着しました。
「あらまあ、こんなに散らかって。いったい、誰の仕業ですか?」
「このバカ犬だよ。檻もクセぇから、全部まとめて洗ってくれ。これだから嫌いなんだよ、バカ犬は」
「バカ犬じゃないっぺ。『サリー』だっぺ!」
日頃からサリーに対する愛情が感じられないチンプントンに、カンプントンはイライラ。
♯6【ゲージ《オリ》を持って、サリーを抱いて、階段を上ろうとするスーザン。スーザンは太っちょのオバちゃん】
「ボスが帰ってくる前に片付けねえとな…」
ボスは今、同じビルの屋上で開催される舞台女優のイベントに行っています。
「しかし、あの天下の舞台女優がこんな田舎の町に来てくれるなんて、どういう風の吹きまわしだろう?」
「ワン、ワン」
階段の上から、サリーの鳴き声が聞こえてきます。
♯7【部屋を片付けながら、階段の上を見るチンプントンとカンプントン】
スーザンがバタバタと降りてきて、叫びます。
「サリーが逃げちゃいました」
♯8【顔面が完全に真っ青のスーザン。ゲージだけを持っている】
「おめぇ、何してるっぺえ!!」
「ボスの愛犬だぞ!!」
「サリーちゃんが珍しく咳をして苦しそうにしてたもんでつい…」
「咳だっぺか?」
すかさずチンプントンが割って入ります。
「そっ、そんなことより、犬を逃したことがボスにバレたら殺されちまうぞ」
スーザンは、サリーを追いかけようとしますが、チンプントンは許しません。
「あの犬が戻るまで、お前をここから出すわけにはいかねえ」
♯9【掃除屋を怒鳴りつける二人】
サリーはカンプントンが探しに行くことになりました。
それにしても、さっきから部屋が臭います。
「サリーちゃんが少しゲロを吐いちゃって。それが私の手に…」
「え? あの犬、吐いたの?」
「ええ。液体を少しだけ」
「液体だけ? ほ、ホントに液体だけ?」
「はい、液体だけです。何か変なモノでも口にしたんですかねぇ?」
「しっ、知らねえよ!お前は考えなくていいから、早くその手を洗ってこい!」
♯10【階段を登っていくカンプントン。トイレに行くスーザン】
「応答セヨ!応答セヨ!緊急事態!大変なことになった!
テイラーバートンを飲み込んだ犬が逃げた。
我々がテイラーバートンを紛失したとなったら大問題だ。
総力をあげて、なんとしてでもあの犬を探し出す」
そしてチンプントンは、ある作戦に出ました。
「超能力捜査官『ホイ・コーロー』をコチラによこしてくれ!」
なんと 超能力でサリーを探そうというのです。
♯11【腕時計のアンテナを伸ばし、トイレを背にして、本部と交信するチンプントン】
「ん? 誰かと喋ってました?」
「ひとりごと」
地下アジトにカンプントンが戻ってきました。
「サリーが見つからないっぺぇ〜。このままだとオイラたち、ボスに殺されるっぺぇ」
その時、スーザンがとんでもないことを言い出しました。
「怪盗13号のシワザにしちゃいません?」
♯12【トイレから出てくるスーザン。階段から降りてくるカンプントン】
「テイラーバートンが盗まれた事件も怪盗13号のシワザということになってますけど、あれ、他の泥棒の可能性もあると思うんですよねぇ。
そんな感じで、怪盗13号がサリーちゃんを誘拐したということに」
チンプントンとカンプントンが慌てて話をそらします。
「な、なんで怪盗13号が犬を盗むんだよ」
「そ、そうだっぺぇ。それに肝心の赤い薔薇もないっぺぇ」
怪盗13号の犯行現場には赤い薔薇が不可欠です。
「大丈夫。まもなく強力な助っ人が来てくれる」
♯13【三人で話す】
やって来たのは超能力者のホイ・コーロー。
ホイ・コーローは、机の上に置いてあったカンプントンの財布に手を当てて言いました。
「340円」
カンプントンが財布の中身を確認すると、340円が入っていました。
「すごいっぺぇ!」
「ワタシの手は全てお見通しネ。今回の御用件は何アルか?」
「サリーを探して欲しいっぺぇ」
カンプントンがホイ・コーローにサリーの写真を渡します。
「この場合は、透視能力とテレパシー能力の二つを使うアルネ。さっそく呼びかけてみるアルヨ」
♯14【ホイ・コーロー、サリーの写真を持って、透視】
ホイ・コーローは写真に手を当て、ゆっくりと目を閉じます。
まるで、写真から情報を抜き取っているようです。
そして、ホイ・コーローはゆっくりと目を開けて、言いました。
「わからないネ」
♯15【白旗をあげるホイ・コーロー】
「てめぇ、何しに来たんだよ!」
「ワタシ、『犬』を探すのは始めてネ」
「どうすんだよ!あのバカ犬が戻ってこないと、俺たち殺されるんだぞ!」
「館内放送で呼び掛けてみてはどうアルか?」
「ボスに聞かれるだろ!」
「ちょっと待つっぺえ。いいこと思いついたっぺぇ!」
皆の注目がカンプントンに集まります。
「女優を誘拐するっぺ」
♯16【胸ぐらを掴まれる東郷。一人冷静なカンプントン】
「女優を誘拐して、彼女のホームページで呼びかけてもらうっぺぇ。ボスは携帯電話を持ってないから、呼びかけていることはボスにはバレないっぺぇ!」
だけど、女優を誘拐してしまうと、ボスが楽しみにしているショーを潰してしまうことになります。
「呼びかけるのなんて、数分だっぺぇ。その間だけ、誰かがステージを盛り上げて時間を稼いでくれたらいいっぺ」
「だけど、そんなことできるやつが、どこにいるんだよ」
チンプントンが言った瞬間、皆の視線が一人の男に集まりました。
♯17【顔を寄せ合い、相談し合う一同】
「おかしいアルヨォー!
ワタシ、そういうことをする為に来たんじゃないアルヨ!」
「ささ、ホイ・コーローさん、あなたの出番ですよ」
チンプントン達が声を揃えて言いました。
「『天才 ホイ・コーローのビックリ超能力ショー!』」
エレベーターのドアが閉まり、ホイ・コーローは屋上へ消えていきました。
♯18【嫌がるホイコーローをエレベーターに乗せるチンプントン】
ホイ・コーローと入れ替わりで降りてきたのは、大人気女優の○○。
イベントスタッフのフリをしたチンプントンに、いとも簡単に誘拐されてきました。
「あなた達何者?」
♯19【エレベーターから降りて来たのは女優】
チンプントン達は、一から事情を説明しました。
「なるほど、分かったわ。私のホームページで『サリーちゃん』のことを呼び
かければ良いのね。でも、一つだけ問題が…」
「何?」
「ここにくる途中に携帯電話を落としてしまったの」
♯20【話い合う面々】
「私、行ってきます!」
すかさずスーザンが名乗りを上げました。
「お前、そのまま逃げるつもりだろ!俺も一緒に行く!」
チンプントンとスーザンは屋上へ向かいました。
「まかせたっぺぇ〜」
♯21【エレベーター前で顔を見合わすチンプントンとスーザン】
二人きりになったカンプントンと女優。
おやおや? なんだか様子が少し変です。
「ところで川嶋くん、『ケータイを落とした』というのは?」
「ワザとですよ。こうやって先輩と二人になる為に」
「すぐに見つかったりはしないかね?」
「見つかりにくい場所に置いたので、少しは時間が稼げると思います」
「それでこそ○○大学ミステリー研究部のエースだ」
「流れは全て把握しています」
ソファの裏側には盗聴器が仕掛けられていました。
なんと 女優は、屋上の楽屋で、この地下アジトのやりとりをずっと聴いていたのです。
♯22【カンプントンは盗聴器を取り、女優はヘッドフォン】
「ホームページで呼びかける為に誘拐とは考えましたね」
「私がこのビルを出る時は必ず持ち物チェックが入る。だから、テイラーバートンはキミが屋上に持っていって、そこから外に持ち出してくれ」
どうやら、この二人もまた、テイラーバートンを狙った一味のようです。
♯23【女優、絵の裏にある(偽の)テイラー・バートンを取り出す】
エレベーターからチンプントンとスーザンが降りてきました。
「急いで呼びかけましょう」
女優はホームページで迷子犬の呼びかけをすると、さっそく返信が入りました。
「きたわ!」
♯24【エレベーターから降りてきて、女優にケータイを渡すチンプントンチンプントン】
そこには『サリー』によく似た犬の写真。
しかし よく見ると首輪の色が違います。
「保護してすぐに首輪をかえるとは思えないっぺぇ」
「たしかに。一旦、この子でいきます?」
スーザンの発言に皆、目を丸くします。
「この子の首輪を付けかえて、もしも『サリー』が見つからなかったら、そのままこの子に『サリー』になってもらえば…ね?だって私達の命が
かかってるんだから」
そのときです。
「バカヤロォーッ!!!」
チンプントンが怒鳴り声をあげました。
♯25【ケータイに群がる一同】
「サリーじゃなきゃダメなんだよぉー!
どれだけ似てようが関係ない!
大切なのは中身だろうがぁ!」
突然、サリーへの愛に目覚めたチンプントンに、皆、ビックリ。
女優も続きます。
「そうよっ!外見じゃないわ!大切なのは中身よ!」
「そうだ!中身が大切なんだっ!」
そんな中、エレベーターのドアが開きました
♯26【怒鳴りちらすチンプントン、驚く一同】
出て来たのはホイ・コーロー。
「やれるだけのことはやったアルヨ」
見るからに、客席を盛り上げてきたようす。
「ワタシ、これ以上は時間を引っ張れないヨ」
ボスや観客達は、女優の登場を 今か今かと待っているのです。
その時、携帯電話にコメントが届きました。
♯27【エレベーターから降りてくるホイ・コーロー。白いバラの首飾りやら、お土産や、キスマークなど。ケータイを握る女優】
「『サリーちゃん、あずかってます』だって!」
間違いありません。今度は正真正銘のサリーです。
「よっしゃあぁぁ!!」
雄叫びをあげるチンプントン。
カンプントンはサリーを迎えに行きました。
♯28【女優、携帯の画面を皆に見せる。一同、狂気乱舞。カンプントン、階段を上っていく】
無事に戻ってきたサリーが戻ってきました。
ビルの前の○○屋さんが保護してくれていたようです。
「かわいい犬アルねー。抱っこさせてもらってもいいアルか?」
♯29【カンプントン、犬を連れて帰ってくる】
「これで心おきなくステージに立てるわ」
もうすぐイベントが始まる時間です。
「あのぉ、お願いがあるんですけどぉ~、サリーちゃんと一緒にステージに立ちたいなぁ〜」
女優が突然、おねだりを始めました。
「ボスの愛犬だしぃ、ボスも喜んでくれると思うんだけどなぁ〜」
女優の頼みとはいえ、さすがにそれは…」とチンプントン。
ところがホイ・コーローがチンプントンを止めます。
「いいアルよ。サリーを連れてっていいアルよ」
♯30【サリーを抱いているホイ・コーロー】
「というわけで、イベントに行ってきます、先輩」
「うむ。しっかり、やってくれたまえ、川嶋くん」
「あ、そうそう。先輩、甘いもの、お好きでしたよね?これ、よかったらどうぞ」
女優が胸から偽物のテイラーバートンを取り出して、カンプントンに渡します。
「え?」
「『敵をあざむくには、まずは味方から』というやつです。テイラーバートンは私がいただきます」
女優は不敵に笑い、エレベーターの中に消えていきました。
♯31【エレベーター前でサリーを抱いている女優、カンプントンに偽物のテイラーバートンを渡す。後ろの方で部屋を片付けているスーザン】
「とんだ泥棒ネコが混じっていたアルね。なるほど、彼女は最初からテイラーバートンを狙っていたアルヨ」
「だったら尚更、サリーを連れて行かせちゃダメじゃないか」
チンプントンはホイ・コーローに詰め寄りますが、ホイ・コーローは冷静です。
「カンプントンさん。サリーちゃんはずっと○○屋さんが保護してくれていたアルか?」
「はい。『店の前でウンコをして大変だった』って言ってました」
♯32【画面手前で小声で話す超能力者とチンプントン。奥には、エレベーター前で、呆然とするカンプントン。部屋を片付けているスーザン】
「なんて?」
「今、なんて言ったアル?」
チンプントンとホイ・コーローがカンプントンに物凄い勢いで迫ります。
「……いや、『サリーが店の前でウンコをして、大変だっ』って…」
「おい、ホイ・コーロー!」
「やっぱり! そうかそうアル、そういうことだったアル!」
♯33【驚く、超能力者とチンプントン】
「なかったネ。サリーを抱いた時に、サリーのお腹の中を透視したアルが、
空っぽだったネ!」
「じゃあ、今、女優が連れてったのは…」
「ああ。あれは、空っぽの、ただの犬アルヨ」
「ということは、テイラー・バートンは…」
「そういうことになるアルヨ」
チンプントンとホイ・コーローが慌てて階段を掛け上がります。
♯34【階段を登ろうとする超能力者とチンプントン。部屋を片付けているスーザン】
「どこに行くっぺぇ?」
「ちょっと探してくる!」
「探す?…もうサリーは見つかったっぺぇ! これ以上、何を探しに行くっぺぇ!?」
チンプントンとホイ・コーローふりかえって、が大きな声で答えます。
「ウンコだよぉぉぉ!!!」
♯35【階段の途中で振り返って叫ぶ超能力者とチンプントン。驚く、カンプントンとスーザン】
サリーのウンコを追って、外に出ていったチンプントンとホイ・コーロー。
「なんでウンコを探しに行くんだっぺ〜?」
カンプントンも後を追って、外へ出て行きました。
♯36 【消えていく三人、取り残されたスーザンは部屋を片付けている】
「ホント、困った人達だわ」
一人残されたスーザンは、首かざりから、白いバラを取り出して、赤ワインにつけます。
♯37【グラスに注がれた赤ワインに白バラをつけるスーザン。部屋はある程度、片付いた】
♯38【机の上には一輪の赤いバラ。スーザンが、エプロンのポケットを探る。ポケットの入り口が微かに青く光っている】
♯39【ポケットからテイラーバートンが出てくる。テイラーバートンを手にしたスーザン、カメラ目線で不敵に笑う】
♯スタッフロール【スーザンがサリーを洗っていると、サリーが口からテイラーバートンが出てくる】