おはようございます。
本日、別々の映画の打ち合わせが2本入っているキングコング西野です。
#ついに映画屋になりました
さて。
今日は『Web3ネイティブに憑依してみる』というテーマでお話したいと思います。
さっそく本題です。
説明は要らない説
昨日、最新刊『夢と金』の原稿の編集&校閲をサロンに投げたところ、大きな大きな大きな「気づき」がありました。
個人的にはカミナリが落ちたレベルです。
まず、メチャクチャ面白かったのが、「NFTとは『Non-Fungible Token』の略で、日本語に訳すと『非代替性トークン』なんだけど、ちょっとよく分からない…」という冒頭の一文に対して、「冒頭から知らない言葉が出てきて…」という物言いがついたこと。
「言葉が難しくて、よく分からないっすよね?」という投げ掛けに対して、「言葉が難しくてよく分からない!!」というクレームは、文脈が破綻している。が、ここで「…いやいや、文脈が破綻してますよ」と論破するのではなくて、「それぐらい『よく分からない横文字』の精神ブロック力が強い」と受け止めた方がいいと思うんです。
だって、読者一人一人を論破していくことなど不可能なのだから。
というわけで、「NFTとは『Non-Fungible Token』の略で、日本語に訳すと『非代替性トークン』なんだけど…」の一文を丸々カットすりゃいいんじゃないかと思えてきたんです。
考えてみりゃ、「NFTは何の略か?」なんて、知らなくても、NFTを理解することはできるので。
「Fungible」や「Token」という言葉が(初心者に説明する時には)害悪なのだ。
そんなことを思いながら、コメント欄を眺めていたら、「西野さん…もしかして、『ブロックチェーン』という言葉、要らなくないっすか?」というコメントがあり、カミナリが落ちました。
…ぶ、ぶ、ブロックチェーンが要らないだと?
これまで、Web3やNFTを説明する時に「ブロックチェーンを外す」なんて、考えてもみなかったんだけど、だけど、もしかしたら…。
そこから、Web3ネイティブ、NFTネイティブの子供達に憑依して、考えてみたんです。
すると、たしかに「ブロックチェーン」の説明って、そんなに要らないんです。
詳しい仕組みなんて理解していなくて、「それは、そういうもの」という捉え方なんです。
僕らに置き換えると、たとえば「車が走る仕組み」は……エンジン(内燃機関)と呼ばれる密閉された空間の内部で燃料を爆発させて熱を起こし、その熱で空気を膨張させて、力を発生させて、そこで発生した力を使ってピストンを往復運動させることにより、それを動力源として車が走ってるんだけど……これ、誰も理解してなくない?
僕らの理解って「車はガソリンを入れたら走る」じゃない?
そして、その程度の理解で、車の取り扱いに不便を感じていない。
昨日、自分の中でストンと整理がついたのは、「エンジニアが理解しておかなきゃいけないこと」と「消費者が理解しておかなきゃいけないこと」はまるで違うということ。
そして、ことNFTの説明においては、エンジニアが理解しておけばいいことを、消費者にも伝えてしまうから、そこで摩擦が起きている。
NFTに関しては、消費者は「デジタルデータの現在の保有者を皆で確認できる」ぐらいの理解で良くて、それが「ブロックチェーンという仕組みの上で成り立っていて…」みたいな説明は要らない。
#というか後で知ればいい
そう考えると、「NFTの説明」は、これぐらいでいいんじゃないかなぁと思って、書き直してみたので、御確認ください↓
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【NFTをメッチャ簡単に説明してみる】
画像検索で『モナリザ』と打てば、大量の『モナリザ』が出てくる。
そのままダウンロードすれば、スマホの待ち受け画面にすることもできる。
世界に複製の『モナリザ』はたくさんあるし、偽物の『モナリザ』もたくさんある。
本物の『モナリザ』はフランスのルーブル美術館にあって、いつだって見放題だ。
いつでも誰でも見ることができる『モナリザ」だけど、一応「持ち主」がいる。
持ち主は「フランス」だ。
『東京タワー』はいつでも観ることができるし、いつでも登ることができるけど、公共財産じゃないって知ってた?
『東京タワー』は民間(会社)の持ち物で、銀行からお金を借りる時に「借金の担保」に取られたこともあったそうだ。
そのままお金が返せなければ、『東京タワー』は銀行の持ち物になる。
もっとも「持ち主」が変わっても、相変わらず『東京タワー』はあそこに立っているわけで、僕らの生活には何ら変わりはない。
「東京タワーの持ち主は、銀行!」と言えるだけの話だ。
いつでも見ることができるし、いつでも触ることができるモノに、「持ち主がいる」というのはナンか変な感じだけど、でもまぁ、「額縁に入っている絵」だとか、「建物」なら、まだ理解はできる。
それらは世界に一つしかないから。
「キミ、スマホの待ち受け画面を『モナリザ』にしてるけど…ここだけの話、『モナリザ』の持ち主、俺やねん」と自慢することができるし、「今、皆が見てくれている、あの東京タワー…あれ、俺のやねん」とドヤる(誇る)ことができる。
「持ち主」ということが証明できれば、そのニーズはありそうだ。
ただ、スマホやパソコンに流れてくる画像や動画や音声といった「デジタルデータ」の「持ち主」を証明するのって難しくない?
物体(質量のあるモノ)なら、『本物のモナリザ』と『偽物のモナリザ』の区別はつくから、「本物」は世界に一つで、「本物のモナリザの持ち主はこの人っ!」と言い切ることができる。
だけど、「デジタルデータ」は、いつでも誰でも、本物と寸分の違いもなくコピーできてしまって、言ってしまえば〝本物が大量に出回っているから〟「本物の画像の持ち主はこの人っ!」と言い切れないよね。
それを言い切れるようにしたのが「NFT」なんだけど、そこにはどんなカラクリがあるのか?
たとえば、西野が梶原君に1万円を送る場合、銀行を利用するだろう。
西野から梶原君に1万円が送られたことを知っているのは、僕と梶原君、そして二人の間に入った銀行だけだ。キミは知りようがない。
こんな感じで、多くのサービスは銀行のように、真ん中に「管理をする人」がいて、僕らは「管理をする人」に手数料なんかを払いながら、やりとりをしている。
一方、NFTの世界には僕らのやりとりを「管理する人」がいない。
偉い人や大きな会社が、僕らのやりとりを管理しているわけではなく、皆のやりとりは皆で管理している。
デジタルデータを入れておく「お財布」のことを「ウォレット」と呼ぶんだけど、NFTの世界では、西野のウォレットから梶原君のウォレットにデジタルデータが〝直接〟送られる。「管理をする人」を介さないので、「管理をする人」に手数料を払う必要もない。
「西野のウォレットから、梶原君のウォレットにデジタルデータが送られた」という事実(データ)は皆で管理・共有している。
そればかりか、ウォレットの中身も皆に筒抜けだ。
キミがデパートで買った「画像」を、自分のウォレットの中に入れていたら、そのことも皆に筒抜け。
おかげで、キミが「どんなものにお金を使う人なのか?」は誰でも調べることができる。
皆のやりとり、皆のウォレットを皆で管理している(監視し合っている)。
たとえば僕が「踊るプペル君」のイラストを描いて、SNSにアップして、「踊るプペル君のイラストの保有権」を、梶原君に10万円で販売してみる。
画像は誰でも保存できるので、何名かのスマホの画像フォルダに僕が描いた「踊るプペル君」が保存されるだろう。
「踊るプペル君の保有者は梶原だよ」と言われたところで、皆の画像フォルダの中にはすでに「プペル君」はあるわけだから、いまいちピンとこないよね?
ただ、皆で管理している梶原君のウォレットを見てみると、そこには、たしかに「踊るプペル君の保有権」がある。
次の日、梶原君がその「踊るプペル君の保有権」をインパルス堤下君に売ったとする。
すると、「踊るプペル君の保有権」は梶原君のウォレットから、インパルス堤下君のウォレットに移動する。
これで皆は、「今はインパルス堤下君が『踊るプペル君の保有権』を持っている」ということを認識するわけだ。
そんな中、とろサーモンの久保田君が「踊るプペル君」の偽物を自分で描いて「偽の踊るプペル君の保有権」を市場でコッソリと販売したら、どうだろう?
「ウソつけ久保田! これは偽物だろ! 『踊るプペル君の保有権』は世界に一つしかなくて、それは今、インパルス堤下が持っているんだっ!」
と皆から袋叩きに遭うに違いない。
久保田ってそういうヤツなんだ。
ここで扱われている「保有権」こそがNFTだ。
「踊るプペル君」の画像は誰でも持っている。
「『その画像・動画・音声…デジタルデータの保有者は誰なのか?」を証明してくれる証明書」がNFTであり、その「証明書」に値がついている。
NFTと呼ばれ、売買されているのは「証明書」だ。
これまでは、無限に複製されるデジタルデータに「持ち主」を作ることなど不可能だった。
だけど、NFTによって、それが可能になった。
それによって一体どんな可能性が生まれるのか?
誰を助けることができるのか?
話はここからだ。
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どうっすか?
感想をお待ちしております。
現場からは以上です。
【追伸】
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宜しくお願いいたします。
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