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IPの正しい使い方

2022.05.13 / 西野亮廣エンタメ研究所

おはようございます。

Voicyの更新が遅刻した理由について「こないだまでドイツにいたから、こちとらドイツ時間で生きている。なので、悪いのは僕じゃなくて、『時差』だ。文句があるなら地球に言ってくれ」とトチ狂った主張をしたことでお馴染みのキングコング西野です。

さて。
今日は『IPの正しい使い方』というテーマでお話ししたいと思います。

 

皆で作ったモノに正しくブラさがる


さっきまで、ミュージカル『えんとつ町のプペル』のブロードウェイチームとLINEでやりとりをしていて、そこで、来月の「リーディング公演(関係者向けの本読み公演)」の話になりました。

リーディング公演のクオリティーも勿論大切(大切中の大切!)ですが、もう一つ大切なのは、そこで関係者とキチンと関係を築くこと。

そんな話の流れで「個展の時や、映画公開の時もやったけど、『レセプション(関係者を集めた呑み会)』って超大事だよ。ミュージカルも絶対にやった方がいいよ」という話になり、さっそくニューヨークのスタッフがレセプション会場の下見に行ってくれました。

なんと、リーディング公演をおこなうビルの隣のお店です。
#お店の雰囲気も良かった
#さっそく予約するそうです

その勢いで、「現在おこなっているクラウドファンディングのリターンとして、『リーディング公演後のレセプションに参加できる権』を出すといいんじゃね?」と言ったところ、それも早速手配するそうです。
#僕も参加する

僕は今、次回作の制作で、基本的には朝から晩までアトリエに籠っている(動けない)ので、こうして現地で動いてくれるチームがいると本当に助かります。

一昨日か三日前の記事でも話しましたが、「役割分担」がとても大切だなぁと思います。
「IPを作る人」と「IPを使う人」といった役割分担です。
IPを正しく使ってくれる人がいないと、IPは死ぬので、作るのも使うのも、どちらも大切な仕事です。

そんなこんなで今日は『IPの正しい使い方』について、お話ししたいと思います。
基本的に、有名なIPは大手の事務所や、集英社みたいなところがガッツリと掴んでいるので、「IPの正しい使い方」が一般で議論されることなどありません。
IPを取り扱うのは、プロ中のブロのお仕事なのです。

ただ、その世界はもう見たので(#知っていることには興味がない男 )、皆が有名なIPを使える世界を見てみたくなり、ヤリチン代表として『プペル』が生まれました。

さて。

使おうと思えば使える『プペル』ですが、そこには「上手く使っている人」と「使い方を失敗している人」がいます。

明日、僕が事故で死ぬかもしれないので(そんなことで皆さんの活動が止まるのは勿体ないので)、「使い方」に関してはキチンと議論しておいた方が良さそうです。

IPの使い方の失敗例として、よくあるのが『車輪の再発明』です。

※【車輪の再発明】=「広く受け入れられ確立されている技術や解決法を(知らずに、または意図的に無視して)再び一から作ること」

たとえば、以前、サロンメンバーさんが手掛るプペルの絵本展の入り口に、絵本のページをそのまま描いた看板が置かれていました。

きっと、絵が得意な友達に描いてもらったのでしょう。

ただ、これで気持ちが良いのは、友達に依頼を出した主催者と、依頼を受けて絵を描いた友達だけで、学園祭じみた看板を見せられたお客さんの本音は「素人感がすげぇなぁ…」です。

「誰の為のエンターテイメントか?」をキチンと整理した方が良いでしょう。
主催者や、その友達を気持ち良くさせることを目的としたエンターテイメントなら、それでもよいのかもしれまさんが、お客さんを楽しませることを目的とするのであれば、「友達に頼んでクオリティーを落とす」と「クオリティーが約束されている素材をそのまま使う」の二択なら、選ぶのは間違いなく後者です。
#友達の仕事が本家を超える場合は別

「そのまま使う部分」と「アウトプットに合わせて自分達で作る部分」をキチンと整理した方がいい。
せっかく「集客力があるIP」を“使っている”のに、「ゼロから全て自分達で作る」なんて本末転倒もいいところです。

連日、例に出して申し訳ないですが(※超絶応援してるんだよ!)、たとえば昨日のプペルバレエのキービジュアルは、まさに「ゼロから全て自分達で作る」をやっちゃっていて、あのポスターが街に貼られていても、誰にも気づかれずに(見られずに)終わるでしょう。

「お? プペルのイベントがあるんだ」となった方がいいわけだから、(主催者に問答無用の集客力がある場合は別ですが、そうでない場合は)、すでに世間に浸透している「タイトルロゴ」なのか、すでに世間に浸透している「ビジュアル」を使って、それをフックにした方がいい。

まったく見慣れないロゴ。
まったく見慣れないデザイン。
その中に「プペル」という文字が入っていても、普通に見落としてしまいます。

実際そうでしょ?
タイムラインに流れてくる「お知らせ」の文字情報なんて、いちいち全部読んでないでしょ?

間違ってはいけません。
お客さんは…

①興味を持つ
②中身を見る

…の順番で行動し、商品を選びます。

ポスター(フライヤー)は、1秒で勝負を決めないと(興味を持ってもらえないと)負けです。

IPを使うなら、正しく使うことが大切です。
クリエイトする側にまわったからといって、クリエイトに酔いしれてはいけません。

厳しいですが「キミや、キミの友達のクリエイティブには、まだ誰も興味がない」というのが現実です。

世間が興味を示すモノをゼロから作れる能力を持ち合わせているのであれば、キミはそこにいない。

学校じゃないので、「頑張った(労力をかけた)かどうか?」をカウントしちゃいけない。
大切なのは「結果」です。

最後に。

突貫工事なので、くれぐれも「これが正解です」というわけでありませんが、昨日のプペルバレエのビジュアルと、さっき、ウチのインターン生(ザッキー)が「使える素材」を使っで20秒ぐらいで作ってくれたビジュアルを2つ並べてみました。

▼①知り合いのプロがゼロから作ったビジュアル。

 

▼②素人がIPを使ったビジュアル。

 

Twitterのタイムラインに流れてきた時、あるいは町の掲示板に貼られていた時に、どっちに目がいくかは一目瞭然です。

前者は「知り合いのプロがゼロから作ったもの」で、
後者は「デザインの素人が素材(IP)を使ったもの」です。

この質問に答えて欲しい。

「誰の為のエンターテイメントだ?」

その答えの意味を深く考えて、IPを正しく使うことが大切だと思います。
プペルバレエを心から応援しています。

現場からは以上です。

【追伸】

https://salon.jp/nishino」を付けて今日の記事の感想を呟いていただけたら、西野がエゴサーチで見つけ出してニヤニヤします。

宜しくお願いいたします。

【追伸②】

プペルバレエの(もろもろの)販売サイト→https://poupellet.official.ec/

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