『舞台上に船を作る』の巻

2021.09.29 投稿
西野亮廣エンタメ研究所

※この記事の内容は外部に発信していただいて大丈夫です。



 
おはようございます。
お客さんから「西野さんは映画プペルが公開された時期に『お客さんと一緒に映画を観る』をやってましたが、あれって、ちゃんと起きて、観てたんですか?」と突っ込まれて、「いや、そりゃ、、まぁ、その……なんというか、えっと……お互い大人なんだから、…知らなくてもイイこともあるじゃん」と完全にゴモゴモしたキングコング西野です。
#映画を観終わった後はいつもスッキリしていたことは確かだ
 
さて。
今日は「『舞台上に船を作る』の巻」でございます。
 
ビジネスの話ではなく、ゴッリゴリのクリエイティブの話です。
宜しくどうぞ。
 

ファミリーミュージカル『えんとつ町のプペル』の稽古が始まっています。
見る人が見れば、今回の舞台が大事件であることは一目瞭然で、「250キャパの劇場での公演に、なんで、こんな人達(トップランナー)が集まっているの?」というクエスチョンマークがデカデカと浮かびあがります。

チケットが完売したところで、それだけだと、まだ一億円ぐらい赤字だそうです(笑)
#望むところだ
 
小さな劇場になってくると暗転(真っ暗)な状態が真っ暗ではなく、真っ暗な間に済ませい「セットの入れ替や」やキャストの出ハケができません。
 
さらには、今回の会場となる『東京キネマ倶楽部』は演劇小屋じゃないので、セットを吊るす「美術バトン」もなければ(天井からセットが降りてくるアレ!)、舞台袖も広くないため、セットを隠しておくこともできません。
 
つまり、「セット転換」ができないのです。
 
昨日の稽古では、戦犯を逃れる為に、誰よりも先に「こんな面倒な劇場を選んだのは、一体誰ですか?」とキャスト&スタッフを問い詰めてみました。
#僕です
 
『えんとつ町のプペル』は、「町中」「ルビッチの家」「地下」「仕立て屋」「煙突の上」「砂浜」「船」「煙の中」「星空」……といった調子で、いろんな場面を転々とします。
 
それを「セット転換できない劇場」でやろうと思うので、まぁ、大変。
なんと、劇場に合わせて、脚本が書き変えられたりしています。
 
たとえば、「町中」「ルビッチの家」と「仕立て屋」ぐらいなら、セットを少し動かしたり、照明の雰囲気を切り替えたりすることで、なんとか乗り切れます。
 
窓から差し込む光(窓の格子の影)を床に落とすことで、「あぁ、ここは建物の中なんだな」となるわけですね。
#こういう話をサロンでするのも楽しい
 
ですが、「地下(土の中)」と「ルビッチの家」を同じ舞台上にそれぞれ表現するのは、ちょっと難しかったりします。
 
明らかに人工物(壁や柱)がある場所なのに、「ここは土の中ですよ」と言うのは、なかなか無理があって、そんな時は脚本自体をイジります。
 
映画ならば、“土の中(地下)”で登場する鉱山泥棒の『スコップ』と遭遇するのは、ミュージカル版だと“下水道(地下)”になっていたりします。
 
「下水道の壁」と「ルビッチの家の壁」ならば、同じ舞台セットでも、照明で、違うものにできるわけですね。
 
ファミリーミュージカル『えんとつ町のプペル』では、そんな感じの脚本の微調整や、ときどき(スタッフがドン引きするような)大工事がおこなわれております。
 
 

『空とぶ船』を、どう表現するのか?
 

ファミリーミュージカル『えんとつ町のプペル』を制作している裏で、市川海老蔵さんと新作歌舞伎『プペル ~天明の護美人間~』を作っています。
#まだ内緒だよ
#来年の1月にやるよ
 
ファミリーミュージカル『えんとつ町のプペル』のように、「ブロードウェイで常設小屋を…」というところまでは考えてはいませんが、「ラスベガスとか、ブロードウェイとか、フランスとかでも上演しようね~」という話にはなっています。
 
海老蔵さんも非常にエネルギーの強い人で、また大変な勉強家で、一緒に仕事をしていて、とても心地良いです。
 
ミュージカルであろうと、歌舞伎であろうと、舞台で『えんとつ町のプペル』を表現する時の最大の難関は『船』です。
 
「どうやって、ステージ上に船を作ろう?」
「どうやって、満天の星空を表現しよう?」
 
というナゾナゾが常に付きまといます。
 
だって、ステージ上に「町のセット」があったら、船は作れないし、星空を表現できないじゃないですか?
 
そんな課題を抱えたまま、先日、新作歌舞伎『プペル ~天明の護美人間~』の劇場の下見に行ってまいりました。
 
そこは芝居をやる為の劇場なので、天井の「美術バトン」もたくさんあるし、舞台袖も広いので、セット転換もできます。
 
さらに、美味しいのは「せり」と「まわり舞台」があること。
 
「せり」というのは、舞台の地下からニョキニョキ上がってくるステージのことで、
「まわり舞台」というのは、舞台の中央部分がグルンと回るアレです。
 
かなり踏み込んだ話になるのですが、『えんとつ町のプペル』の船のシーンでは、
「船に乗っているプペルやルビッチ」と
「船の下(砂浜)にいる町の人達」が、
同じステージ(同じ画面)にいます。
 
この時、船首(船の頭)を客席側に向けるか、ステージ奥に向けるか?で大きくやりかたが変わってきます。
 
#頑張ってイメージしてください
#イメージしやすいように画像を添付しておくね
 
 
(画像①)
 
船首を客席側に向けると、船の上にいるプペルとルビッチの顔が見えて最高なのですが、そうすると、「船の下にいる町の人達」を、プペルやルビッチよりも手前(客席側)に配置しなければならず……結果、プペルとルビッチが、ステージの奥の方でずっと芝居をすることになってしまいます。
 
 
(画像②)
 
船首をステージの奥に向けると、「船の下にいる町の人達」がステージの奥に配置され、プペルとルビッチは手前にくる(お客さんに近づく)ことになりますが、どっこい、プペルとルビッチはお客さんに背を向ける形になってしまいます。
 
そんな時に、ラッキーだったのが、「せり」と「まわり舞台」です。
 
添付した画像の三枚目をご覧ください。
 
 
(画像③)

 
「大迫り(大きなせり)」を使って、地下から船の船首を“客席に向けて”出します。
 
そうすると、プペルとルビッチは客席に顔を向けることができて、手前のスペースも広いので「船の下にいる町の人達」をたくさん配置することができます。
 
そこでやりとりをして、「いよいよ、船を飛ばすぞ!」となったタイミングで、「まわり舞台」をグルンと180度回す。
 
船首は舞台奥に向き、プペルとルビッチは手前(客席側)に来ます。
そして、黒い煙に立ち向かっていく姿を背中で見せる。
 
船首の向こう側(ステージ奥)にある舞台セットを、すべて、舞台袖にハケておけば、ステージの奥にあるのは、ただの暗闇だけ。
 
「煙の中」も「星空」も、表現しやすそうです。
 
「大迫り」の位置とサイズを現場で確認した時に、演出&美術チームはガッツポーズで、その瞬間に、『黒い煙の空に浮かんでいく船』がイメージできました。
 
新作歌舞伎『プペル ~天明の護美人間~』は、面白い舞台になりそうです😁
 
 
さて。
 
歌舞伎は「まわり舞台」があったので、「町中→船→星空」の場面転換がスムーズにいきましたが、「セット転換ができない劇場」でおこなうファミリーミュージカル『えんとつ町のプペル』は、ここを、どう乗り越えるのでしょうか?
 
メチャクチャ楽しみに待っておいてください。
決して簡単ではない仕事ですが、必ずなんとかします😁
 
それでは、今日も稽古に行ってきます。
 
現場からは以上でーす。
 
※【オンライン前夜祭】
明日から始まるミュージカル『えんとつ町のプペル』の“見どころ”を西野亮廣が舞台からお届け!!
 
https://nishinoinc.thebase.in/items/48051738

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