手札を正しく使う

投稿日:2023.10.16 / 西野亮廣エンタメ研究所

※この記事の内容は外部に発信していただいて大丈夫です。



 

おはようございます。
バンドザウルスのクラファンが目標金額までカツカツになっていることをニヤニヤ眺めているキングコング西野です。
#ダサいスピードで売れている

さて。
今日は『手札を正しく使う』というテーマでお話ししたいと思います。

皆さんが仕事を設計する際の参考になればいいなぁという願いを込めて、エンタメ研究所らしく「西野のクリエイティブ(制作過程)の共有」です。
 
 

仕事は「どこ」から作るのか?
 

「人生のプランを聞かせてください」という質問に、いつの頃からか「分からん」と答えるようになりました。

時代のルールをこんなにもコロコロ変えられてしまうと(コロナみたいなのもあるし)、せっかく立てたプランも無駄になることだらけ。
#全然予定どおりに進まないんだもの

なので、作戦としては、まずは「どう転んでも死なない」という状況を作って、その上で、“目標から考える”のではなく、“手札から考える”。
これに尽きます。

「自分に」、あるいは「今の時代を生きる僕らに」、あるいは「日本に」…何があるのか?(どんなオンリーワンな選択肢があるのか?)をリストアップして、なるべく、その手札を使う方向で進路決定をする。

今のところ、現代の生存戦略としては、これが最も成功確度が高いんじゃないかなぁと思います。

この逆が「目標から考える」という戦い方。

これは結構厳しくて、たとえば「今はストーリー(や付加価値)で商品が選ばれる時代だから、自社でエンタメ作品を作って、それをIPに自社製品を販売しよう」としても、たぶん無理で、「そもそもオマエが作るエンタメに人が熱狂する状況を作れるのであれば、オマエはとっくの昔にトップエンターテイナーになり、億万長者になっている」という話だし、『エンタメ』は一言でまとめられるもんじゃなくて、「エンタメAを作っている間に、エンタメAの需要が無くなる」なんてことはザラにあります。
#テクノロジーの影響をモロに受けるメディアなのでニーズの移り変わりがものすごく速いんです

いつだったか、CTD(チムニータウンDAO)が、「NFTの売り上げの使い道を皆で協議して(多数決で決める)」みたいな空気が流れたことがあって、かなり強めに「絶対に辞めろ!」と伝えたことがありました。

日本の自立分散型組織から「勝てるコンテンツ」がいつまで経っても出てこないのには「素人が100万人寄ってたかって作っても、素人の平均値のクリエイティブしか生まれない」残酷すぎる現実があって、CTDには「集めたお金で(素人が)作っちゃダメ!集めたお金でプロの仕事を買ってください!」とお伝えしました。

CTDの手札は、「世界のエンタメの覇権を握ることができる生産能力」ではなくて、「世界のエンタメの覇権を握ることができるクリエイティブを購入する予算」だという話です。

僕の知るかぎり、多くの人がフラットにこの判断ができずにいて(自制心がコントロール不可に陥って)、田舎の社長は今日もダサいオリジナルTシャツを自作(あるいは友達のデザイナーに発注)して爆死しております。
#草Tを作ってるヤツがいうな

皆さんが言いにくいと思うので僕が皆さんの気持ちを代弁しますが、支援NFTのメダルのデザインとかも、田舎の社長が自分達で作ろうとするから糞ダサいじゃないですか?

あんなダサいNFT、絶対にウォレットに入れたくないでしょ?
一生残っちゃうんですよ?

だけど、「ダサい人」というのは自覚が無いからダサいわけで、自分がクリエイティブの意思決定ができる立場になった途端に、自分の意見を差し込んじゃう。
「俺はデザインのことはよく分からないから、友達じゃなくて、キチンと(結果を出している)プロに頼もう」と判断できる人は稀です。

「自分は何のプロなのか?」
「自分しか持っていないモノは何なのか?」

ここを冷静にリストアップし、そこから仕事を作っていくことが今ものすごーく求められています。

くれぐれも「目標」から逆算して、それに合わせて「誰かが持っている手札」をゼロから創造することではありません。
負け戦に臨むその判断は「創造」ではなく、「破壊」です。

とにもかくにも「自分の手札」を使う。
 
 

全員、「パブリックドメイン」や「民謡」を安く見積もりすぎ問題
 

毎日、本当にたくさんのエンタメを見て(※少しでも気になるエンタメがあったら、飛行機や新幹線に乗って絶対に体験しに行く!たった半日だけの滞在であろうとラスベガスにも、メキシコにも行く!)、新作をせっせと作る度に、「パブリックドメイン(著作権切れの作品)」や、「民謡」の強さを思い知らされます。

「何十年も生き残った作品の強さ」を。

ちなみに、僕のイベントの開演前や休憩時間によく流れている『John Ryan’s Polka』はアイルランドの民謡です。

(これ↓)
https://youtu.be/iGNzWyyanZM?si=HrNsbny16Cz6nK1p

きっと!ほとんどの人が、そんな情報を知らないし、初めて僕のイベントに来た人のほとんどは「初めて聴く曲」だと思うのですが……そんなの関係無しに、皆、狂ったようにノるんです。

これが全てで、これがある(説明などしなくても人の胸を打つから)から「民謡」として残っている。

パブリックドメインにしても、「昔作られた作品」なんてのは腐るほどあるわけで、その中から、「著作権上の保護期間が切れるまで生き残っている作品」というのは、数千、数万個に一つで、そこには生き残った(ウン十年間も語り継がれた)強さがある。

そういう作品を前に僕はいつも自分の非力さを呪うわけですが、案外、皆はここをスルーして、オリジナル作品の制作に勤しみます。
#自己評価がメチャクチャ高い

「作ることがゴールになっている人」がほとんどで、もちろん、そのカラオケ的な良さ(楽しさ)は確実にあるのですが、そのクリエイティブが残ることはほとんどありません。

使えるものは使った方がイイし、肩に乗せてくれる巨人の肩には乗った方がイイ。
そして、その上に「自分達のクリエイティブ」を加えた方がイイ。

これは去年の記事でもお伝えしましたが、AIで「オリジナル作品」がコモディティ化した(増えすぎて価値を落とした)今は尚更です。

『バンドザウルス』は基本、その方向で舵をきっていて、先日、タケダPには「バンドザウルスは『ナンシーウイスキー』を自分の曲のように我が物顔で歌った方がいい」と伝えました。

『ナンシーウイスキー』というのはスコットランドの民謡です。

民謡(歌い手不明)なので配信の権利にも引っ掛かってこない上に、長年、歌い継がれてきた強さがある。

「バンドザウルスは世界中の民謡を味方にした方がいいんじゃねぇかしら?」と思いながら、『ナンシーウイスキー』の歌詞(バンドザウルス版)を作りましたので、最後に共有させていただきます。

話をまとめると「目標から考えるのではなくて、手札から考えようね!」といったところです。

現場からは以上です。

【追伸①】
https://salon.jp/nishino」を付けて今日の記事の感想を呟いていただけたら、西野がエゴサーチで見つけ出してニヤニヤします。
宜しくお願いいたします。

【追伸②】
《大阪平野の夜景を一人占め》HIBARI GOLF(宝塚市)のVIPラウンジ『星の絨毯』(2024年9月オープン)の【年間3日×7年分】の貸し切り利用権をお求めの方はコチラまで。
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🦖🦖🦖🦖🦖🦖🦖🦖🦖🦖🦖🦖🦖

『ナンシーウイスキー』 

作曲:スコットランド民謡 
作詞:西野亮廣

傘やカッパじゃ防げやしない
どうやら逃げ場も無いようだ
隕石が降るイカれた天気に
「らしい最後ね」とキミは笑った

Whiskey,whiskey,Nancy whiskey
Whiskey,whiskey,Nancy-o
Whiskey,whiskey,Nancy whiskey
Whiskey,whiskey,Nancy-o

白い貝殻の耳飾り
琥珀に綴じた 恋心(ジェラシー)
三畳一間の窓から見てた
このパレードにグラスを掲げろ

Whiskey,whiskey,Nancy whiskey
Whiskey,whiskey,Nancy-o
Whiskey,whiskey,Nancy whiskey
Whiskey,whiskey,Nancy-o



バンドザウルスの公式グッズの事前販売の締め切りまで、あと「3日」

コチラ↓
https://www.picture-book.jp/projects/bandsaurus-jungle

https://vimeo.com/874657536/55e01ebbd6

最後、コードを若干間違えたけど、『ナンシーウイスキー』という曲です。
これをバンドザウルスの酒飲みソングにする!

【タケダPへ】
アイリッシュバンク風に編曲しといて。

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