【「発行部数のわりに売れている作品」と「発行部数のわりに売れていない作品」の違いについての考察】
『えんとつ町のプペル』の重版(31刷)が決定しました。
発行部数は35万部くらい(海外分が含まれると、もうチョイいってます)。
発行部数だけを見ると、『えんとつ町のプペル』より売れている本は他にたくさんあります。
「35万部」は、それほど大きな数字ではありません。
ところが…
映画が作られたり、
一般の方が各地で絵本展を開催したり、
ARが作られたり、
カレンダーやパズルが作られたり、
今は『えんとつ町のプペル』の“プラネタリウム”と“VR”の話が当時に舞い込んでいます。
『えんとつ町のプペル』には明らかに「数値化されていないエネルギーが宿っていて」、その正体は、『プラットフォーム』と『メッセージ』の2つだと僕は考えます。
【プラットフォーム】
①町に個性があるので、「世界を拡張する」や「世界の中に入る」といったことを目的とした、ARやVRの『テクノロジー系』との相性がとても良かった。
②『星を見る』がテーマになっているので、プラネタリウムや天体イベントと絡めやすい。
③主人公が『ゴミ(人間)』と『(煙突)掃除屋』なので、ゴミ拾い系のイベントと絡めやすい。
④描き込み量が多く、各ページが『一枚絵』として成立しているので、『個展』や『美術館』が成立する。
……つまるところ、「『○○×えんとつ町のプペル』が考えやすい」ということです。
「作品の認知度が高ければプラットフォームになれる」という、そんな単純な話でもなくて、
たとえば又吉君(大好きです)の『火花』で、『火花AR』は少し考えにくい。
『火花カレンダー』や『火花パズル』といったグッズ展開も厳しい。
『スヌーピー』や『キキララ』もキャラクターの認知度は高いですが、「彼らの世界の中に入りたい」と思う人はほとんどいないので、『スヌーピーVR』や『キキララVR』はありえない。
『キキララ』のプラネタリウムや天体イベントは考えられそうですが……まさにそこが、次の話です。
【メッセージ】
テクノロジーを身につけて世にうって出る人や、イベントを仕掛けようとする人や、新しい価値観を提供しようとする人は、往々にして『村八分』に遭っています。
日頃、夢を語れば笑われて、行動すれば叩かれる『えんとつ町』のような場所で戦っていて、プペルやルビッチのような生き方を地で行っているので、プペルやルビッチの“一挙手一投足”に共感できる部分が多い。
自分が伝えたいメッセージと、『えんとつ町のプペル』のメッセージが重なっているので、『えんとつ町のプペル』を絡めることで、自分のメッセージを届けることができる。
「メッセージが重なっている」というところがポイントで、たとえば、『ほんやのポンチョ光る絵本展』を開催したい人を募集しても、そんなに手が挙がらないと思います。
「絵のクオリティー」でいえば、断然『ほんやのポンチョ』の方が上なのですが、『ほんやのポンチョ 光る絵本展』を開催しても、主催者が届けたいメッセージを届けることはできません。
もっと言うと、主催者が主役になることができません。
「『キキララ』のプラネタリウムを企画しても、主役は『キキララ』で、主催者の気持ちがスッキリすることはない」ということですね。
……『プラットフォーム』と『メッセージ』、この二つは「発行部数」や「認知度」では語れない領域で、作品を横展開していく時に極めて重要な力だと僕は考えます。
「発行部数のわりに売れている作品」や「発行部数のわりに売れていない作品」の背景には、そういった事情があることを知ると、作品の見方に深みが出るかもしれません(*^^*)
夜分、失礼しました。
【追伸】
そんなこと言いつつ、『えんとつ町のプペル』は絶対に100万部売ります。
『えんとつ町のプペルVR』のテスト画面を観ている僕。
このVRは結構感動した。あとは音楽だな。
映画『えんとつ町のプペル』の音楽を共有したい。
現在制作中の絵本『ほんやのポンチョ』。
先日完成した背景(看板の文字は後で入れます)に、キャラクターを(仮)で、のせてみた。
このテイストで、プペル版の『ウォーリーをさがせ』を作る。
深夜2時半。
夜空に、火星を見つけた。
大きいな。