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西野亮廣の悪戦苦闘inニューヨーク

2024.10.04 / 西野亮廣エンタメ研究所



おはようございます。
夢の中で喧嘩をして(言いたいことを言って)スッキリしたキングコング西野です。
#こんなことがあるのか

さて。
今日は「西野亮廣の悪戦苦闘inニューヨーク」をお届けしたいと思います。
ブロードウェイ情報最前線です。

 

良いニュースと悪いニュース
 

昨日は、ミュージカル『えんとつ町のプペル』のニューヨーク版のミーティングがありました。参加したのは、プロデューサーとディレクター(演出家)と作曲家と僕。
そんな中、昨日は「良いニュース」と「良くないニュース」がそれぞれ発生しました。

「良くないニュース」は、本当なら昨日のミーティングまでにブックしておきたかった(=一緒にやることを決めておきたかった)『脚本家』が上手くハマらず、それによって作曲家のスケジュールが厳しくなったこと。

ミュージカルの脚本家と作曲家は二人三脚の作業になるので、脚本家が決まらないことには作曲家は作業に入れません。

作曲家さんも無限にスケジュールが空いているわけではないので(特に売れっ子は!)、こうなってくると「別の作曲家さんで…」という選択肢が濃厚になるわけですが、こればっかりは仕方がない。

売れっ子が集まるクリエイティブの現場では本当に良くあるコトなので、ここは気持ちを切り替えて次に向かうしかありません。
#プロデューサー陣もさっそく次に向かって動いています

一方「良いニュース」は、「ディレクター」がものすごーく良かったこと。

前回は「お互いのこれまで」や「お互いがエンタメに抱いている想い」を共有する時間でしたが、今回は「『えんとつ町のプペル』のクリエイティブをどういう方向で進めるか?」という具体的な話になり、その時に「作品」の話と「その作品を持続可能にする為のビジネスモデル」の話を同時に進めてくれる人だったのです。
#これは超良いニュース

日本のクリエイターに比べると、まだブロードウェイのクリエイターの方が、このあたりの理解はあるのですが、それでも「作ったものを、お客さんにどう届けるか?」という発想が強く、「お客さんに届き続けるものを、どう作るか?」という発想を持っているクリエイターは多くありません。

後者は何も「ニーズがあるものを作る」というマーケティングの話ではなくて、「作りたいモノを作ればいいんだけど、作りたいものを作って届け続けるには、そこに○○の要素は入れちゃダメだよね」みたいな話です。

ちょっとイメージしにくいと思うので具体例を挙げると…

誰にも忖度することなく純粋にファミリーミュージカル『えんとつ町のプペル』を作って劇場を満席にする為には、密着ドキュメンタリーで制作過程をガンガン見せていって、お客さんにプロジェクトごと愛してもらう必要があるので、『密着ドキュメンタリーNGの俳優さん』はキャスティングしちゃダメだよね」みたいな話です。

作りたいモノを作って届け続けるには、それを可能とするビジネスモデルも同時に作らなきゃいけないのですが、このレベルで話ができるクリエイターは現状ほとんどいません。

世の中の人は身体の中に経営者を棲まわせていないクリエイターを「職人」と呼びますが、僕は「自分が作りたいモノを作って届け切る為に、身体の中に経営者も天使も悪魔も棲まわせ、ありとあらゆる手を打つクリエイター」を職人と呼んでいて、今回のディレクターがそれであったことにチームでガッツポーズ。

これは本当に良いニュースでした。

 

ブロードウェイも抱える「ランニングコスト」の問題
 

そんなディレクターと(プロデューサーと共に)ミーティング終わりにご飯に行きました。
もちろん、そこでもミュージカルの話になったわけですが、そこで話した内容が日本の演劇・ミュージカルシーンにも、ゆくゆく関係してくると思われるので共有させていただきます。
#ミュージカルに限らずあらゆるビジネスで起きる問題です

タイトルは言えませんが、今、ブロードウェイで上演されている(結構人気の)作品が、まもなく終わるようです。
ブロードウェイは、公演が終わるタイミングがあらかじめ決まっている日本とは違って、(身も蓋もない話をすると)利益が出ていれば、ずっと続きます。

まもなく終わると噂されているその作品は人気作品で、全盛期に比べるとお客さんは少し減りましたが、とはいえ今でもお客さんは十分入っているのですが…終わるそうです。

経営目線で言うと、理由は「人気作品だけど、ランニングコストが高すぎて、利益が出ないから、打ち切り!」といったところ。
全盛期の集客をキープし続けなきゃいけないほどのランニングコスト(1週間で1億円ほど)だったわけですね。

どれだけお客さんを熱狂させたところで、(当たり前ですが)売り上げがランニングコストを下回ってしまうと続けることはできません。

というわけで、昨日は「ランニングコストをどのラインに設定するか?」という話になったのですが、これがまさに今の日本のミュージカル業界で起きている問題で、たとえばミュージカル『ムーラン・ルージュ』を日本でやるには当然、莫大な美術セット費以外に、莫大な楽曲使用料がかかってくるわけですが、おそらくそれは1年や2年で回収できるものではありません。

「全公演完売」で、このままお客さんが入り続ければ問題はないのですが、「日本のミュージカルのお客さん」はそこまで多くなくて、下手すりゃどこかのタイミングで「『ムーラン・ルージュ』はもう見たし」という人が増え、集客が息切れする日が来るかもしれません。

それでも「客席が6割埋まっていれば大丈夫」という公演であれば問題ないのですが、ムーラン・ルージュのランニングコストを考えた時に、おそらくそれ(6割)では厳しくて、そこから先が「負債」になってしまう可能性があります。
『ハリー・ポッター』もそうで、それこそミュージカル『ビリー・エリオット』は今、このターンに突入している気配です。

ファミリーミュージカル『えんとつ町のプペル』(日本公演)は2024年の「円安が加速したタイミング」で、「ダメだ!このままアメリカにお金(権利使用料)を払い続けていると、ランニングコストに潰されてしまう!自分たちで全部作ろう!」と切り替えたわけですが、我ながら英断でした。

おもくそ生々しい話をすると、ブロードウェイで話題になった作品は、その後、各国を行脚し、その権利収入を得ています。

ですが忘れちゃいけないのは、その「ブロードウェイで話題になった作品」の多くは、そもそもランニングコストに潰されてしまった作品(「ビジネス的に見るとプラスが出ない」ということが証明された作品)なわけで、「話題作だから」といって、その権利をおいそれと買ってしまうのは少し危ないかもしれません。

月並みな結論ですが、日本の作品は、国産で、自分達で権利をキチンと握って、ランニングコストをコントロールできるようにしておかないといけません。
今月末に日本の大手カンパニーのお偉いさんとの食事会が入っているので、そんな話をしてみようと思います。

そんなこんなで今日はニューヨークから電車に揺られワシントンD.C.へ。
プロデューサーのミーガン・アンの仕事場にお邪魔してきます。
現場からは以上です。

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