ファミリーミュージカルを獲る ~お膳立てはしたから、キッチリ決めろよ~

投稿日:2021.01.20 / 西野亮廣エンタメ研究所

※この記事の内容は外部に発信していただいて大丈夫です。


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おはようございます。

『吉野家』と『ポムの樹』と『洋麺屋五右衛門』を初めて食べた時の感動を超えられないでいるキングコング西野です。

#舌が爆発した日

さて。

今日は『ファミリーミュージカルを獲る ~お膳立てはしたから、キッチリ決めろよ~』というテーマで、株式会社NISHINOの若手社員に業務連絡です。

「ああ、西野はいつもこんな感じで指示を出してるんだなぁ」と思いながら、ニヤニヤしていただけると嬉しいです。

#指示の出し方が参考になるかどうかは分かりません

 

『映画 えんとつ町のプペル』のヒット

最近、このサロンに入られた方もいらっしゃると思うので、あらためてお話しすると……『映画 えんとつ町のプペル』は製作委員会方式(※いろんな企業が制作費を出し合うやつのことだよ)をとっておりまして、我らが『株式会社NISHINO』も出資させていただいております。

吉本興業が作る映画で、吉本芸人が出資するのは、過去に例を見ません。

なぜ、そのようなことが実現できたかというと、理由は凄くシンプルで「言うことを聞かないと西野の機嫌がすこぶる悪くなるから」です。

くれぐれも言っておくと、「出資をして、回収する」というマネーゲームにはあまり興味がなくて……そんなことよりも、「コケてもダメージが無い」という状態で勝負に臨むのが気に入らなくて、吉本興業と掛け合って、映画がコケたら西野が死ぬようにセッティングさせていただきました。

利益が出れば、そのお金は、次のエンタメに投資に回すか、被災地や途上国などの支援に回します。

そんなこともあって、『映画 えんとつ町のプペル』の損益分岐点は把握しております。

ちなみに、『映画 えんとつ町のプペル』の損益分岐点は(ザックリとではありますが)観客動員数でいうと【120万人】。

プペルは先日【100万人】を突破して、動員数も(この大コロナの中)前週比で95%なので、損益分岐点である【120万人】は超えてくると思います。 

#なんとか死なずに済みそうです

#もちろんまだまだ上を狙います

今回、一番大きかったのは、『えんとつ町のプペル』のファン層が拡大したことと、認知を大きく獲得したこと。

これによって、次の打ち手が変わります。

そんなこんなで、ファミリーミュージカル『Poupelle of Chimney Town』を担当する新入社員のセトちゃんに業務連絡です。

 

西野亮廣からの業務連絡

セトちゃんへ。

とりあえず『映画 えんとつ町のプペル』はヒットさせました。

#皆様のおかげで

もちろん観客動員数100万人やそこらで僕が満足するハズもなく、今日も明日も明後日も各地でドブ板営業を繰り返して、まだまだ上を目指します。

#観客動員数歴代1位を狙います

僕がまだまだ頑張ることはさておき、現時点で、一つ確かなことと、そして僕からのメッセージとしては、「プペルのミュージカルを開催するには十分すぎるぐらいの御膳立てをしたので、あとはキッチリと決めてください」です。

追い風吹きすさぶ、この環境です。

もしも中途半端なものを作ったらセトちゃんのことを全力で嫌いになる準備ができているので、気をつけてください。

さて。

「どう進めていくか?」はチームの皆とよくよく話し合ってくれたらイイし、現時点で「これをすれば確実に上手くいく!」といった類の正解は無いと思います。

ただ、

「これをすればミュージカル『Poupelle of Chimney Town』は潰れる」という【地雷】は確実にあります。

ここでは、その【地雷】を共有しておいた方がいいかなぁと思うので、思いつくままに書いてみます。

 

【地雷その①】

お客さんが知っていることを説明する。

ミュージカルのチケットは決して安くありません。

その金額を支払って観に来られる方は、大半がプペルのコアファンで、「すでにストーリーを入れてこられている」と考えて、舞台を設計するのが妥当でしょう。

その時、一番邪魔なのが「サプライズ」です。

#これは何度も言ってるね

「あのキャラクターが、実は○○だった!」みたいなサプライズ(サスペンス要素)を前面に出すような演出をしたところで、全員が「…いや、知ってるけど」となり、演出家の顔面が爆発するほど裏目に出ます。

僕の方からすでに送らせてもらっている脚本の第一稿は“スタッフ間で『Poupelle of Chimney Town』のストーリーを共有する為のもの”であり、あんなものを、コアファンが集まる場所で出してはいけません。

極論、ストーリーは“ほぼほぼ”カットする方向で進めて、ストーリーを知っているお客様が、「ああ、これは、あのシーンのことだな」と脳内で結びつけられるような歌とダンスを前面に押し出した内容にした方がいいと思います。

#このあたりはクラシックバレエやSleepNoMoreを参考にするといいと思うよ

 

【地雷その②】

変化球を投げる。

これが一番最悪です。

ウンコ中のウンコです。

そして、先に言っておきますが、僕の経験上、99%のクリエイターが第一希望で「変化球」を持ち出してきます。

「挑戦」の意味をはき違った人達です。

「挑戦」とは、「これまで選ばなかった打ち手を選ぶ」ということではありません。

「挑戦」とは、「最も難しい打ち手を選ぶ」ということです。

ストレート球を待っているバッターに、三球連続でストレート球を投げて、空振り三振させることが最も難しく、空振り三振させられた側が最も気持ちが良い負け方がそれです。

「どうせ最後は星が見れるんでしょ?」と皆が思っている中、その皆の予想どおりに最後に星を見せて、そして、皆を感動させてください。

その勝負から逃げるクリエイターとは徹底的に話し合い、戦ってください。

それでも変化球を投げてくるのであれば、その方をチームから外してください。

そもそもの理念が違うので、お互いにとって幸せではありません。

そして、そのストレート勝負に出た時に予想される展開としては、玄人ぶりたいエセ評論家が、「ヒネリが無いよね」と言ってきますが、全無視してください。

内心では「ヒネリすぎた結果がオマエだろ」と思っておいてください。

 

【地雷その③】

ステージ上で「参加型」をする。

作る過程を共有しながら作品を作ったり、

メイキングを販売することで予算を捻出したりすることは大賛成です。

権利・契約から入ってしまう既存のエンタメの最大の弱点がそこを押さえられていないところで、先日、とある大作ミュージカルを観ましたが、ステージセットが死ぬほどショボかったです。

チケット代と協賛金でしか予算を捻出できてい弱さがクッキリハッキリ出ます。

「お客さんを巻き込んでいく」というのは、とってもとっても大切です。

しかしながら、世界戦はシンプルに「クオリティーの殴り合い」です。

BBQ型もヘッタクレもありません。

たとえば『映画 えんとつ町のプペル』なんかがそうですが、あの手この手で、お客さんを巻き込んでいますが、クリエイティブの根幹となる部分には一切立ち入らせません。

「どこからどこまでをBBQ型でいくか、どこからどこまでをレストラン型でいくか?」をキチンとチームで話し合い、線引きしといた方がいいと思います。

ミュージカル『Poupelle of Chimney Town』の勝負は企画力勝負などではなく、「クオリティーで黙らせる」だと思います。

したがって、「客寄せの為の有名人の起用」なども一切必要ありません。

#スコップが藤森は最高

ミュージカル『Poupelle of Chimney Town』のお客さんは、タレントの顔ではなく、「プペル」と「ルビッチ」を観に来ているので、たとえ一般的に知られていなかろうが、トップレベルのアクターをキャスティングしてください。

 

まとめ

まとめると……

・お客さんが知ってることを説明するな

・変化球を投げるな

・クオリティー勝負から逃げるな

の三本です。

圧倒的な腕力で世界中をねじ伏せてください。

僕は今から圧倒的なドブ板営業をしてきます。

現場からは以上でーす。

 

【追伸】

サロン記事の感想を呟かれる際は、文章の最後に『salon.jp/nishino』を付けて《本垢》で呟いていただけると、西野がネコのようになつく場合があります。

https://youtu.be/DAnx80iPglA

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