弱者(中小企業)が闇雲に戦ってどうするんだ! ~キミのサービスをコミュニケーションツールに意味変しろ~

投稿日:2022.06.13 / 西野亮廣エンタメ研究所

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おはようございます。
「カントリーロードの英語の歌詞って、もしかして『ゆけば~』のところ『You can´t back~』じゃね? だとしたら、メチャクチャうまく訳してるじゃん!」と思って調べてみたら全然違ったキングコング西野です。
 
さて。
今日は「弱者(中小企業)が闇雲に戦ってどうするんだ! ~キミのサービスをコミュニケーションツールに意味変しろ~」というテーマでお話ししたいと思います。
 
ものすごく当たり前の話なのですが、だけど今、この時代にメチャクチャ大切な話だと思うので、あらためて皆様と、このことを共有しておきたいと思います。
 
一言で言うと「守備、甘すぎだろ」という話です。
 
 

巨人が来る。
 

自分が世界戦に接続しているので、もしかすると少し過敏になりすぎているのかもしれませんが…とはいえ、本人が望んでいなかろうが、あらゆるサービスがグローバル競争にジワジワと巻き込まれ始めているのは確かです。
 
ちなみに、今話題の映画『トップガン マーヴェリック』の制作費はマーケティングを行う前(宣伝費をかける前)の段階で「約218億円」で、映画を作る以上は、こういったモンスター作品と同じ商品棚に同じ値段で並べられることになります。

アパレルの世界でも、飲食の世界でも、これと同じようなことがおこなわれていることでしょう。
 
「弱いヤツが強くなるスピードよりも、強いヤツが、より強くなるスピードの方が速い」
というのが世の理で、弱者たる僕らは、この現実を踏まえて戦い方を工夫していかねばなりません。
 
そんな生存戦略の一つが(サロンでは言うまでもありませんが)「コミュニティー」ですね。
 
サロンメンバーさんの中では、「安い店に行く」よりも「サロンメンバーの店に行く」という目的の方が勝っていることが普通にあったりします。
選考理由の一番最初に、「安さ」や「品質」ではなく、「人間関係(癒着)」がきてしまうコミュニティーには、さすがのグローバル企業も攻め入る隙がありません。
僕らが最初に手をつけるとしたらココ(コミュニティーづくり)。
 
こういった「グローバル競争に強引に巻き込まれた弱者の生存戦略」は今とても求められているハズなのですが…あるのは「自社製品をどうやって売っていくか?」というフレームワークばっかり。
どこを探しても「巨人対策」は体系化されていません。
#攻めばっかり
#守りがおろそか
 
なので、僕の中で、「巨人対策の心得」を一つ一つリストにしているのですが、今日は、その中から一つ、「すごく当たり前のことだけど、ココはキチンと言葉にして、チームの皆と丁寧に共有しておいた方がいいなぁ」と思うことを共有させていただきます。
 
 

途中乗車できるようにする
 

本当に「今さら」な話なのですが、やっぱり、「途中乗車ができないサービス(エンタメ)」は、「初期のファンと共に盛り上がるけれど、老いていく」という性格を持っています。
 
身近な悪例でいうと「古参がドヤる店」や「『にわかファン』を否定するエンタメ」などです。
 
この件に関しては、これまで「新規顧客をとれないと、いずれ消滅する(だからニワカを否定するのは良くないよね〜)」という切り口で語られてきましたが……テーマを『グローバル競争の生存戦略』にした場合、もう少し別の切り口で考えた方が正しいと思っています。
 
それは、「巨人お得意のパワープレー(お金)でもハックできないものは『時間』である」ということです。
 
巨人は、めちゃくちゃコストをかけて、今年「流行らせること」はできますが、今年「創業50年」を作ることはできません。
「創業50年」を作るには、50年かかるのです。
インスタントにコピーすることができない「続けること」の重要度が、今、メチャクチャ上がっています。
 
面白いのが、たとえば「作品」一つとっても、世の中に発表したばかりの「作品」の意味は、「作品」でしかないのですが、
その「作品」のファンを毎年少しずつ作り続け、どうにかこうにか一世代まわすことができれば、その「作品」の意味が今度は「親子のコミュニケーションツール」に変わります。
#この意味変は超大事
 
「親子のコミュニケーション」に巨人が付け入る隙などありません。
「息子と繋がっていたいから!」という理由で選ばれるエンタメに勝てるエンタメなど、なかなか無いんです。
 
「息子とは距離ができちゃうけど、『トップガン』の方が制作費もかかってるし、『トップガン』を観に行こう」という母親はあんまりいないですよね(笑)
 
「親子のコミュニケーション」と「制作費」を天秤にかけると、「親子のコミュニケーション」が(大体)勝つ。
 
巨人対策の一つのゴール(城壁の完成)はココで、「一世代まわす」ということに僕らはもっと意識を向けて、積極的にコストを割かなくちゃいけない。
 
こんなことを改めて考えるキッカケとなったのは、ここ最近、サロン内で話題沸騰中の『映画 えんとつ町のプペル』の続編の脚本執筆です。
 
(結局、それはボツにしましたが)ぶっちゃけ、続編を盛り上げるには「1の続き」を描いた方が盛り上げやすいんです。
「まさか“アイツ”があんなことをっ!」という手が使えるので。
 
ですが、これは「アイツ」の基礎知識がないと効かない打ち手で、「1」を観ていない人には置いてけぼり。
 
ここが悩ましいところで、「続き」を書いた方が盛り上げやすいのですが、それをやりすぎると、どんどん途中乗車できなくなり、そのうち「初期のファンと共に老いていくエンタメ」になってしまいます。
 
巨人が付け入る隙を無くすには、『えんとつ町のプペル』は「親子のコミュニケーションツール」に持っていくべきで、そう考えると、途中乗車できるように(どこからでも見始められるように)『1話完結』を積み上げていくことが重要だと判断しました。
 
『2』が出ようが、『3』が出ようが、『4』が出ようが、「見る順番」はどうでもいいように設計しておく。
『ドラえもん』や『クレヨンしんちゃん』のように。
 
その配慮が大事で、個人的には『2』や『3』という(見る順番を指定した&前提知識を必要とする)“呼び方”が悪手な気がしています。
 
冒頭から、すっごく当たり前のことを言っていますが、以上の話を踏まえて、今一度、世の中に出回っているエンタメ・サービスを見まわしてください。
 
どうですか?
 
どれも「巨人対策(城壁づくり)」がまったくなされていません。
力で迫ってくる巨人に対して、力で対向しようとしている。
 
「途中乗車できる設計で一世代のりきって、親子のコミュニケーションツールに意味変する」って、メッチャ難しいんです。
#言うは易し
だけど、それをやれば、グッと守備力が上がる。
 
「どうすれば巨人が力を出せないか?」
僕らの時代はそこを考えないと未来はありません。
戦いはすでに始まっています。
 
現場からは以上でーす。
 
【追伸】
 
https://salon.jp/nishino」を付けて今日の記事の感想を呟いていただけたら、西野がエゴサーチで見つけ出してニヤニヤします。
宜しくお願いいたします。
 
https://salon.jp/nishino-corporatemember/

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