表現や地域にとことん寄り添って、延々と手直しを続ける

投稿日:2023.03.01 / 西野亮廣エンタメ研究所

※この記事の内容は外部に発信していただいて大丈夫です。




おはようございます
どれだけ記事の更新が遅れようと「おはようございます」と言うことで、読む側が見落としていたということにしようと思っているキングコング西野です。

さて。
今日は『表現や地域にとことん寄り添って、延々と手直しを続ける』というテーマでお話したいと思います。
今日は「ファンタジー」の中身についてのお話です。

さっそく本題です。
 
 

コピペはやらない
 

そんなこんなでニューヨークに到着しました。
ミュージカル『えんとつ町のプペル』のブロードウェイ公演に向けてのアレやコレで来たわけですけども、今回は、ニューヨークでの過去2回のリーディング公演(関係者向けの本読み公演)で、ある程度の方向性が見えたので、「このタイミングで、演出や脚本や音楽や振付をガッツリと作り込もう!」となりまして、ニューヨークのスタッフ大集合で「クリエイティブ合宿」をおこないます。

ミュージカル『えんとつ町のプペル』が世界を獲るまでのロードマップは、プロデューサーの瀬戸口のVoicyやサロン記事の方で語られると思うので、僕の方からは、脚本家として「日本版」から「海外版」に書き換えた部分について皆さんと共有したいと思います。

絵本から映画になり、映画からミュージカルになり歌舞伎になり、日本版から海外版になり…その都度、『えんとつ町のプペル』は進化しているんです。
「コピペ」は一切禁止で、その表現方法に合った本をその都度書き、その場所に合った本をその都度書いています。音楽や、デザイン面もそう。

一点だけ。

過去二度、ニューヨークでおこなったリーディング公演は、「日本公演」でおこなった内容をそのまま発表しました。
「いやいや、コピペじゃん!」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、これは、「海外仕様に内容を変更することを前提としたコピペ」であって、最初から僕らは「日本版の通用するところと、しないところ」を知ることを目的としていました。

たとえば!

ミュージカル『えんとつ町のプペル』では、“炭坑夫のスコップ“がお酒をラッパ呑みしながら登場するわけですが、日本だと「陽気な酒呑み」という感じで受け止められますが、アメリカだと「屋外での酒のラッパ呑み」は、「ジャンキー」として受け止められてしまい、キャラクターは変わってしまうので、ここは書き換えなきゃいけません。

漫画を実写化する時に、主人公の髪型を漫画そのまま「ジグザグの髪の毛」にする作品あるじゃないですか?
あれは、漫画のキャラクターを忠実に再現しているようで、実は「変な髪型のヤツ」という謎設定を一つ乗っけてしまっているので、逆に、漫画のキャラクターから離れてしまうんですね。

「そのままやること」が大切なのではなくて、大切なのはオリジナルキャラクターを正しく読み取って、正しい形でアウトプットすることです。
これは、『映画 えんとつ町のプペル』に出てくる町(建物)を、実際に作る時も同じですね。
映画のコスプレのような建物を作るのではなくて、正しく「えんとつ町」を読み取って、現実世界に落とし込む時に、一番フィットする形をゼロから創造する。
都度都度、こんなことを繰り返しているから、ベラボーに時間がかかるのですが…だけど、そこを丁寧にやっているから、長く愛されているというのもあります。
 
 

海外版のスコップはチョット違う
 

さて。
今回のクリエイティブ合宿に持ち込んだ、ミュージカル『えんとつ町のプペル』の海外版は、日本版と何がどう違うのでしょうか?
※以前、少しお話ししたのですが、足並みを揃える為にあらためて共有させてください。

スタッフの要望で、映画であった「トロッコシーン」が追加されていたり…マイナーチェンジは色々とありますが、日本版と大きく違うのは、『土まみれの本が並んだ本棚』に囲まれた地下アジトから始まるオープニングシーンです。

映画や、ミュージカル『えんとつ町のプペル』の日本版では、煙突の上に座るルビッチの語りから始まっていましたが、海外版は「巨大な本」をエッサホイサと地下アジトに運んでくるスコップの語りからスタートします。

海外版のスコップは、表の顔は炭坑夫ですが(炭鉱免許をとって地下鉱山に入っている)、裏の顔は「土の中に埋まった本」を掘り起こす考古学者のような男で、彼の真の目的は「えんとつ町の歴史」を掘り起こすことです。

我々の人類史を見てみると、あらゆる時代の、あらゆる国の権力者達は、自分達にとって都合が悪い情報(書物)を焼いていて、場合によっては図書館ごと焼いちゃうこともあります。

この時、面白いのは、「真実を守りたい人」が焼かれない場所に「本」を隠したりするんです。

さて、どこに隠すか?

この流れだともうお分かりだとは思いますが、「土の中」です。
少し調べてみると「土壁の中」に隠した歴史もありました。
「隠す場所」としては最適で、土は燃えないので尚更良い。

「外の世界」を隠し、えんとつ町を支配するベラール(映画だとレター)一族が、「都合が悪い情報」を焼かないハズがありません。

きっと、えんとつ町でも過去、多くの書物が焼かれたことでしょう。
そして、その中には真実(歴史)を守るべく、土の中に書物を埋めた人もいたことでしょう。

その書物を掘り起こす、えんとつ町の真実を掘り起こしているのが、炭坑夫のスコップ(海外版)です。
彼の口癖は「土には歴史(ロマン)が埋まっている」ですが、まさに「歴史」が埋まっているんです。

今は、なんとなく(ボンヤリと)、スコップにはモグラの手下がたくさんいて、誰も知らない「えんとつ町の地下」で、モグラの王様として威張り散らしていたら面白いんじゃないかなぁと思ったり思わなかったりしています。

それもこれも、今回のクリエイティブ合宿で、いろいろと修正が入ると思います。

まずは、クリエイティブ合宿に入る前の状態を皆さんと共有しておきたくて、今日は、こんな記事を書かせていただきました。

最後に一点。
長く続くものは、同じモノを使いまわしているわけじゃなくて、ず〜っと手直しを続けていうことが伝わると嬉しいです。

それではクリエイティブ合宿、頑張ってきます。

現場からは以上です。

【追伸】

https://salon.jp/nishino」を付けて今日の記事の感想を呟いていただけたら、西野がエゴサーチで見つけ出してニヤニヤします。
宜しくお願いいたします。
 

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『映画 えんとつ町のプペル』 特別動画:スコップ編
https://youtu.be/Eu4S7CIvYFA

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