お笑い芸人にプロデューサーがいない問題

投稿日:2023.08.16 / 西野亮廣エンタメ研究所

※この記事の内容は外部に発信していただいて大丈夫です。




おはようございます。
台風7号に打ち勝って北海道に来たものの、台風7号が北海道に向かっている為、今度は帰れるかどうかが分からないキングコング西野です。

さて。
今日は『お笑い芸人にプロデューサーがいない問題』について、お話しさせていただきたいと思います。

僕のようなエンタメオタクに言わせると、今日は最重要課題です🔥

 

舞台『テイラーバートン』の場合
 

舞台『テイラーバートン』のオンライン配信チケットの売上が(まだまだ)伸び続けていて、ついに【7700枚】を突破しました。
劇場でご覧になられた御客様と合わせると、観客動員数は、まもなく1万人。

💎舞台『テイラーバートン』の(前半20分)無料動画はコチラ
→ https://youtu.be/ZvBe1Ol22pQ

このタイミングで、『テイラーバートン』のキャストの一人である阿部よしつぐサンがクラウドファンディングをスタートさせたのも最高です。
皆様、是非コチラを御一読ください。
→ https://www.picture-book.jp/projects/4079

さて。

「ウチの先輩をナメんなよ」という僕の個人的な想いからスタートした舞台『テイラーバートン』ですが、こちらの作品を観て「たしかに宮迫博之、ヤバイ…」という感想を持たれた方は少なくないと思います。

ここでハッキリしておきたいことがあって…

舞台役者や、そのファンの多くは、「演技は役者の方が上手いでしょ。芸人の演技は所詮…」という餅は餅屋的な考えを持っていたりするのですが、そんな彼らよりも遥かに多くのエンターテイメントを見ている僕に言わせると、「多くのケースにおいて、その考えは当てハマるかもしれませんが、(自分達を肯定したい気持ちや、自分が応援している役者さんを肯定したい気持ちは理解できますが)残念ながら一部例外はあって、多くの役者さんが逆立ちをしても(演技力&客席掌握力が)遥かに届かないお笑い芸人さんは存在します」といったところです。

宮迫さんや、木下さんが、まさにその「例外」で、稽古場から同席すると実力の違いに絶望する舞台役者さんは少なくないと思います。
#モノが違う

昔から「『肩書き』じゃなくて、普通に『実力』や『才能』で判断すりゃいいのになぁ」と思うことが多いのですが、素人の方にその審美眼を期待するのはお門違いですし、「ずっと、この場所でやってきた」という“その道○○年”のプロからすると、「認めたくない気持ち」が先行するのも分からないでもありません。
#理解はできるけど共感はできない
#僕は実力史上主義なので

僕自身、絵本を作る時も、ミュージカルを作る時も、映画を作る時も、その業界に昔からいた人達にチクチク言われたのですが、「クオリティーで黙らせる(※表現者としてモノが違う)」を繰り返してきて、今に至ります。

今回の舞台で、宮迫さんと木下さんの腕力を見せつけることができて、一つミッションはクリアできたかなぁと思っています。
#勿論この後もまだまだ仕掛けます

 

芸人にプロデューサーがいない問題
 

さて。

今回の舞台『テイラーバートン』では、一番最初に宮迫さんや木下さんといった先輩方(※10年先輩)に「面倒なことは僕(と僕のチームスタッフ)が全部やるので、宮迫さんや木下さんはプレイヤーに徹してください」というお願いをしました。

というのも昔から多くの芸人を見ていて思うのは「ポテンシャルの無駄遣い」で、「そこで努力しても効果が出ないじゃん」や「そのタイミングで告知をしたら全てが無駄になっちゃうじゃん」や「今のビジネスモデルで活動を続けてしまうと、数ヶ月後に活動資金が尽きて、生き延びる為に『やりたくない仕事』をやることになり、それで時間が埋まり、自分の目標から遠退いちゃうじゃん」といった“プロデュース面”のことばかり。

せっかく能力が異常に高いのに、多くの芸人さんは自己プロデュース能力に関して標準値で、皆、いきあたりばったりの自己プロデュースで生きています。
自分に何色が似合うかも分かっていない。

カジサックにしても、YouTubeを勧めたのは10年前だったのですが、その時は「いや、俺は…」といった調子で、本格的に始めたのは4年前ぐらい。
それなりに売れた人は、自分の自己プロデュース能力を高く見積もっている傾向があります。が、西野に言わせると「話にならん!」です。

『テイラーバートン』は「絶対に勝たせるので、そのかわり僕の言うとおりにしてください」という約束からスタートしているので、実はメチャクチャ動きやすくて(※手を打ちやすくて)、もうすでに次の動きも決まっています。

鼻につく言い方をさせていただくと「僕の言うとおりにしていただけたら勝たせられるけど(というか勝ちきるまで西野がやりきるけど)、言うとおりにしてもらえないと責任は取れません」といったところです。

「そんな地盤が緩いところにビルを建てちゃダメ!すべての努力が無駄になるから!」みたいな指示を毎日出しています。

ここが結構大きな問題だと思っていて、芸人には「マネージャー」はいるのですが、「プロデューサー」がいないんです。

キチンと戦略が練れて、予算を引っ張ってこれて、そして、御輿を担いでくれる有能なクリエイターをブッキングできる「プロデューサー」がいない。

現在は、元・テレビ東京の佐久間さんや、テレ朝の加地さんといった「テレビディレクター」が、その役割を担っていて、プロデュースができるテレビディレクターと繋がりのない芸人の多くは、その場しのぎの自己プロデュースで生きています。

かなり勿体ないと思います。

 

DJダイノジ
 

そんな中、僕の中で(宮迫さんや木下さんに続く形で)「この人達って過小評価されているよなぁ」と思う先輩がいて、それが『DJダイノジ』です。

DJダイノジの「巻き込み力」は、本業のトップDJの方に全く引けを取っていません。
その昔、芸人畑から「芸人がDJをしやがって」と揶揄されていましたし、おそらくDJ畑からも「よそ者扱い」されてきたと思うのですが、プレイヤーとしての能力は超一流です。

一方でDJダイノジの弱点は「長期的な希望はあるけれど、長期的な戦略が無い」ということと、「チームで動いていない」ということ。

ビジュアルデザインから何から何まで自分達でやっていて、プロデューサーがいないんです。

思いつきで色んなことに手を出した結果、「応援シロ」を失っていた頃(お客さんがどう見ればいいのか分からなかった頃)の宮迫さんと似ていて、これだと才能の無駄遣いです。

たった今アップされた動画で、そのことについて冗談混じりに触れていますが、「大谷さんはプロデュースのことを考えなくていいっす」というのは結構な本音です。

※こちらの動画→ https://youtu.be/wre7Dgd80aM

バンドザウルスのメンバーとしてステージに出る時のDJダイノジの出方やビジュアルに関しては僕に“全て”任せていただければ、確実に勝たせることができますが、「でも、こういうのもやりたいねん…」と自分の意見を挟んじゃうのが『人』ですので、僕としてはそこを上手に説得しなきゃいけません。

業界関係なく、メンバーに対して「言うとおりにしてくれたら、勝たせてあげられるのになぁ」と思っている(見えている)リーダーは結構いると思いますが、この問題をクリアするには、ある程度の時間(信じてもらえるまでの時間)が必要なんだと思います。

今度の幕張メッセでは、そのあたりに注目です。
ダイノジさんの動画、超面白いので、是非観てください。

現場からは以上です。

【追伸①】
「 https://salon.jp/nishino 」を付けて今日の記事の感想を呟いていただけたら、西野がエゴサーチで見つけ出してニヤニヤします。
宜しくお願いいたします。

【追伸②】
10月28日(土)に幕張メッセで開催する大盆踊り大会『えんとつ町の踊るハロウィンナイト』の参加チケットはコチラ↓
https://l-tike.com/concert/mevent/?mid=698180

【ゲスト西野亮廣】10.28幕張デビュー!?大注目のバンドザウルスに迫る!DJザウルスとのマル秘計画も…!?【ダイノジ中学校】
https://youtu.be/wre7Dgd80aM

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