「チーム運営」に関する話

投稿日:2022.09.08 / 西野亮廣エンタメ研究所

※この記事の内容は外部に発信していただいて大丈夫です。



 

おはようございます。
スマホが完全に死んだキングコング西野です。
全ての機能がストップしました。終わりました。

昨日に引き続き、今日も「チーム運営」に関する話をしたいと思います。
少し漠然とした話になりますが(具体性は無いですが)、このイメージをチームの皆で共有しておくことが重要だと思います。
※経営者さんよりも社員さんに届けたい話です。

 

収穫時期を共有せよ
 

「芸能」という特殊な世界にもチョコチョコと顔を出しながら、それなりに社会にも接続して生きているわけですが、業界関係なく、そこにいる人達はいつも二つに分類されます。

「村を肥やす人」と「村を枯らす人」です。

どちらも動機は「自分の腹を満たす為」ではあるのですが(それは良い!)、優先順位が違います。
村を第一に考え、自分の取り分を設計するか、自分を第一に考えて、村を後回しにするか。

どちらの場合も「自分」は「村」の中にいるので、後者(村を枯らす人)は確実に存在できなくなります。
そして、残念なことに、ほとんどの人が「後者」です。
皆、ついつい目先の利益を取りにいってしまって、挙句、村を枯らし、職を失います。

これは「経営者脳」と「労働者脳」の違いだと思うのですが(※実際の役職ではなく考え方の話)、経営者脳は「ここは取り分を抑えて、抑えた分を投資に回した方が、最終的な取り分は増えるよね」と考えますが、労働者脳は「なるべく多くの取り分を今ちょうだい」と考えます。

この話をすると、「収穫(回収)を急がなくて済むのは、生活に余裕があるからでしょ?」と、よく言われるのですが、たしかにその言い分には一理ありますが、僕が知る限り、「収穫を急がない人(目先の利益に飛びつかない人)」は、まだ何者でもない時から(余裕がない時から)収穫を急いでいないことがほとんど。

具体的な話をすると「収穫を急がなくても済むように、生活コストを上げない」という手を打っています。

結構、最初の段階から「まずはパイ(村)を大きくして、回収は10年後、20年後」という感じで動いています。

チームプレイでミニコントなんかをしていると(※ゴッドタンとか)、「ここは、まだ収穫しないでいようね」という暗黙の了解があります。
たとえば、劇団ひとりサンとの対決シリーズで、ひとりサンと僕がまず最初に視聴者さんに見せる姿勢は「笑わせたい」ではありません。

「西野に勝ちたい」「ひとりサンに勝ちたい」です。

もっと言えば「お笑いなんて、どうでもいいんだ」です。

もちろん、お互い、そんなことは微塵も思っていません。
お互い、内心は「絶対に笑わせてやるぞ」と思っていますが、大きな笑いを生む為には、「僕らは笑わせるつもりはありません」というポーズをとる必要があり、そこに向けて、おぎやはぎサンやスタッフの皆様も一つになります。

この下準備の段階で、「何をカッコつけとんねん。芸人やったら、笑いを取れよ」というガヤは絶対にNGです。(※素人はよく言いますが)

(表向きは)笑わせるつもりがない人達同士が、真剣に肛門に指を入れあっているから面白いのであって、「芸人やから笑わしまっせ〜。皆さん、見てください!今、僕の肛門に指が入ってま〜す!」というのは1ミリも面白くない。

そうして消えていった(お笑い偏差値の低い)芸人を、これまで3000人ぐらい見てきました。
そして、劇場の舞台袖で「そんな目先の笑いを取りにいくな!」と胸ぐらを掴まれている若手芸人もたくさん見てきました。

お笑いは「チームプレイ」なので、意外と「社会」や「企業」と似ているかもしれません。
個人プレイに走ると、いとも簡単に崩れてしまいます。

収穫を急ぐ人というのは、往々にして「収穫を急ぐことの罪」に無自覚です。
そこに悪意はありません。
皆で大きなビルを建てようと思い、土地をせっせと開拓している時に、その土地の真ん中に小さな家を建ててしまう。
その家がたった一軒あるだけで、その土地にはもうビルは建てられない。
当然、ビル工事は頓挫するので、仕事は無くなります。

自分の仕事は勿論、まわりの皆の仕事も。

『米百俵』という話があります。
北越戊辰戦争(1868年)で負けて、貧困で苦しんでいた長岡藩に贈られた「百俵の米俵」を、藩の偉いさんである小林虎三郎が全て売っちゃった…という話です。

虎三郎曰く、
「百俵の米もみなで食えばたちまちなくなる。しかし、教育にあてれば明日の一万、百万俵となる。国が興るのも、街が栄えるのも、ことごとく人にある。食えないからこそ学校を立て、人物を養成せよ」

要するに、「回収を急いで、損をこくな」という話ですね。
間違っちゃいけないのは「すぐに米を食べたい側にも正義(言い分)がある」ということ。

チームを大きくする為には、その言い分と向き合わなきゃいけません。
「それも分かる。それも分かるけど、今は…」という話し合いをして、足並みを揃えなきゃいけない。

とくに、ここからは「意味」や「ブランド価値」の時代です。
「機能」と違って、手に入れにくく、失いやすい代物です。

「それをしたら、皆が丁寧に築いてきた『意味』や『ブランド』が一気にゼロになって、全員が食いっぱぐれる」ということが平気で起きる。

私たちのチームは、どこで収穫するのか?

このことはチームの皆で話し合っていた方がいいと思います。
現場からは以上です。

【追伸】
https://salon.jp/nishino」を付けて今日の記事の感想を呟いていただけたら、西野がエゴサーチで見つけ出してニヤニヤします。
宜しくお願いいたします。

https://salon.jp/nishino-corporatemember/

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