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ライブ化する映画

2020.10.19 / 西野亮廣エンタメ研究所

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おはようございます。

沖縄のタクシードライバーさんに行き先の「住所」を伝えても、ほぼ通用しないことを知っているキングコング西野です。

#それはそれで会話が増えて楽しいです

さて。

今日は『ライブ化する映画』というテーマでお話ししたいと思います。

 

「意味変」と「ニーズの細分化」

自分の偏愛をブチ込んで生み出した作品は、ほったらかしにしておくと誰にも届かないまま死んでしまいます。

というわけで、あの手この手で届けるわけですが、届け方を考える時に、いつも僕は、

「自分の作品を意味変すると?」

「自分の作品のニーズを細分化すると?」

…という二つのチェック項目を設けるようにしています。

このサロンも、よく登場する言葉ですが、「意味変」と「ニーズを細分化する」は似ているようで、微妙に違います。

まずは、ここを説明しますね。

「意味変」というのは、「もともとそのアイテムが持っている『意味』を変更して、あらたなニーズを作る行為」です。

たとえば、絵本『えんとつ町のプペル』がもともと持っている意味(役割)は「読むもの」ですが、個展会場の出口に置くことで「おみやげ」になり、支援のサブスク等を設けることで「ギフト」に、それぞれ意味が変わります。

(※ちなみに今日は沖縄の子供達600人に絵本をプレゼントしてきます。いつもありがとうございます→https://salon.jp/child_gift)

繰り返しになりますが、ポイントは「そもそも存在しなかったニーズを、意味を変更することによって、あたらしく作る」という点です。

たとえば、「傘×意味変」で考えた時に、傘がそもそも持っている意味は「雨をしのぐもの」ですが、上手くデザインすれば「インテリア」としての意味も追加できるかもしれません。

そうなると、その傘の売場に「家具屋さん」が追加されるので、売り上げが伸びます。

#たとえばね

これが「意味変」です。

一方、「ニーズの細分化」はこれとは違い、「もともと存在しているニーズを細かく分けて、それぞれに適切な広告を打つ行為」であり、「あらたなニーズを生み出す行為」ではありません。

絵本は「読み物」ですが、細分化すると、そこには「情報としての絵本」と「『読み聴かせ』という親子のコミュニケーションツールとしての絵本」があることが分かります。

これまでの出版業界はこれを細分化せずに(ひとまとめにして)広告を打っていました。

ただ、『情報』と『コミュニケーションツール』は、まったく別の商品です。

というわけで、絵本『えんとつ町のプペル』は『情報』を無料にして(無料公開して)、『コミュニケーションツール』として売り出しました。

ここまで説明すると、「無料にしたら売れなくなるだろ!」という批判が、いかにナンセンスな意見か御理解いただけると思います。

#ていうか当時からこの説明をしてたよ

 

映画のニーズを細分化する

もともと僕は映画『えんとつ町のプペル』をYouTubeで全編公開するつもりでいました。

「その上で、映画館でも上映する」と。

この話をした時に、そりゃあもうドえらい空気になって、やはり反対意見としてあがってきたのは、「内容が分かっている作品を、わざわざ観に行く人はいない!」でした。

もちろん僕の考えは、まったく逆です。

映画のニーズを細分化したときに、『情報としての映画』と『ライブ体験としての映画』があります。

後者は、大画面×大音量×ポップコーンのアレです。

あれは、スマホでは体験できません。

くわえて、SNSで雑音だらけの世界になればなるほど、「電源をお切りください」の体験価値は上がっていて、『デジタルデトックスとしての映画』はあるなぁと思っています。

Netflixであろうが、YouTubeであろうが、途中にLINEがピコピコ入ってくるし、入ってこなくても気にしてしまう自分がいます。

「強制的に電源を切らされることに全員が納得している空間」の価値は今後どんどん上がるので、先日、ディズニーが動画配信に舵を切ったニュースが流れましたが、コロナに煽られて少し打ち手をミスったかなぁ?と思っています。

映画の内容はヒット作であればあるほど、SNSで流れてくるので、実は『情報としての映画』には、そこまで価値が無いと思います。

つまり近頃の僕らは、誰もしらない情報を取得する為に映画館に行く人は実は少なくて、おおよそ知っている情報を体験しに行く為に映画館に足を運んでいる。

「CDやYouTubeで聴いた米津玄師さんの曲を生で聴くためにライブに行く」みたいなノリです。

ライブとして販売することを考えると、「情報を隠す」なんて悪手でしかないのですが、おそらく今回の『鬼滅の刃』のヒットで、その流れも終わると思います。

「あれ? もう、情報(内容は)って、出していった方がいいの?」と世間が気づく。

あとは、「情報性の高い作品」と「体験性の高い作品(アクション等)」でも、今後は明暗が分かれてくると思います。

『えんとつ町のプペル』は、そのあたりニーズをキチンと細分化して、もろもろ踏まえてアプローチしていきたいと思います。

それでは、これから沖縄の子供達に絵本を配ってきまーす。

現場からは以上でーす。

 

【追伸】

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