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『モチベーション』なんて、ただのマーケティング

2024.03.11 / 西野亮廣エンタメ研究所


 

おはようございます。
むしろ花粉症の免疫をつけてやろうと思って、メガネをかけずに外に出たら、3日間死んだキングコング西野です。

さて。
今日は「『モチベーション』なんて、ただのマーケティング」というテーマで、珍しく「やる気」や「動機」や「モチベーション」について言及してみたいと思います。

今日の話を聞くと「モチベーションが上がらない」や「スタッフのモチベーションを上げるにはどうすれば…」といった悩みに対して疑いが生まれると思います。

面白い話なので、是非最後までお付き合いください。
 
 

モチベーションって何?
 

「モチベーション」についてちょっと真面目に考えてみました。
実体がないので、そこそこ捉えにくい存在だなぁと思いつつ、データ上(@群馬流氷科学センター調べ)分かっていることは「無能なヤツほど『モチベーション』を口にする」です。

もう少し言うと「行動しないヤツほど『モチベーションはどこから湧いてきますか?』という質問をする」です。

逆に、優秀なクリエイターや経営者で『モチベーション』を口にしている人は、ほとんど見かけません。

このことから、「『モチベーション』は無能なヤツのもの」という仮説を立てることができます。

次に、「感情」と「行動」の“登場順”を整理したいと思います。

プレゼントを貰うと「嬉しい」という感情が生まれ、
殴られると「ムカつく」という感情が生まれ、
テスト勉強を頑張って98点をとると、「次は100点を取るぞ」という感情が生まれるように、
「感情」の前には、その感情を生むキッカケとなる「行動」が必ずあります。

必ず、身体(行動)が先で、脳(感情)が後です。

なので、「どうすればモチベーションが湧いてくるのですか?」という質問は、そもそも前提(前後関係)が間違っていて、「どうすれば『美味しい』と思えますか?」と言っているようなもの。

「いや、(料理)食えよ」って話です。

とりあえず料理を食べてみないことには、「マズイ」という感情も、「美味しい」という感情も生まれません。

「モチベーションはどこから…」と頭を抱えるヤツは、「どうしたら、『美味しい』と思えるのかなぁ~」と言いながら、100年間何も食べずに悩み続けるヤツと同じです。
#お前ずっと何やってんの

「モチベーション」や「やる気」や「動機」なんて、そもそも存在しなくて、ただの虚構で、主人公による“後付け”でしかありません。

実際そうでしょ?

今、ものすごーくお仕事を頑張っている貴方にお聞きしたいのですが…
朝から晩まで頑張って、
不安と理不尽に襲われ続けながら、
ゆっくり眠れない日々を過ごし、
それでも貴方は明日も頑張って走っている。
ものすごく努力をしている。

その仕事を始める時に、その痛みに見合うだけの「やる気」や「モチベーション」や「動機」や「覚悟」を持ち合わせていました?

持ち合わせていないでしょ?
「なんか、おもろそう」ぐらいの動機で始めたでしょ?
「他の仕事よりラクそう」ぐらいの動機で始めたでしょ?
「モテそうだから」ぐらいの動機で始めたでしょ?
「お姉ちゃんが勝手にオーディションに応募したから」で始めたでしょ?(@ジャニーズ)

そこそこ安い理由、安いノリで始めちゃって、走っているうちに、「やる気」や「責任」がグラデーションで発生してしまい、気がついた頃には、「今の行動量」と「始めた動機」がまるで見合っていない…というのが実際のところ。

僕だってそうです。
去年の『えんとつ町の踊るハロウィンナイト』(@幕張メッセ)は死にものぐるいで準備をしましたし、最後には「絶対にやりきるぞ」という覚悟が備わっていましたが、キッカケはロザリーナに大説教をする為に呼び出した酒場で、イジツさんから「幕張メッセやりません? 5か月後に」とフラれて、とくに何も考えずに「やるっしょー」と返したところからです。
#1分前まで幕張メッセのことなんて1ミリも考えていなかった
#いつか立ちたいステージでも無かった

もはや「動機」とも呼べない程度のものです。
 
 

なぜ僕らはこんなクソみたいな虚構を信じるのか?
 

問題は、なぜ僕らは「モチベーション」や「動機」などというクソみたいな虚構を信じ、ありがたがるのか?という部分です。

これには心当たりがありまして…

映画や舞台の脚本会議では、必ず「主人公の動機」というトピックが出てくるんです。
「主人公は何の為に冒険に出るのか?」という。

それでいうと、『えんとつ町のプペル』の主人公・ルビッチは、「世界に中指を立てて、町の空を覆う黒い煙を爆破して、星空を見せる」という大テロリスト行動の動機が、「父ちゃんが『星がある』って言ってたから」なわけですが、これだと、動機が弱すぎるんですね。

「『大好きな父ちゃんが言ってたから』と言っても、さすがに、そこまではやらねーだろ」というツッコミが入る。
「もっと、大きな動機が必要だ」と。

いかにも正論っぽいのですが、先ほどもお話ししたとおり、現実世界では「行動(量)≠始める動機」なんです。

「世界チャンピオンになった人間の『始める動機』が世界で一番大きい」なんてありえない。

ちなみに、以下はボクシング世界チャンピオン井上尚弥選手のインタビューです↓

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
(井上)
父も選手として練習をしていて、そこのジムで一緒に練習をし始めたのがきっかけです。

始めた頃は“まったく楽しくなかった”んですけど、間近で父 のがんばる姿を見せられていたので、自分もがんばろうという気持ちで続けていました。そして小6のときに初めて試合に出場 し勝つ喜びを味わったり、試合で生まれた課題を練習で取り組み次の試合に活かしていく中で、“段々とハマっていきました”。

出典:http://5yell.jp/athlete/800027437/
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始まりなんて、まぁ、大体こんなもんです。
#段々とハマってくる

では、何故、作品の作り手は主人公に「始める動機(しかも強烈なやつ)」を埋め込もうとするのか?

それは、その作品を見る99%の人間が「行動しないから」で、行動しない彼らを肯定する為には「モチベーションがあるから行動できる。モチベーションがないから行動できない」という“言い訳”を作ってあげなきゃいけないから。

「あなたが今、行動できていない理由は、たまたまモチベーションに恵まれてないからでちゅよ。おっぱい飲む?」と耳触りの良いことを言ってあげないといけない…というか「売れない」んです。

つまり、『モチベーション』なんて、作品を売るためのただのマーケティングで、そう考えると、『モチベーション信仰』は映画やドラマや漫画や舞台誕生以降の現代病とも言える。

キチンと調べてみないと分からないですが、マンモスを狩りに行っていた時代に『モチベーション』という概念は今ほどは無いと思います。

「『モチベーション』とは、サボる理由を探している無能な人間に体よく商品を売りつけるためのマーケティング(虚構・洗脳・言い訳)だった」という風に割りきると、自分やチームにも『モチベーションファースト』を持ち込むことの不毛っぷりが見えてくると思います。

ゴタゴタ考える前に問答無用でやらなきゃいけない環境を作るのが一番健康的だと思います。

現場からは以上です。

【追伸①】
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宜しくお願いいたします。

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