おはようございます。
「もう二度とお酒は飲まない!」という嘘を400回ぐらいついているキングコング西野です。
#二日酔いです
さて。
今日は「答えが見えてきた」というテーマでお話ししたいと思います。
ゴリゴリのクリエイティブの話です。
「違い」を知る
日本に帰ってきてからは、ひたすらミュージカル『えんとつ町のプペル』の脚本と向き合っています。
日本の方からすると、「まだ、プペルをやってんの?」という印象かもしれませんが、現地とコミュニケーションをとっている自分からすると「いや、まだまだ足りないんだけど…」といったところ。
日本で作ったものをそのまま届ければいいわけではなくて、文化の問題や、宗教の問題や、投資家の思惑などなどを踏まえて、ブロードウェイ仕様にチューニングする必要があり、それには相当の時間が必要です。
そもそも僕自身の意識も変えなきゃいけない。
ニューヨーク滞在中は、ほぼ毎日、何かしらの作品を観に行っているのですが、そこで目の当たりにするのは、観劇偏差値の高さです。
「観劇癖がついている」と言ってもいいかもしれません。
「読書癖」みたいなアレです。
作り手から言わせると、「ちょっと小難しい内容でも、ついてきてくれる」といったところ。
これには二つの理由が考えられて、一つ目は「せっかく観るのなら、全力で楽しもうとする」というもの。
言い方を変えると「モトをとろうとする」です。
これは僕自身がそうなのですが、ブロードウェイで上演されているミュージカルを観る時に「フラッと観に行く」ということはあまりなくて、存分に楽しむ為に「作品の背景」を下調べしてから観に行くことが多かったりします。
たとえば、『Six』というミュージカル(パフォーマンスショー?)は、「ヘンリー8世」という、テューダー朝第2代イングランド王の嫁達がオラオラ叫ぶ内容となっているのですが、僕らは「ヘンリー8世」も知らなければ、「テューダー朝第2代イングランド王」と言われてもピンとこない。
それだと楽しめないので、観劇前に「ヘンリー8世って、どんなヤツだったんだろ?」と調べるわけですね。
「次、いつ観れるか分からないので、この一回を無駄にはしたくない」という観光地スイッチがバッキバキに入っている。
ホラ、「お城」とかって、歴史を知らないと全然面白くないけど、歴史を知った上で観に行くと、「ここで、あんなコトや、こんなコトがおこなわれていたんだぁ〜」と面白がれるじゃないですか?
あの感じです。
ちょっと小難しい内容でも、ついてきてくれる理由の二つ目は、これはブロードウェイに限った話じゃなく、「日本と海外の違い」と言っても過言じゃないと思うのですが、海外で作品を展開する時(個展などをした時など)に毎度感じることで、「芸術の味わい方が染み付いている」があります。
日本のお客さんと海外のお客さんだと、「感想」の解像度が全然違うんです。
日本のお客さんは、「すごいですね〜」「上手いですね〜」「描くのに何時間かかりましたか?」という表面的な感想が多いですが(それでも全然嬉しいです)、海外だと「私は、この絵から○○を感じ、△△について考えました。あなたは、どのような意図をもって、この絵を描いたのですか?」という美術評論家みたいな感想が一般の方からサクッと出てきます。
日本だと「芸術」と聞くと、お高くとまっている(金持ちの道楽的な)イメージですが、海外(※ザックリした表現ですみません)だと、「芸術」は日常のコミュニケーションツールで、そこが、そもそも全然違う。
#そうじゃない海外もあるけれど
向こうは「味の違い」に敏感なので、大味の作品を出すと「痛いところ」をガンガンつついてきます。
「わー、楽しかったー」で片付けてくれなかったりします。
ここで言っているのは、「日本よりも海外の方が優秀」という話ではなくて(※そもそもボク、大味の作品も好きなので)、「日本人と外国人とでは、芸術の味わい方が違う」という話です。
なので、「何がどれぐらい違うのか?」を知る必要があって、そこに時間を要しています。
野球で例えると、「日本のプロ野球とメジャーリーグではストライクゾーンが違う」みたいなところ。
この違いを正確に捉えない限り、ヒットは打てない。
先日もお話ししましたが、今回のニューヨークはとても実りある時間となりました。
「日本でやったものをそのままやれた」というのも大きかったし、「ディスカッションの時間をガッツリとった」というのも大きかった。
それによって「違い」の解像度がグンと上がりました。
僕は今日も『えんとつ町のプペル』の脚本を書いています。
日に日に、日本版とブロードウェイ版の内容が違うものになってきていて、実に面白いです。とくに『スコップ』の扱いが。
ブロードウェイ版には、
「俺が掘ってるのは『石炭』じゃない。『歴史』だ」
という台詞が入っています。
さて、どうなることやら。
もう少し脚本がまとまれば、「ブロードウェイ版はこんな感じになりましたよ〜」というのを皆さんの共有させていただきます。
「なるほどなーっ!!!!!」と言わせる自信があります。
お楽しみに。
現場からは以上です。
【追伸】
「https://salon.jp/nishino」を付けて今日の記事の感想を呟いていただけたら、西野がエゴサーチで見つけ出してニヤニヤします。
宜しくお願いいたします。
https://youtu.be/Eu4S7CIvYFA