普遍的な作品を届ける

投稿日:2023.04.13 / 西野亮廣エンタメ研究所

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おはようございます。
週2でプールに通っているのですが、この度、お爺ちゃんのプール友達ができたキングコング西野です。
 
今日は朝から『ボトルジョージ』の会議が入ってまして(すっごく良い会議でした!)、更新が遅れちゃってすみません。
 
さて。
今日は『普遍的な作品を届ける』というテーマでお話ししたいと思います。
 
 

世界で活躍する日本のIP
 

今、映画『スーパーマリオ』が世界で大ヒットを飛ばしています。
興行収入は5日間で500億円を突破し、『アナ雪2』を軽々と超える結果に。
なんとも痛快で、作り手に希望を与えてくださっています。
 
ただ、「映画×スーパーマリオ」は順風満帆とは言いがたい歴史で、1993年に公開された“実写版”映画『スーパーマリオ』は、制作費50億円をかけて作られ、北米興行収入が2100万ドル、日本では配給収入3億円と大ゴケ。
 
スーパーマリオの黒歴史に数えられていました。
なので、今作は「30年越しのヒット」です。
 
もう一点。
 
日本では、あまりニュースになっていませんが(なんで?)、舞台版『となりのトトロ』がイギリスで歴史的大ヒットをブチかましておられます。
#とんでもないヒットです
 
みんな大好きトトロ先生ですが、トトロの歴史もなかなか渋いものがありまして、1988年に公開された映画の興行収入は『火垂るの墓』と合わせて(二作品同時上映)で11.7億円。
スタジオジブリが潰れてしまうほどのコケっぷりでした。
#このあとの魔女宅で巻き返した
 
マリオにしても、トトロにしても、輝かしいスタートを切れたわけじゃなくて、作品の力(普遍性)を信じぬいたスタッフのその後の努力によって、世界的なIPへと成長しています。
 
さて。
 
僕自身、エンターテイメントの世界にいて、いつも思うことがあります。
それは、皆(特に日本の場合)「IPを生み出す」というところは頑張るんだけれど、「IPを育てる」という“しつこさ”をあまり持ち合わせていない…ということ。
 
なんなら「いつまで、その作品をやってるの?」という声すら上がったりします。
 
個人的には、「普遍性のある作品を育てない(しつこく発信し続けない)」あるいは「普遍性のある作品(古くならない作品)を、普遍性のない作品(古くなる作品)と同じように売り出す」というのは、“普遍性のある作品の無駄遣い”だと思っています。
 
「なんの為の普遍性なの?」という。
 
「煮込めば煮込むほど味が出る料理を作っておいて、煮込まずに出す」みたいなことをしちゃっている。
 
原因はいくつかあると思っていて…特に日本の場合だと、「旬の俳優(の集客力)で集客する」という攻め型がベターになっているので、「俳優さんの旬が過ぎた時に集客できなくなる(=育てるコストに売上が見合わない)」という問題がありそうです。
 
「20年後に『ごくせん』のリバイバル上映しても集客が難しい」的な。
 
それなもんで、作品が「鮮度重視」になり、「稼げるうちにサッと稼いで、次!」が当たり前になり、お客さんの中でも、「そういうものだ」となってしまっている。
 
だから「いつまで、その作品をやってるの?」という声が出てきてしまう。
 
そもそも「いつまで、その作品をやってるの?」って、IPの意味を成してないと思うんです。
 
落語ファン的に言うと、落語家さんに向かって「いつまで『芝浜』やってんの?」と言ってるようなもの。
#いつまでもやれる芝浜を作ったことが凄いんだよ
 
ピノキオにしても、ピーターパンにしても、100年前に誕生して、何度も何度も映画や舞台になり、去年も“新作のピノキオ”が公開されました。
 
昨日、CHIMNEYのスタッフと電通のスタッフさんと『えんとつ町のプペル』の続編について喋っていた時に、今日の記事に書いた内容を思いました。
 
100年以上現役選手として残っている名作がどういう変遷を辿ったのかを僕らはもう少し勉強した方が良さそうです。
そして、作品を“消費するように生み出すこと”を当たり前にしてしまっていることに疑問を持った方が良さそう。
 
少し具体的な話をすると、「少子化」は日本だけの問題じゃなくて、たとえばアメリカでもガンガン起きています。
 
最近、ブロードウェイで目立ってきたのは「完全オリジナル作品」というよりも、お父さんお母さんや、お爺ちゃんお婆ちゃん世代の懐メロで構成されている「親子二代、親子三代で楽しめる作品」で、今の日本の『SLAM DUNK』や『シン・仮面ライダー』『シン・ゴジラ』の流れとソックリです。
 
「大人にとってはリメイクで、子供にとっては新作」という作品が徐々に力を持ってきている。
 
そう考えると「普遍的な作品」と「普遍的な作品の届け方」に、もう少し目を向けた方が良さそうです。
 
今日も頑張ろっと。
 
CHIMNEY COFFEE渋谷店からは以上です。
 
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↑今日の『えんとつ町のプペル こどもギフト』に投稿された記事の一部。
 
こういうことだと思う。
 
https://salon.jp/child_gift
 
 
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