こんばんは。
「ウンコのような味のカレー」と「カレー味のウンコのようなもの」だったら、「カレー味のウンコのようなもの」を選ぶキングコング西野です。
#なんの報告
さて。
今日は『ロングセラーの谷』というテーマでお話ししたいと思います。
「備えあれば憂いなし」みたいな話です。
作品の理想線
『トップガン』の世界的ヒットが記憶に新しいですが、今年は『リメイクもの』のヒットが目立ちます。
ヒットの共通点は「マーケットが二世代にわたっている」といったところでしょうか。
今日は、そのへんの話。
連載終了から27年が経った『ドラゴンボール』が、ここにきて過去最高の売り上げを出しています。
『ドラゴンボール』シリーズの2012年度の売上高は「89億円」。
そこからジワジワと右肩上がりに売り上げを伸ばし、2021年度の売上高は、なんと「1276億円」。
先月公開された新作映画も大ヒット。
(出典)↓
https://news.yahoo.co.jp/articles/72ba21b490c760c1e92422f16913f07de88ebddc
「“喩え”でドラゴンボールを持ち出すのは古いよね」という批判(感覚)は完全に時代遅れで、『ドラゴンボール』は今、『ワンピース』や『呪術廻戦』を遥かに凌ぐ現役プレイヤーです。
テレビシリーズの復活や、ゲームの大ヒットなどなど、今の『ドラゴンボール』ブームを作った要因はいくつかありますが、
やはり強いのは、「27年前に『ドラゴンボール』に胸を踊らせていた少年達が父となり、我が子と一緒に『ドラゴンボール』を楽しむ」という流れが生まれていること。
将棋の「歩」が敵陣地まで攻めこむと「金」に化けるように、
「作品」も、超ロングセラー(約20年)になると、「親子のコミュニケーションツール」に化けます。
『絵本』というコンテンツも、「20年間愛され続けることができるか?」が勝負の分かれ目で、20年を越えたら「絵本」は「親子のコミュニケーションツール」に化け、無双モードに突入します。
「ロングテール」だと思われていた線が、ある地点で上昇し始め、徐々に「V曲線」を描くわけですね。
基本的には、これが作品の理想的な展開だと思います。
『ポケモン』や『ウルトラマン』なんかもそう。
さて。
ここで見落としちゃいけないのは、「あの『ドラゴンボール』でさえ、沈んだ時期(売り上げが年々下がっていた時期)があった」という点です。
「親子のコミュニケーションツール」になるまでには「谷」があり、『ドラゴンボール』はその谷を”どうにかこうにか”乗り越えたわけです。
僕らのチームもご多分に漏れず「長く愛される作品」を作りにいっているわけですが…
・20年を越えたら親子のコミュニケーションツールに化ける。
・その手前には「谷」がある。
…の二点は、今のうちからシッカリと共有して、必ずやってくる「踏ん張り時」に備えておく必要がありそうです。
『ドラゴンボール』でいうところの「ゲーム」や、『ガンダム』でいうところの「プラモデル」や、『トイ・ストーリー』や『スターウォーズ』でいうところの「フィギュア」を開発する必要があるのでしょう。
そういったものが「谷」に橋をかけてくれる。
ついでに、確実に守っておきたいのは「『新作制作』に酔わないこと」。
今日も新作アニメーション『ボトルジョージ』の打ち合わせがあったのですが、やっぱり「新作制作」って“働いてる感”が表にも裏にも凄く出るんですね。
ただ、何度も言って申し訳ないですが、「親子のコミュニケーションツール」になるまでには、子が親になるまでの『時間』が必要なので、「作って、終わり」ではなくて、「作ったら、しぶとく届け続ける」をやらなくちゃいけない。
#日本人はここが圧倒的に弱い
ミュージカル『えんとつ町のプペル』にしても、去年11月のファーストアタック(劇場&オンライン公演)よりも、今回のセカンドアタック(YouTube無料公開)の方がたくさんの人に観られたわけで、まだまだまだまだ届けきれていません。
この「作品と長く付き合う」という意識と、「長く付き合うことを決めた時のリスク」は、しっかりと骨に叩き込んでおかないと(ファンの皆様とも共有しておかないと)、とくに今の時代は生き残れない。
しまっていこうと思います。
現場からは以上でーす。
【追伸】
「https://salon.jp/nishino」を付けて今日の記事の感想を呟いていただけたら、西野がエゴサーチで見つけ出してニヤニヤします。
宜しくお願いいたします。