おはようございます。
僕の地元の兵庫県川西市に「金太郎」の墓があるので(※金太郎の墓は日本中にある)、金太郎グッズを作ったりして、金太郎を推しているのですが、かれこれ数百年以上バズってないので、さすがに諦めた方がいいんじゃないかと思っている西野です。
#金太郎の墓がある町に行こう
#とはならない
さて。
今日は『世界が貸しきれる需要』というテーマで、昨日お話しした「えんとつ町」の宿の話を、もう少し掘り下げて、皆さんと共有しておきたいと思います。
(※スタッフの皆様への業務連絡を兼ねています)
テーマパークではなく、コンセプトシティー
日常空間から切り離した夢の国『ディズニーランド』はもうあるのだから、そこはお任せして、僕らが向き合っているのは「日常空間にいかにファンタジーを織り込むか?」という課題です。
そこから逆算すると、当然、日常空間に織り込めるようにファンタジーを設計する必要があって、日本の風景をリノベーションしたら再現できるように「えんとつ町」を作りました。
森が舞台となっている僕の絵本の世界(チックタックとかポンチョとか)も、日本の森を飾り付けたら再現できるように作りました。
現在制作中の絵本『ボトルジョージ』は、ストップモーションアニメ(人形アニメ)化する計画があるのですが、その際、ミニチュアのセットを作ります。
そのミニチュアセットを現実世界に存在する「えんとつ町テイスト」の建物の中に置けば、【えんとつ町の住人が作ったミニチュア作品(ファンタジー)】として打ち出すことができるので、『ボトルジョージ』の舞台(作品世界)は、100%ファンタジーで問題ありません。
あとは絵本『ボトルジョージ』の巻末に、ルビッチ(えんとつ町の住人)が、ボトルジョージのミニチュアセットを動かしている挿し絵でも一発入れておけば、すべての整理がつきます。
目的は「現実とファンタジーの境界を曖昧にすること」で、見習うべきは『ディズニーランド』ではなく、『京都』や『ベネチア』です。
『オペラ座の怪人』を観た後に実際の『オペラ座』を見たら、「ここでファントム(怪人)が……」と想像するじゃないですか?
あの逆転現象に興味があります(^o^)
ファンタジーで地域を守る
現実とファンタジーの境界を曖昧にするエンタメビジネスって、つまるところ、究極の「内需」なんです。
「県外の人を引っ張ってこよう」という“お客さんの奪い合い”ではなくて、自分の身の回りを面白くして、「自分の時間とお金を自分の身の回りに使おう」なので。
なので、兵庫県川西市に美術館などの施設を作ることを決めた時も、もちろん「外需」は押さえつつ、「どうすれば川西の皆さんが来てくれるだろう?」と考えました。
今度、作ろうとしている「宿」もそうです。
川西市民の気持ちを代弁すると、どうせ泊まるなら非日常の景色が広がる『星野リゾート』に泊まりたいです。
家の隣にある旅館には泊まりたくありません。
つまり「景色」を売りにした時点で、他の宿との競争になり、内需を取れません。
売らなきゃいけないのは「景色」じゃありません。
いよいよ本題です。
世界を貸しきる
コロナちゃんが暴れる前、僕らは世界のあらゆる地域で『光る絵本展』を開催していました。
中でも、大失敗に終わったのがフィンランド。
「ヘルシンキ(フィンランド首都)のど真中の駅前の公園がとれましたー!ここで、『光る絵本展』をやりましょー!たくさんの人が観てくれるハズです!」とスタッフさんに言われるがまま、フィンランドに向かったわけですが、現地に到着すると、先に現地入りしていたスタッフさんが死体みたいな顔をしています。
「どうされたんですか?」と訊けば、「白夜です」と一言。
その時期のフィンランドは夜でも昼間のような明るさです。
太陽の光が散々と降り注いでいるので、絵本を光らせたところで、誰も光っていることに気づきません(笑)
豪快にアホをやってしまいました。
ここから、どうこうしたところで、どうにもならないので、僕らは早々に白旗をあげて、酒場で残念会をします。
酒場を3~4軒ハシゴして、『光る絵本展』のことなどすっかり忘れたド深夜の帰り道。
公園の横を通ると、『光る絵本』が煌々と光っています。
気づけば、辺りは真っ暗。
さすがに、この時間になると、僕ら以外、人っ子一人いません。
『光る絵本』が真ん中にあるヘルシンキの街並みは、その瞬間、僕らの為だけにあって、他のどの地域でも味わったことのない感動に包まれたことを今でも鮮明に覚えています。
似たような経験を、『満願寺』や『エッフェル塔』の個展の営業終了後にしました。
お客さんがいなくなった光る満願寺や、光るエッフェル塔&パリの夜景は、その瞬間、僕らの為だけにありました。
ついさっきまで散々観ていたのに、“自分達だけで貸しきれた瞬間”に、まったく違う世界として存在していたのです。
面白いのは、世界が変わったわけではなく、「貸しきっている」というマインドが、世界を明らかに変えているという点です。
温泉旅館の『露天風呂付き客室』が同じような発想で価値を生んでいると思うのですが、どこか「とはいえ、露天風呂付き客室にある露天風呂だな」感が否めません。
貸し切りの本質は「ギャップ」で、一人(もしくは一グループ)では食べきれない量の空間が必要なのだと思います。
そこで考えたのが、昨日、お話しした『シアタールーム』です。
『映画 えんとつ町のプペル』を観る為だけの旅館
セコい話は抜きです。
旅館のド真中に『映画 えんとつ町のプペル』を観るためだけの巨大なシアタールームを作って、「他のお客様」との相乗りは無し。
部屋ごとに「上映時間」を決めて、その空間には、一人か、同じ部屋に泊まっている友達か、恋人か、家族しか入れません。
赤ん坊が泣いても、誰にも迷惑がかからない。
シアタールーム内の美術(世界)の矢印は全て、個人(もしくは同グループ)に向いています。
この状態で観る『映画 えんとつ町のプペル』は、きっと、まるで違う作品になるでしょう。
それをメインコンテンツにすれば、近所の方も泊まりに来てくださるハズ(^o^)
『映画 えんとつ町のプペル』を観るためだけの旅館です。
別世界にする為に、シアタールームは半地下にあるとイイと思います。
階段を5段でも降りると、世界は変わるので(^o^)
少し踏み込んだ話をすると、「本気のシアタールームが付いている旅館」だと、映画館が作れないような『第一種住居地域』にも建設可能なので、いろいろと展開できそうだなぁと思っております。
まずは、成功モデルを作ります。
また相談させてください。
現場からは以上でーーす。
【旅館ガチ会議 ~生配信視聴権~】
↓
https://nishinoinc.thebase.in/items/41101709
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