おはようございます。
ジョギング中に犬に噛まれたキングコング西野です。
#現代日本で犬に噛まれることってあるのね
#条件反射で「噛むんかい」とツッコんでしまった
#飼い主さんにはひたすら謝られたけど
#そんなことよりも
#犬に真面目にツッコんでいる自分に笑った
#今日の一言目
#噛むんかい
さて。
今日は、「ミュージカルや歌舞伎の『えんとつ町のプペル』のラストシーンに出てくる船を、どう飛ばすか?」という、ゴッリゴリの【クリエイティブ】に関するお話をしたいと思います。
メイキングオタク(メイキング映像好き)によるメイキングの話です。
一流と三流の違い
具体的な話に入る前に、まずは、僕がモノを作るときの「大枠」についてお話しします。
方向性の話です。
これはエンタメ業界に限った話ではなくて、全てのサービス提供者に通ずる話なのですが、まずは、「一流のクリエイターと、三流のクリエイターの違い」を明らかにしておきます。
プロ(お客様からお金と時間をいただいてサービスを提供している人間)である以上、「お客様の期待に応える」のは当然で、そこに関しては、すべてのサービス提供者が理解しているところだと思うので、ここでは、「お客様の期待に応える」ということを生業(出場切符)にしているプロの中に、「一流」と「三流」があるよ…という話をします。
#はやく話せよ
「お客様の期待に応える」という道に進んだプロは、その先で二手に分かれます。
結論を先に言うと、
【三流】は、「(いい意味で)お客様の期待を裏切る道」に走り、
【一流】は、「お客様の期待を上回る道」に走ります。
「お客様がそこに何を求めているか?」というニーズは誰でも分かるわけで、そのニーズを「あえて外す」ことぐらいバカでもできます。
ストレートを待っているお客さんに、カーブを投げるような。
「CD音源になっているものを生で聴きたい!」と集まってきたお客さん相手に、「アコースティックバージョン」をやってしまうようなことです。
こんな仕事をしてしまう原因は「自分の技に飽きているから」と「ストレートを望んでいる人に、ストレートを投げて打ち取れる力が無いから」の二つ。
これは、精神的にも肉体的にも未熟で、こういう仕事をする人のことを「三流」と呼び、西野は「クソど素人がっ!」と呼びます。
僕の現場では、「オナニーしてぇなら、自分の部屋でやれ!目の前から消えろ、タコ!」と、なかば人格攻撃(パワハラの向こう側)のようなブチキレ方をする西野を、田村Pがすかさず場外に蹴り飛ばすシーンが半年に一度見られます。
エンタメ業界以外の世界でもよくある光景だと思うのですが、芸歴を重ねると、同業者やコアファン……いわゆる「玄人(くろうと)」と呼ばれる人達の目が気になってしまって、「玄人を納得させてこそ本物だ」という考えを持ち始める人は少なくないのですが……そんな時は、
「オマエがまだ素人だったあの日、エンタメのエの字も知らないオマエの胸を踊らせて、この世界(業界)に憧れるキッカケをつくってくれたあの人は、そんな仕事をしていたか?」
と質問するようにしています。
そして、そのあとに、
「たった10年やそこらで、自分の技に飽きてんじゃねぇ!同調圧力をかけてくるクソ関係者の視線にヒヨッてんじゃねぇ!ストレートを待っているお客さんに、ストレートを投げて打ち取ることができない自分の実力不足と向き合え!ザコがっ!」
と人格攻撃に入ります。
#パワハラの向こう側
僕は、チームとして作品を作る時に強く強く決めているテーマがあります。
それは、「ハッピーエンドの王道ファンタジー」です。
精神面、技術面、予算面を含む努力がもっとも必要で、そして、もっとも才能を必要とする仕事です。
それ以外の仕事には興味がありませんので、それ以外の仕事を持ち込もうとするスタッフには「そんなに変化球を投げたいなら他所でやっておくれ」と容赦なく外れていただきます。
#夢はあるが
#血も涙も無い
船を飛ばす
今年11月におこなうファミリーミュージカル『えんとつ町のプペル』と、来年のお正月公演となる新作歌舞伎『プペル ~天明の護美人間~』の”見せ場”は、いくつもありますが、やっぱりお客さんが期待しているのは、「船が飛んでいくシーン→星空シーン」でしょう。
モーレツな大喜利です。
絵本や映画の表現には物理的制限はありませんが、実際問題、船は飛びませんし、劇場の中には「星空」はありません。
「星空をどう見せるか?」はまた今度お話しするとして、今日は「船の飛ばし方」について、今、ボンヤリと考えている演出プランを共有したいと思います。
#大丈夫
#文字面で情報として知っていても
#生で見たら必ず感動するから
お客さんが求めているのは「浮遊感」で、本当に飛んでいる体験をしたいのだと思います。
その際、お客さんの“立ち位置”が重要になってきます。
「飛んでいる船を見る」のか、「飛んでいる船に乗っている」かで、見せ方が大きく違ってくるわけですね。
劇場の床は動きませんし、小さな劇場内でドローンで船を飛ばしたところでチープなものになってしまうので、
劇場(ステージ&客席)を、船の甲板に見立てて「空に上っていく体験」を演出するのが打ち手としては正しいのかなぁ?と思っています。
照明テストをしてみないことには、まだ何とも言えませんが、今のところは…
客席の上に散らしたスモークに、『線』でレーザーを出すのではなく、『面』でレーザーを出して、「煙の天井」を作り、そして、面のレーザー(煙の天井)を上下させることで、(実際に床は動いていないのだけれど)浮遊感を出せるのかなぁと思っています。
ホラ。
寂れた遊園地にある【トリックハウス】とかで、「迫ってくる天井」の部屋に入った時に、天井が落ちてきているのか、それとも床が上がっているのか分からなくなるじゃない?
あの感じです😁
シンプルなトリックだけど、丁寧にやれば、意外とそれっぽく見えるのかなあと思っています。
実際、最終的にどうなるのか?は、まだ決めていないのですが、この案をボツにしたとしても、こういった過程を踏んだことは共有しておきたいなぁと思って、今日は、ずいぶんと踏み込んだクリエイティブの話をさせていただきました。
いずれにせよ、必ず感動させますのでお楽しみに!
現場からは以上でーす。
【追伸】
サロン記事の感想を呟かれる際は、文章の最後に『salon.jp/nishino』を付けて《本垢》で呟いていただけると、西野がネコのようになつく場合があります。
【本公演のオンライン配信はコチラから↓】
https://meets.ltd/poupelle/ticket_1116/