相場を知らない罪

投稿日:2023.10.20 / 西野亮廣エンタメ研究所

※この記事の内容は外部に発信していただいて大丈夫です。




おはようございます。
ほぼ日帰りでオーストラリアに行くキングコング西野です。

さて。
今日は『相場を知らない罪』というテーマでお話したいと思います。

メチャクチャ大事な回です。

スタッフ全員に聞かせてあげてください。
https://salon.jp/nishino-corporatemember/

 

予算を作る現場に立ち会っている
 

舞台『テイラー・バートン』の【ディレクターズカット版】が映画館で上映されるのですが、大阪のチケットは既に完売して、東京(12月3日)のチケットの券売状況も『547/612席』といったところで、まもなく完売しそうです。

チケットはコチラから↓
https://chimneytown.net/products/20231203taylorburton01

日頃、CHIMNEY TOWNまわりでも「○千人動員」「○万人動員」という数字を耳にするし、これが映画になってくると「○百万人動員」というバカげた数字を耳にすることで麻痺をしている方もいらっしゃるかもしれませんが、ライブを作っている人ならば、『612席』の会場が埋まることのインパクトの大きさを御存知なハズ。

『テイラー・バートン』の上映会にいたっては「出演者がいないのに、その規模の会場が埋まる」ということが起きていて、さらには、地域を変えれば、上映会自体はずっと続けることができる。

「名古屋公演」をするにも「福岡公演」をするにも「札幌公演」をするにも、カンパニーの交通費や宿泊費、キャスト&スタッフのギャランティーが追加で発生することはありません。

多くの人が、この運動を小さく見積もっていますが、『映画館上映のニーズがある舞台作品』というのはとんでもなく大きな力で、それができるのもCHIMNEY TOWNが舞台『テイラー・バートン』を買った(全額出資した)からです。

大手事務所ですら映画を作る時は「制作委員会」という形で、お金を出してくれる企業を探してリスクを分散しているぐらい(そうしないと会社が潰れちゃう)、「権利を買いきる(権利を持ちきる)」というのは決してラクなことではありません。

ただ、権利を持っていないとスピード感を持って攻めることはできなくて…なので、CHIMNEY TOWNは「権利を買うための予算づくり」を毎日ヒーヒー言いながらやっとります。

予算づくりの現場に立ち会っていると見えてくるのは「何に、どれぐらいのお金がかかるのか?」という相場と、そして、「その負担を誰が背負ってくれているのか?」という“痛みの所在”です。

逆に言うと、予算づくりの現場に立ち会ったことがない人は、本当に悪気なく(天然で)「自分がどれだけの恩恵を受けているか?」を把握できていないんです。

※メチャクチャおもろい参考記事→https://note.com/entamelab/n/nc8b42abff35c

自分がどれだけの恩恵を受けているか(誰が背負ってくれた痛みの上に立っているか)を知らないので、当然、痛みを背負ってくれている人への感謝も生まれない。

前々から、これは結構な罪だなぁと思っています。
このことは(業界関係なく)皆が把握しておいた方が良いことだと思うので、正直に全部お話しすると…

『えんとつ町の踊るハロウィンナイト』の運営をお手伝いさせていただく中で、これまでに一度だけ「ムッ」としちゃったことがありました。

それは、吉本興業のスタッフに対して。
#カジサックは関係無いよ

元々、『えんとつ町の踊るハロウィンナイト』はイジツさん(SHOW DESIGN)と僕(CHIMNEY TOWN)で始めたプロジェクトだったのですが、同時期に「5周年イベント」をやろうとしていたカジサックが「イベント会場を押さえられない…どうしよう」と困っていたので、「それなら、『えんとつ町の踊るハロウィンナイト』のステージを使う?」という話になりました。
やっぱ、相方や吉本興業が困っているのは、ほっておけないので。

入り口がそこなんですね。

そして、カジサックステージも用意して、カジサックのオンライン配信も、そのオンライン配信チケットの販売も許可して、さらには、カジサックブースのスペースも提供して…「運営は1円もいただかない(オンライン配信チケットのパーセンテージもいただかない)」というスタンスをとりました。

カジサックと吉本興業を応援したかったので、皆、ボランティアどころか「持ち出し」だったんです。

その条件をお渡しした上で、途中、一瞬だけ「カジサックを(えんとつ町の踊るハロウィンナイトの)オンライン配信に出すのであれば、売上をいくらか貰えませんでしょうか?」的な空気が流れた時に、西野が完全にピキついちゃいました。

「それを言い出したら、カジサックのステージ設営や、幕張メッセのレンタル料、演出費、ブースのスペース料…もろもろで1500万円ぐらいかかる(&オンライン配信の売上の50%を頂戴することになる)のですが、そちらを請求しても大丈夫ですか?」という話になるわけで、ここはSHOW DESIGNさんが言いづらい部分(西野の相方だし)だと思ったので、「ガン詰めしといて、ください」とマネージャーに託しました。

結局、その話は無かったことになり(たぶん!)、関係を壊すことなくハッピーエンドに向かったのですが(#これは吉本興業に感謝です)、ここでの話というのは、まさか『吉本興業バッシング』なんかじゃなくて、「相場が分かっていないと、悪気が無くても、相手を攻撃してしまっていることがあるよ」という話です。

カジサックのマネージャーはとても素晴らしい人間で、キチンと話せば、キチンと話を聞いてくれます。
#いつもカジサックをフォローしてくれて感謝です

ただ、あの規模のイベントを「予算づくり」の段階から自分達で仕掛けたことが一度も無いので、どこに、どれだけのお金がかかるかが分かっていない。

その結果、1500万円ぐらいのものをすでに受け取っているのに、「お金を貰えますか?」という発想になってしまう。

これ、面白いのが、『サーカス(@日本武道館)』で堀江さんに出ていただいた時に、ギャラの代わりに、堀江さんが武道館のステージに立たれている動画をプレゼントして、「ご自身のYouTubeチャンネルで自由に使ってください」としたのですが、その時の堀江さんの反応は「こんなに貰っちゃっていいの?」だったんです。

これが「相場が分かっている人」の反応です。

これは凄く凄く大切なことで、繰り返しますが、相場が分かっていないと知らず知らずの間に加害者になっていることがあるので、チームとして(会社として)、研修でいいので『自分達で予算を作る』をやってみることをオススメします。

現場からは以上です。

【追伸①】
https://salon.jp/nishino」を付けて今日の記事の感想を呟いていただけたら、西野がエゴサーチで見つけ出してニヤニヤします。
宜しくお願いいたします。

【追伸②】
《大阪平野の夜景を一人占め》HIBARI GOLF(宝塚市)のVIPラウンジ『星の絨毯』(2024年9月オープン)の【年間3日×7年分】の貸し切り利用権をお求めの方はコチラまで。
↓↓
https://support.chimneytown.com/hc/ja/requests/new

【30組限定】えんとつ町の踊るハロウィン・ナイトの櫓ステージ上での記念撮影権
https://www.picture-book.jp/projects/halloween-photos

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