一流とは何か?

投稿日:2021.09.10 / 西野亮廣エンタメ研究所

※この記事の内容は外部に発信していただいて大丈夫です。


おはようございます。
徹夜明けに書くので、どう考えても暑苦しい記事になることを先にお伝えしておきますので、朝から豚カツを食べるつもりで読んでいただきたいキングコング西野です。
#こちとら夜中のテンションだ

さて。
今日は『一流とは何か?』というテーマでお話ししたいと思います。
今、「プロ」を名乗っている人が何をしなきゃいけないのか?……的な話です。
 

エンタメ屋なのでエンタメを軸に話しますが、基本、すべてのサービスに(何らかの形で)置き換えられる話だと思います。
 
宜しくどうぞ。
 

 

「プロ」とは何か?
 

まずは「プロとは何か?」をハッキリさせた方が良さそうです。

ここは絶対に間違っちゃいけないポイントですが……「プロ」とは「上手い人」ではありません。
 

「プロ」とは「結果を出す人」です。

つまり、自己完結している人ではなく、自分以外の何らかとコンタクトをとり、連続して需要が発生している人の呼び名が「プロ」です。

「じゃあ、上手さは要らないのか?」というと、勿論そんなことはなくて…、結果を出す為には「上手さ(クオリティー)」も必要です。

ただ、プロになるには(結果を出すには)「上手さ」の価値を正しく見極めないといけません。

最近はよく「皆の技術が上がったから、技術の価値が下がったよね」という話を耳にしますが、「技術は必要だけど、技術の価値は下がっている」ということが、文字で説明されるだけだと、あんまりピンとこない人もいると思うので、具体例をあげますね。
#普段はこんなことはやりません

今日は『西野スパルタ塾』だと思って話を聞いてください😁

まずは、コチラの動画をご覧ください。
(※長いので、1分45秒までで大丈夫です)

https://youtu.be/l8tmMHkQot0

こちらは、夏川りみサンが歌う『伝わりますか』(作詞・作曲=飛鳥涼)のCD音源に、素人さんが画像を貼り付けたものです。

CD音源なので、音が整えられていて、とても綺麗です。

この音を覚えていただいた上で、次に、観て欲しい動画は、夏川りみサンがスナックのカラオケで歌っている『伝わりますか』の動画です。
#ちょっと見てみてくださいな

※コチラ→https://youtu.be/LD7Pa0EdUjg

……音楽家の「結果」は「感動させた」を指すと思うのですが、一本目の二本目…どっちの歌の方が感動しましたか?

ほぼ全員が後者を選ぶと思います😁

一本目の音源は、「プロを名乗る人が夏川りみサンの歌に手を加えて、感動を奪っている」という状態です。

この類の事故は、「編集現場」で頻繁に見られます。

「仕事をする」の意味を履き違えて、手を加えちゃうんですね。
新鮮な刺身にケチャップをかけるようなことをしてしまう。

「仕事」とは「手足を動かすこと」ではなく「価値を生み出すこと」なので、新鮮な刺身にケチャップをかける行為は「仕事」とは呼びません。

もちろん、結果を出していないので、「プロ」とも呼びません。

「【自称プロ】が仕事の真似事をした」といったところです。
#デザインの領域でもよく見られます

 

今、「プロ」には何が求められているのか?
 

今、歌声はいかようにでも加工できます。
そして、そのことをお客さんはもう知っています。

つまり、加工できる現場に才能あるアーティストを放り込んでしまうと、その才能に疑いがかけられてしまうわけです。

「これ、加工してるから、こんな感じなんでしょ?」と。

これでは、アーティストの才能を殺してしまっている。

ここにキチンとメスを入れたのが、YouTubeだと『THE FIRST TAKE』なんかがそう。

現代の加工技術を踏まえた上で(※『作られた上手さ』の無価値化を踏まえた上で)、「アーティストさんって、何も加工しなくても、これぐらい凄いんだよ」ということを、見せたわけですね。

あれこそが、プロのプロデューサーの仕事です。
「一番美味しい状態でお出しする」です。

「じゃあ、才能あるアーティスト(ものすごい素材)を前には『何もしない』が一番イイのか?」というと、それはそうでもなくて(※そこは時と場合で)……たとえば、次のミュージックビデオは、編集の手がバッキバキに入っていますが、平手友梨奈さんの(憑依系の)魅力がキチンと出ています。

https://youtu.be/qiLFkyEKhUQ
 

この映像ディレクターさんは、平手さんの才能を前にして、「自分が手を加えてもいいライン」を明らかに引いていて、そのラインを一ミリも越えていません。

カット割によって疾走感が出ているし、平手さんの魅力を一ミリも削っていない。

メチャクチャ優秀ですね。

これが「プロ」のお仕事で、この線引きが“時代に合わせて”ミリ単位で調整できる人を「一流」と呼びます。

「上手さ」が誰にでも作れるようになった時代に、何を、どう押し出せば「結果」が出るのか?

素材を前にして、常に、自分の能力と相談して、自分がどこまで口を挟めばいいのか?

今、プロに求められているのは、このあたりの判断だと思います。

「『上手い』は必要だけど、上手けりゃ食っていけるわけでもねぇんだなぁ」ということが少しでも伝わると幸いです。

現場からは以上でーす。

#それにしても夏川りみサンとASKAさんの歌は最高だな

【追伸】

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