「ノベルティにこそ、作家性が表れる」

投稿日:2018.06.03 / 西野亮廣エンタメ研究所

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『ノベルティ(novelty item)とは、原義では「目新しいもの、斬新さ」を指すが、近年では「企業が自社や商品の宣伝を目的として、それらの名称を入れて無料配布する記念品」を指す。 ノベルティを媒体とした広告をスペシャリティ広告(特殊広告)ともいい、プレミアム(景品)とは区別される』

こちらはWikipedia先生のお言葉。

「ノベルティソング」という言葉もありますね。
「コミック(おもしろ)ソング」という意味合いで使われることもありますが、今回は“宣伝を目的とした”曲ということで話を進めたいと思います。

星野源さんの『ドラえもん』や、JR九州とコラボしたりしている近年のドリカムさんの楽曲が、それに当たります。

ノベルティソングが面白い理由は、『宣伝100%』の曲を作っちゃうと「なんだ、宣伝かよ」と逆に宣伝効果が出ないところで、クライアント側も、むしろ作家の個性を求めている点です。
星野源さんの『ドラえもん』には、星野源臭が出ていないと宣伝効果が出ないわけですね。

草間彌生さんにノベルティグッズの制作を依頼する時も、やはり草間彌生臭が濃く出るものが求められます。

「ノベルティにこそ、作家性が表れる」という話です。

この流れで出版業界を見ていきましょう。

分かりやすいところでいうと、幻冬舎の箕輪さんが手掛けられているビジネス書や、僕が作っている本が『ノベルティブック』だと僕は考えます。

前田さんはSHOWROOMの宣伝を兼ねて、生き方の話をして、
佐藤さんはタイムバンクの宣伝を兼ねて、現代のお金の話をします。
(ちなみに『革命のファンファーレ』は、『えんとつ町のプペル』という活動(映画や個展や絵本)のノベルティブックです)

ノベルティソングやノベルティグッズ同様、この時、前田さんがSHOWROOMの宣伝100%のノベルティブックを作ってしまうと、本自体の売れ行きが伸びず、逆にSHOWROOMの宣伝になりません。

SHOWROOMのノベルティブックには『生き方』の話が求められ、そこには半ば強制的に前田さんの作家性・作品性が投影されるので、読み物として面白いです。

ノベルティブックが更に強いのは、「その作家にとってのキャッシュポイント(売上が出るポイント)が印税ではない」という点。

前田さんはSHOWROOMのユーザーが増えれば万々歳ですし、佐藤さんもタイムバンクのユーザーが増えれば万々歳。
印税なんて微々たるものなので、たとえば初版印税を全額、本の広告費に充てること可能です。
この方法は、印税で生きている作家さんには少し難しいです。

『革命のファンファーレ』では、広告として、初版印税を全額使って、全国5500館の図書館に新刊を寄付しました。
僕は『えんとつ町のプペル』に人が流れてくれればそれが一番嬉しいので。

本が売れれば、作家活動を継続することができるので、当然、なかなか出番が貰えない作家さんに比べると、作家としての能力も伸びます。
結論、ノベルティブックが描ける能力(および、その環境にいる)作家が強いっす。

出版の未来は『ノベルティブック』だと思います。

勘の良い方はお気づきかもしれませんが、僕の次回作『ほんやのポンチョ』は、『しるし書店』のノベルティブックです。

ゆくゆくは、自分の活動やサービスだけでなく、企業からのオファーを受けてつけて、ノベルティブック(絵本)が描けるようになりたいです。

『DOCOMOの売上に繋がるファンタジーを作って』という難題に答えるのは、とても楽しそうです。

http://nishino.thebase.in/items/10451432

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