おはようございます。
心当たりがないのに、空港の麻薬犬にはいつもドキドキするキングコング西野です。
さて。
昨日の投稿の続きです。
ようやくスタートを切ったミュージカル『えんとつ町のプペル』でしたが、ほどなくして新型コロナウイルスに襲われます。
ブロードウェイは今回のパンデミックを受けて歴史上初めて、(1年以上)閉鎖することとなり、ミュージカル『えんとつ町のプペル』の挑戦はとんでもない形で出鼻を挫かれます。
ただ、いつ終息するか分からないパンデミックに合わせていても仕方ありません。
というわけで、おもいきって舵を切り、「日本公演」を先にやることが決まりました。
#結果的にコッチの方が良かった
しかし、日本公演の演出家がなかなか決まらず、プロジェクトは遅々として進みませんでした。
そんな中、初期チームが解散します。
この解散には色んな理由がありましたが、ここでは割愛させていただきます。
白紙、再スタート、白紙…の連続で、何も進まないままチームは「小野さん」と「瀬戸口」の二人だけになりました。
相当、キツかったと思います。
「そろそろ死にそうかも」と思っていた矢先、(たしか年末の『天才万博』で呑んでいた時だったと思うのですが)瀬戸口から「西野さんが演出をやってくれませんか?」と頭を下げられます。
僕は「原作・脚本」でのみ参加するつもりだったのですが、さすがにここで断るとプロジェクトが死にそうだったので(笑)、いろんな仕事をズラして、「演出」でも参加させていただくことに決めました。
#これも結果的に良かった
さて。
昨日から、「ミュージカル『えんとつ町のプペル』のここまで」を駆け足でお届けしていますが、ここから少し踏み込んだ話をさせていただきます。
昨日の記事でもお伝えしましたが、今回は「死にそうになったら、死ぬ前に助けに行く」ということだけは決めて、基本的には「託す」「任せる」というのが僕の挑戦でした。
御存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、僕はかなりしつこい性格で、結果を出すのが(結果が出るまでトコトンやるのが)比較的得意なので、実は他人に「託す」「任せる」は、メチャクチャ難しい挑戦だったりします。
#自分でやれば上手くいくので
それでもまぁ、任せないことには「西野亮廣の1日24時間✖️365日」以上のパフォーマンスをお届けるすことはできないので、託すことに決めたのですが、託してから大変なことに気づきました。
『「プロジェクトを託す」というのは、「そのプロジェクトが完成していくまでのプロセスも託す」ということ』だったのです。
…もう少し具体的に言うと「そのプロセスが完成していくまでのプロセスの販売権利を譲渡する」ということ。
プロジェクトを小野さんや瀬戸口に託しておきながら、そのプロジェクトが完成するまでのプロセスを僕が販売してしまうと、小野さんや瀬戸口が販売するプロセスが無くなっちゃうんですね。
それだと、小野さんや瀬戸口の首が絞まってしまうので、それはやっちゃいけない。
「プロセスエコノミー」という言葉がありますが、商品として売りやすいのは「オフライン上の動き」で、「オフラインの動き(稽古風景や、届け方戦略など)」が最もアクロバティックで、見応え、読み応えがあるんです。
実際、僕自身、これまで、「①アトリエでコソコソと絵本を作る」「②作った絵本の広告戦略を練る&実行する」、「①アトリエでコソコソと映画を作る」「②作った映画の広告戦略を練る&実行する」を繰り返してきて、「プロセスエコノミー」として販売していたのは主に②なんです。
アトリエにいる時間なんて、ほぼ販売できないんです。
朝から晩までアトリエに籠って脚本を書いていたら、Voicyで喋るネタも、サロンに投稿するネタも生まれないんです。
ネタは、誰か(何か)と接触した時に生まれるんです。
ここまで説明すると、「『プロセスエコノミーをベースにしたプロジェクト』を“託す”ことの苦労」が見えてきたかと思いますが、要するに、小野さんと瀬戸口には「プロセスネタ」を残しておかなきゃいけないし、完成したものを僕が売るわけでもない。
毎日せっせと作っておきながら、売るものが無いんです。
なので、どう考えてもテメエの本業でもない「チームビルディングの話」とかをしちゃう始末(笑)。
「自分のメインコンテンツを販売せずに(メインコンテンツの販売&売り上げは次の世代にあげて)、年間にウン億円を売り上げなきゃいけない」という新しい挑戦が気がついたら始まっていたんです。
しかし、まぁ、「届け方(マーケティング)」で業界や、日本中に揺さぶりをかけて「時の人」になるのは今まで散々やってきたし、やり方も分かったので(そんなのいつでもできるので)、これ以上繰り返す必要もありません。
今回は、「プロジェクトを託しちゃうと、プロセスの販売の権利まで託すことになっちゃうんだ」という気づきがありました。
おかげ様で、アトリエに籠る時間が増えて、人里から離れてしまったのですが、世界を獲るには兎にも角にも「作品の強度」が必要なので、これでいいのだと思います。
四の五の言わずに、僕が世界で一番面白い作品を書いて、あとは「これだけのものを作ったんだから、それなりにヨロシクね」とスタッフにプレッシャーをかけていくのがフェアで良さそう。
月並みですが、「持ち場で結果を出す」ということですね。
そんなこんなでミュージカル『えんとつ町のプペル』は今週いよいよリーディング公演(@ニューヨーク)でございます。どうなることやら。
僕は脚本執筆に戻ります。
現場からは以上です。
【追伸】
「https://salon.jp/nishino」を付けて今日の記事の感想を呟いていただけたら、西野がエゴサーチで見つけ出してニヤニヤします。
宜しくお願いいたします。
▽ミュージカル『えんとつ町のプペル』のNYチームと合流しました。