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絵本『しるし書店(仮)』のプロット(叩き台本)

2018.02.17 / 西野亮廣エンタメ研究所

編集して

次々回作となる絵本『しるし書店(仮)』のプロット(叩き台本)を全公開します。

次回作『チックタック ~約束の時計台~』がド感動の「ホームラン」狙いの作品に対し、『しるし書店』は「バント」狙いの軽い作品です。

「泣ける話」というわけでもありませんし、「ドキドキワクワクする話」というわけでもありません。

音楽のアルバムでいうと、「リード曲じゃない曲」です。

ただ、こういうライトな作品も挟んでおきたいのと、なにより、「物語」で魅せるのではなく、「絵」で魅せる作品は、世代や国を選ばないので、『しるし書店』は、そこを狙おうと。

キャラクターも横展開(商品展開)をモロに意識しました。

(あとはWebサービスの『しるし書店』の宣伝も兼ねて)

文章は極力シンプルにしたいです。

削れるところは、ガンガン削りたいです。

読み聞かせをする時に、リズムが出るようにしたいです。

「もっと、こういう言い回しの方がいいんじゃね?」という御意見、おもくそお待ちしております。

ここに書いたのは、あくまでプロット(叩き台本)なので、今のところ、何のコダワリもありません。

どんどん直していきたいです。

編集、宜しくお願い致します。

※漢字は全カットしたいです。

※タイトルも、もっとキャッチーなタイトルにしたいです。何かないかな?


ほんや のクマハチは、いつもじぶんのことは あとまわし。

きのうは、たうえのおてつだい。きょうは おばあの にもつ もち。

(お婆さんの荷物を持っているクマハチ)
 

おかげで じぶんのおみせは、からっきし。

いつも おきゃくが おりません……

(『熊八書店』肩肘をつくクマハチ)
 

ところがどっこい クマハチは、

おきゃくがいないということを、すっかりわすれて どくしょにむちゅう。

(本棚から一冊の本を取り出すクマハチ)
 

すきなページに おりめ をつけて、

だいじなぶぶん に せん をひき、

きづいたことを メモメモメモ。

(ペンを片手に本を読むクマハチ)
 

ほんは、すっかり『しるし』だらけ。

これでは おきゃく に うれません。

ところがどっこいクマハチは、「ガハハハ。しまった。これじゃあ、売れねえや」と、この調子。

(気づけば「しるし」だらけになった本を片手に、笑うクマハチ)
 

あるとき、1人の おんなのこ がやってきました。

おんなのこ はレジの隅に置いてある 一冊の本に手を伸ばします。

クマハチが うっかり『しるし』を入れてしまった本です。

(しるし本を手に取る少女)
 

「その本は『しるし』を入れちゃって、売り物にならなくなったんだ。ガハハハ。」

クマハチがそう言うと、少女は目を輝かせて答えました。

「この本、面白い」

(しるし本を読み進める少女。困惑するクマハチ)
 

「この ほん をよめば、あなたがおもしろがっていることがわかる。これは せかいにひとつだけの ほん よ」

おんなのこは「『しるし』が入っているから面白い」と言いました。

(しるし本の良さを熱弁する少女)
 

「ガハハ。もともと売り物にならねえ本だ。持ってってくれ」

さすがに、タダで受け取るわけにもいかず、少女は自分がとても大切にしていた犬のヌイグルミを、クマハチにプレゼントしました。

(犬のヌイグルミを受け取るクマハチ)
 

次の日、評判を聞きつけた町の人達が、店に押し寄せました。

「しるし本をくださいな」

皆、他人の為に生きるクマハチが、普段、何を考えているのか、気になっていたのです。

(店の前に大行列)
 

クマハチが読んで、クマハチが「しるし」を入れた本だけを置く、クマハチの本屋は連日大盛況。

「はやく『しるし本』を作って」と皆がクマハチを急かします。

大好きな読書が仕事になるなんて思いもよらず、クマハチはとても幸せな毎日を送りました。

(大盛況の本屋。しるし本を作っているクマハチ)
 

そんなある日のこと。

クマハチの元に、駐在さんが駆けてきて、言いました。

「クマハチ!今すぐ、店に戻れ。店が燃えている」

(荷物持ちのお手伝いをしているクマハチのもとに、駐在さんが走ってきて、叫ぶ)
 

店は激しく燃えていました。

何年もかけて集めた大好きな本は、あのゴウゴウと燃える炎の中。

火の勢いはどんどん強くなっていきます。その時でした。

(町の人達が消化活動にあたるが、勢いよく燃え上がる『熊八書店』)
 

「オイラの宝物を助けないと!」

なんとクマハチは、燃え上がる店内に飛び込んでいったのです。

(炎の中に飛び込んでいくクマハチ)
 

火の勢いは強く、誰も店に近づけません。

町の人たちは、ただただクマハチの無事を祈るばかりです。

(火の勢いを前に、何もできない町の人達)
 

まもなく、燃えさかる店からクマハチが出てきました。

服は焦げ、身体中に火傷をおったクマハチ。

そのクマハチが、炎の中から命懸けで持ち出してきたものを見て、町の人たちは驚きました。

(炎の中から、命からがら飛び出してくるクマハチ)
 

犬のヌイグルミでした。

何十年も守り続けてきた店や、大好きな本が燃えてしまったというのに、クマハチは少女から貰った犬のヌイグルミを町の人達に自慢気に見せて、「助かったぜぇ。ガハハハ」と笑います。

(犬のヌイグルミを持って笑うクマハチ。唖然とする町の人達)
 

次の日、少女がやってきました。

少女は、自分の家から持ってきた古本をクマハチに渡しました。

「ここにクマハチの『しるし』を入れて、店で売ってちょうだい」

(焼け跡に佇むクマハチに、古本を渡す少女)
 

そして、町の人達が次々とやってきました。皆、自分の家にあった古本をクマハチに渡します。

「子供の頃に読んだ本なんだ。ここにクマハチの『しるし』を入れてくれよ」

「この小説をクマハチはどう読むかなあ。『しるし』を入れてとくれ。また買いに来るよ」

(古本を持った人々が焼け跡に集まる)
 

20

気がつけば、たくさんの古本が集まっていました。

「この古本にクマハチの『しるし』を入れとくれ」

誰よりも町の人達を愛したクマハチは、誰よりも町の人達から愛されていたのです。

(焼け跡にたくさんの本が集まる)
 

21

クマハチは まちのみなから もらった ほん の

すてきなページに おりめ をつけて、

だいじなぶぶんに せん をひき、

きづいたことを メモメモメモ。

そうして、町の人たちは、クマハチの『しるし』が入った せかいにひとつだけのほん をもとめて、また やってきたのでした。

(しるしを入れるクマハチ)
 

22

(『しるし書店』という看板が出ている。賑わっている)
 


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