マネタイズ(収益化)を急ぐ人は何故負けるか?

投稿日:2020.10.26 / 西野亮廣エンタメ研究所

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おはようございます。

公園で、ビニール袋の口を開いて走り回っている子供がいたので、「何してるん?」と訊いたところ「秋の空気を集めています」と返ってきたので、こいつは大した文豪になると確信したキングコング西野です。

#身体の小さな50歳だったのかもしれない

さて。

今日は『マネタイズ(収益化)を急ぐ人は何故負けるか?』というテーマでお話ししたいと思います。

 

「商品」の内訳

たとえば500円のハンバーガーを販売する時、サービス提供者は「お客さんが、何に、どの割合でお金を払っているか?」を把握しておかないといけません。

500円の内訳は(基本的には)次の3つだと思います。

①土地(空間)

②人(ブランド)

③商品

それぞれ説明すると……

「オシャレな店で食べる」や「時間をかけたくないので駅前(帰り道)にサクッと食べる」

に支払っているお金が①

「この商品を買うと、この人の支援になる」や「このブランドを着るとイケていると思われる」に支払っているお金が②

サービスそのものを享受する為に支払っているお金が③

といったところ。

「付加価値を付ける」というのは、①と②を頑張る作業で、とりわけ「控えめ」を美徳とする日本人は②が苦手な印象です。

が、ここを強化しないと薄利多売競争に巻き込まれ、確実に疲弊するので、背に腹はかえられません。頑張って。

#ブランドになろう

「①と②も大事だよ」という話は、これまで散々してきたので、今日は③「商品」に絞ってお話しします。

 

どう考えても、「フロントエンド商品」と「バックエンド商品」を分けて考えないサービスは厳しくなってきた……

フロントエンド商品というのは、マクドナルドでいうところの「100円マック」のこと。

つまり、「お客さんを店に呼び込む為の商品」です。 

したがって、フロントエンド商品自体の利益はありません。

バックエンド商品というのは、マクドナルドでいうところの「コカ・コーラ」のこと。

つまり、「利益を生む商品」です。

「利益率が良いから」といってマクドナルドがコカ・コーラ専門店になっていたら、「お客さんが店に来る理由が減ってしまうので、売り上げは落ちます。

「フロントエンド商品」と「バックエンド商品」は二つで一つ、どちらかが欠けるとヘロンへロンです。

#ヘロンへロンって何だ

#伝われ

ところで最近キンコン西野がテレビ出演を増やしていることを皆様は御存知でしょうか?

https://youtu.be/MppWP4hrLrQ

テレビのオファーを受けさせていただく時の条件は一つ。

「映画『えんとつ町のプペル』のCMを流すこと」

この条件が飲めない番組からのオファーはお断りさせていただいています。

#ゴッドタンを除く

#なんでや

ただ、出させていただくのであれば、出演ギャラは要らないどころか、(コチラから)お支払いしてもいいです。

テレビ(フロントエンド)よりも、映画や絵本やサロン(バックエンド)の方が利益率が高いので、当然っちゃあ当然の流れです。

テレビだけで生きているタレントがやっているのは「100円バーガーしか売らないマクドナルド」で、経営的には、かなり危険です。

店の隣に、『0円バーガー』もしくは『100円貰えるバーガー』を販売する(コカ・コーラを売っている)ハンバーガーショップができたら最期、お客さんをゴッソリと持っていかれます。

このへんは「独占禁止法」というもので守られている業種もあるのですが、タレントのギャラに関しては事務所の「言い値」なので、「ヒカキンがノーギャラで出てくれるのに、無名の若手芸人が10万円を請求してくる」ということが今後普通に起こります。

番組制作費が落ち続けているTVプロデューサーなら、どっちを起用しますか?

今後、タレントは「フロントエンド」と「バックエンド」を意識して活動をしていかないと、生き残ることは(物理的に)不可能です。

ちなみに、僕は今、テレビの枠ごと買おうと企んでいます。

(※自分で買った枠に自分が出ても良いものなのか探っているところ)

 

ファースト、セカンド、サード

キンコン西野のビジネスモデルは少し複雑で、テレビやSNSを「フロントエンド(ギャラは要らないです)」と割りきり、絵本や映画を「バックエンド(収益を作るぞ)」としているようで……どっこい、「絵本や映画でも売り上げは要らないっす」と言っています。

その更に奥に控えている「メイキング(オンラインサロン)」の方が利益率が高いからです。

「テレビは勿論ノーギャラでいいっす」

「絵本も映画も売り上げは全額宣伝費に使うか、寄付します」をされてしまうと、競合はひとたまりもありません。

こうなってくると、「フロントエンド」と「バックエンド」というよりも……

①ファースト(テレビ)

②セカンド(絵本・映画)

③サード(オンラインサロン・グッズ)

といった順番で並べて考えた方が分かりやすいかもしれません。

この場合、①でマネタイズしている人よりも、②でマネタイズしている人の方が有利で、

②でマネタイズする人よりも③でマネタイズする人の方が有利です。

マネタイズを後回しにできると「無料でシェアをとる」という戦術がとれるからです。

映画『えんとつ町のプペル』に個人で2億円近い宣伝費を投下できた理由は、②でマネタイズすることをハナから考えていないからです。

ここは根性論などではなく、将棋ですね。

今回、映画制作の現場に飛び込んでみて気づいたのは、「多くの映画人は、映画でマネタイズすることしか考えていない」というところでした。

「サードに繋がるようにセカンドを設計する」というのが、あまり見当たりません。

映画『えんとつ町のプペル』は、たくさんの人に届けたいし、劇場さんや、出資してくださった企業さんの応援もしたいので必ずメガヒットさせますが、個人的には映画単体でマネタイズするつもりなど毛頭ありません。

もし、映画の利益が僕個人(株式会社NISHINO)に出れば、それは全て映画の広告費にまわそうと思います。

大切なのは「サードに繋げる設計」で、映画公開という皆の注目が一番集まっているこのタイミングで、グッズ化しやすいキャラクター(映画のイラストそのままではないキャラクター)を売っておくことだと思います。

今日、オリジナルブランド『CHIMNEY TOWN』のデザインが世に出ましたが、実は、『CHIMNEY TOWN』は「映画館で販売されるグッズ」にも入り込んでいます。

「作品として魅力的なキャラクター」と、「生活空間に置いておきたいキャラクター」は別物です。

視聴率が高まっている今のうちに「生活空間に置いておきたいキャラクター」を売り込んでおく(認知してもらう)ことが、サードに繋げる為の重要な一手だと思います。

マネタイズを急ぐ人は、マネタイズを戦略的に遅らせている人が打つ「おもくそ予算がかけられた無料商品」によって駆逐されてしまうので、ここらへんの設計は丁寧にいった方がいいと思います。

また、呑みながら話しましょう😁

現場からは以上でーーす!

 

【追伸】

サロン記事の感想を呟かれる際は、文章の最後に『salon.jp/nishino』を付けて《本垢》で呟いていただけると、西野がネコのようになつく場合があります。

(※窪田正孝さんと芦田愛菜さんとの、舞台挨拶はコチラ↓)

https://youtu.be/i3nm1kZ1gTo
1人でも多くの方に観ていただきたいので「#えんとつ町のプペル」とYouTubeのリンクを付けて、生中継の感想を呟いていただけると嬉しいです。好きです。

 

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