メッセージを(しっかりと)持て

投稿日:2022.06.16 / 西野亮廣エンタメ研究所

※この記事の内容は外部に発信していただいて大丈夫です。



こんにちは。
日本にいる時も朝まで仕事してるし、ガンガン昼寝するので、時差ボケも何もあったもんじゃないキングコング西野です。
#ちなみにNYは朝の4時半です

記事の更新が遅れちゃってごめんなさい。

さて。
今日は『メッセージを(しっかりと)持て』というテーマでお話ししたいと思います。

僕はエンタメ屋なので、エンタメ屋の話になるのですが、今日の話は(これからの時代は)エンタメ屋だけに限った話でも無いと思います。

 

キミのメッセージは何だ?
 

今日は今年のトニー賞(ミュージカル界のアカデミー賞)の作品賞をとった『A STARNGE LOOP』と、同じくトニー賞にノミネートされ、そして現在、世界中で熱狂を巻き起こしている『SIX』という2本のミュージカルを観てきました。

『A STARNGE LOOP』は性的マイノリティー(同性愛者)の黒人青年の葛藤を描いた物語で、出演者は全員黒人というチーム編成。

作品の内容からチーム編成に至るまで、明らかに「Black Lives Matter(=黒人差別の撤廃を目的とした運動)」が透けて見えます。

一方、『SIX』は、ヘンリー8世(イングランドの暴君)の6人の元妻を描いた物語で、共同演出、舞台装置、振付、衣装、そしてキャスト全員が女性というチーム編成。

こちらは、作品の内容からチーム編成に至るまで、明らかにジェンダー問題(性差別・女性のエンパワーメント(女性に社会的権限を与える))が透けて見えます。

どちらの作品も社会的マイノリティーに寄り添っていて(むしろマーケティングの匂いすらする)、弱者の気持ちを代弁していて、客席では、お客さんが「よくぞ言ってくれた!」と拳を上げています。

トニー賞も、そういった作品を選ぶ(受け入れる)ことで、「私たちは、差別に反対します」というスタンス(トニー賞の素晴らしさ)をアピールしています。

これはトニー賞に限った話ではなくて、アカデミー賞でも同じ動きが生まれていて…

アカデミー賞の場合は、2015年、2016年と二年続けて、演技部門の候補者が全員白人だったのですが、これが「白すぎるオスカー」と大バッシング。
すぐに、アフリカ系などのマイノリティーや女性のアカデミー賞会員を増やして、「私たちは中立的な立場ですよ〜」とアピールしています。

日本にいると人種差別の問題や、ジェンダーの問題は、まだまだ遠い世界の話で、それらの問題に対して声をあげることがファッションのように切り取られてしまいますが(なんなら、同性愛者が面白キャラクターのように扱われる…)、世界では、そういった差別によって実際に人が殺されたりしているので、非常に身近な問題です。

なので、『A STARNGE LOOP』や『SIX』といった“マイノリティーの叫びを代弁してくれる作品”がお客さんからすると痛快で、社会として必要なんです。

「その作品が(あるいはそのカンパニーが)、どんなメッセージを持っているか?」が現代世界戦にとって特に重要で、逆に言うと「メッセージの無い面白い作品」は、(日本はともかく)現代世界戦はあまり求めていません。

そんな中、僕達はどんなメッセージを発信するのか?

このことについて、一昨日、演出のウィルと話したのですが、僕的には『えんとつ町のプペル』に含まれている(あるいは西野亮廣に含まれている)「挑戦しよう」というメッセージは、“日本国内向け”だと思っています。

世界には(そりゃあもう日本なんて比にならないぐらいの)ゴッリゴリの差別がありますが、しかしながら「挑戦」というのは、そこまで珍しいアクションではありません。

「挑戦者」が圧倒的マイノリティーとなるのは、「僻み」や「妬み」や「揚げ足取り」が病的に標準装備されている日本人ならではの文化で、「挑戦しよう!」は世界のマイノリティーの気持ちを代弁しているとは思えません。

というか、世界では「挑戦できない」は問題になっていないので、「挑戦しよう!」と言われてもピンとこない。

では、世界にはどんなメッセージを発信するべきか。

『えんとつ町のプペル』を世界に発信する時に抽出すべきメッセージは、「挑戦しよう!」ではなくて、「look up(見上げよう)」だと思っています。

スマホが世に出てきてからというもの、人種、性別、宗教関係なく、世界中の人々は「下を向く時間」が圧倒的に増えました。
ストレート(スマホ首)は今、世界中の人々が患っている病です。

こうなってくると『A STARNGE LOOP』や『SIX』のような「マイノリティーの代弁」ではないのですが、“世界中の人々が抱えている問題”に対して、「こうしませんか?」という提案は全然(可能性が)あると思っています。

その時に、「僕らの生活の一番高い所にあるもの(=星)の物語」は、「look up」というメッセージを届ける上では“あおつらえ向き”で、国内では「挑戦しよう!」、世界では「look up」というメッセージの切り替えが重要だと僕は考えています。

「いやいや、今日の話って、エンタメ畑の人に限った話でしょ?」と思われている方もいらっしゃるかもしれませんが、全然そんなことはなくて、サービス内容がコモディティー化した今は「人検索」になるし、間違いなく「メッセージ検索」になります。

「あなたや、あなたの会社が、どんなメッセージを届けているか?」

それ(社会利益)こそが、サービス内容がコモディティー化した現代社会に、あなたや、あなたの会社が存在する理由になるので、自分達のメッセージを見直し、届ける相手によってチューニングしていくことが大事だと思います。

現場からは以上です。

https://youtu.be/ip2U3w6b9rU
 
【追伸】

https://salon.jp/nishino」を付けて今日の記事の感想を呟いていただけたら、西野がエゴサーチで見つけ出してニヤニヤします。
宜しくお願いいたします。

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