脳内お花畑の日本人が知らない現実

投稿日:2023.04.15 / 西野亮廣エンタメ研究所

※この記事の内容は外部に発信していただいて大丈夫です。




おはようございます。
桂枝太郎という謎の落語家のイベントに出ることになったキングコング西野です。

さて。
今日は「脳内お花畑の日本人が知らない現実」という少しシビアなテーマでお話ししようと思います。

今度のクライマーズ(登壇イベント)はNFTの話をしようと思っていたのですが、ワンチャン、コッチ(の話をブラッシュアップしたもの)をお話しするかもしれません。
まぁ、そこは当日の気分で。

【クライマーズ】
https://eight-event.8card.net/eight-networking-expo2023/climbers/
 
 

最新刊『夢と金』に書いた「20代でサボったヤツは、人生を取り返せない」という耳の痛い話について
 

4月19日に出る最新刊『夢と金』は前半の方で西野が少し怒っています。
「間違ったこと(嘘)」を間違ったこととは知らずに、子供達に教えてしまっている多くの親や先生に対してです。

『夢と金』の“書き出し部分”を要約すると、「お前、大学に入ったあたりから、今の今まで、まともに勉強してねーだろ? それによって、お前に育てられる子供がどれだけツライ未来を迎えるかを今から教えてやるよ」という内容なので、たぶん、結構怒られると思います(笑)
#見城さんは絶賛してた

さて。

『夢と金』では「若い間の努力を安く見積もるな」「20代で生まれた差は一生埋まらない」ということを、理論立てて説明しています。
僕のVoicyで、この手の話を聴いたことがある人もいるでしょう。
#明日放送の毎週キングコングでも話しています

日本人に、この手の話をすると、「そんなことはない!」「挑戦は何歳からでもできる!」という脳内お花畑コメントが返ってきて、そして彼らは最後の切り札のように、「『アンパンマン』の、やなせたかしサンが成功したのは69才の時だ!」「ゴッホなんて、死んでから売れたじゃないか!」と、やなせたかし先生とゴッホをブチ込んできます。

あのお二人(偉人)は、人生をサボり倒してきた人達の最後の希望なのでしょう。

ただ、実際のお二人はどうだったのでしょうか?

「“69歳まで成功しなかった やなせたかしサン”は、じゃあ、69歳までどうやって飯を食ってたの?」
「“死ぬまで一作も絵が売れなかったゴッホ”は、じゃあ、死ぬまでどうやって飯を食ってたの?」
という疑問がありますよね?

結論から言っちゃうと、「やなせたかしサンが売れたのは69歳」というのは嘘で、「ゴッホの絵は生前、一点も売れていない」というのも嘘です。

まず、やなせたかしサンの経歴をサクッと見てみると…大学卒業後まもなく戦争に行かれています。
そして、25歳の時には、中国の福建省(だっけな?)で、陸軍の軍曹になっています。
#メチャクチャ結果を出しています

26~27歳の時(1945年)に戦争が終わり、1946年には高知新聞に入社。
『月刊高知』編集部で編集の傍ら文章、漫画、表紙絵などを手掛け、翌1947年には上京し、三越に入社し、宣伝部でグラフィックデザイナーとして活動する傍ら、精力的に漫画を描き始めます。
#サクッと三越に入っている

そして1953年には、漫画で得る収入が三越の給料を三倍ほど上回ったことで三越を退社。
漫画家として独立。
#三越の給料の三倍を漫画で

ご本人はインタビュー等で都度都度「デキの悪い人間でした」と過去を振り返り、脳内お花畑日本人はその“謙遜”を鵜呑みにしていますが、こうして経歴を見てみると、バッキバキのエリートで、バッキバキに働いています。

「“今の時代の人達が知っている成功“をした(アンパンマンを生んだ)のが69歳」というだけの話。
「69歳で打席に立てる」なんて、とんでもない成功者の証です。

やなせたかし先生に関しては「若いうちに圧倒的に努力をして、周囲と圧倒的な差を作っていた人が、晩年、更にその差を広げた」というのが正しい理解です。

じゃあ、ゴッホはどうだ?

死ぬまで一点も絵が売れなかった悲劇の画家だったのか?
「いつか報われる界」のヒーローなのか?

これについては、皆さん、「ゴッホの生活費は弟が出していた。だからゴッホは絵が売れなくても、なんとか食っていけた」という話を、どこかで少し聞いたことがあるでしょう。

兄の才能を信じた家族愛の物語のように。

これに関しては「そういう言い方をすると、そりゃそうなんだけど…」といったところで、まず、ゴッホの生活を支えていた(と言われている)弟のテオの職業は、【画商】なんです。

【画商】というのは、「絵を買って、価値をつけて、高く売る人」のことです。

そして、このテオという男がバッキバキのヤリ手の画商で、兄・ゴッホの才能に早くから目をつけ、毎月ゴッホにお金を入れるかわりに、ゴッホがその月に描いた絵は全て受け取る“画家と画商の契約関係”を結んでいます。

「ゴッホの絵をサブスクで買ってた」というイメージです。

テオは、手に入れたゴッホの絵を、すぐに売ろうとはせず、売らずに手元に残しておいて、まとまったところで個展を開催する計画を立てます。

そして、ゴッホの死(自殺)から僅か6週間後にゴッホの個展を開催して、大成功をおさめています。
“売れない無名の画家”が没後すぐに個展を開催して大成功するハズがありません。

ゴッホは生前から評価されていて、“1枚も売れなかった”わけではなくて、価値を上げるために“1枚も売らなかった”が正解です。
見方を変えると、「ゴッホの作品は初期段階から(1人の画商に)全部売れている」です。

でも、考えてみりゃそうでしょう?
「生涯売れなかった不遇の画家」にしたら、使ってる絵の具の量多くね?
画材費ハンパねぇですよ、あれ。
#あれは潤沢な予算があるクリエイターの仕事
  
 

まとめ
 

「若いうちの努力を甘く見積もるな」「20代に生まれた差は埋められないぞ」に対して、「大器晩成」と思しき有名人を引き合いに出し、「大逆転はあるじゃないか!」と反論するのは大きな間違いで、世間的に「大器晩成」とされている偉人の多くは、若い頃からエリートで、メチャクチャ行動して、メチャクチャ努力しています。

ちなみに、やなせたかし先生のお父様は上海の東亜同文書院を卒業後、上海の日本郵政に勤めた後、講談社で編集者を務め、そのあと、東京朝日新聞に引き抜かれているバッキバキのエリートです。
#スタートダッシュが決まりまくってる

チャンスや人脈やお金は複利的に増えます。
誤った期待を持たないように、このことは知っておいた方がいいと思います。

現場からは以上です。

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