ネットサービスの大きな流れ(2つ)

投稿日:2021.05.24 / 西野亮廣エンタメ研究所

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おはようございます。

「100人超体制で2週間以上捜索を続けるも見つからなかったニシキヘビが、飼い主の家の屋根裏で見つかった」というニュースを受けて、「この先、警察から追われることがあったら自宅の押し入れに隠れよう」と思っているキングコング西野です。
#外に出るから見つかるんだ

さて。

今日は、『ネットサービスの大きな流れ(2つ)』というテーマでお話ししたいと思います。
「なんとなく、時代は、こっちの方に向かってますよ〜」という内容です。

 

「大枠」の設定を誤るな

僕の仕事の進め方は極めてシンプルです。

ますは、進む方角(大枠)を決めます。

具体的な行き先は決めずに、「どうやら東よりも、西の方がアツイな」みたいな感じで歩き始めて、あとは、「徳島」に行くのか、「岡山」に行くのか、「熊本」に行くのか、そこはその時の気分と風まかせ。

「収入源は『広告費』じゃなくて、『ダイレクト課金』だな」とか、
「『完成品を売る』」じゃなくて、『過程を売る』だな」といった感じで……まずは大枠を決めて、それをどういった「手段」で実現するかは、進みながら考える。

このやり方で仕事を進めていると、つくづく思い知らされることがあります。

それは……


「『手段』の誤りは簡単に取り返しがつくけれど、『大枠』を誤っていた場合は大幅に出遅れる」ということ。
#これホントに

ダイレクト課金の軸足を「クラウドファンディング」に置くか、「オンラインサロン」に置くか、「B A S E」に置くか、「YouTubeのメンバーシップ」に置くか……そんなものは大した問題じゃないんです。

クラウドファンディングをやってみて、「なんかシックリこないな……」となったら、B A S Eに鞍替えすればいい。

ただ、

「スポンサーさんからお金をいただくことこそが正義で、お客さんから(ネットで)お金をいただくのは詐欺師!金の亡者!」というスタンスを一度とってしまうと、

マインドチェンジに時間がかかるし、マインドチェンジしたところで、今度は「批判してしまった手前…」が発生して、身動きがとれない。
#ここで大幅に遅れる

自分の想いを一切捨てて、極めてフラットな気持ちで「なんとなく、時代はこうなるだろうなぁ」と考えることが大事で、その読み(大枠の選択)の精度はベチャクチャ需要です。
#メチャクチャの最上級
#ベチャクチャ
 

そんなこんなで……今、僕が、なんとなく思っている「ネットサービスの大きな流れ」は2つ。

今日はそちらを共有したいと思います。

 

自社サイト型の「E Cサイト」って、どうなるんだっけ?

この1〜2年で「クリエイターエコノミー」という言葉を耳にするようになりました。

TwitterやFacebookなども“個人でマネタイズできる方向”に舵を切っていますよね。
 

これまでは、「概要欄にリンクを貼っているので、そこからネットショップ(E Cサイト)に飛んでください」が主流でしたが……でも、これって、どうですか?
 

たとえば、先日まで僕はVoicyで「オンライン勉強会」のチケットを売ってました。
【900円】のチケットが、【1万3000枚】売れたので、大きな売り上げです。

「Voicyで売った」と言いましたが、厳密には、Voicyの概要欄に「B A S E(ネットショップ)」のリンクを貼って、商品管理と決済は「B A S E」でおこなっています。

つまり…

【900円×1万3000個】の販売手数料はB A S Eに支払われているんですね。
 

あなたがVoicyの社長だったら、ここって見過ごします?

「Voicy内で商品を買えるようにして、これまでE Cサイトに支払われていた手数料をウチに入るようにしよう」と考えません?

プレイヤーからしても、
ライブコマース(生配信中に商品を販売する時)以外でも、

文章の合間や、動画や音声の概要欄に、わざわざリンクを貼って、別サイトに飛んでいただくよりも、
【同じ画面内で商品を買ってもらえる仕様】になっていた方が売りやすい。
 

YouTubeはそうなってますよね。

画面から一番近い場所にメンバーシップ(月額課金)のクリックボタンがあり、ついには、グッズ販売機能(グッズ紹介機能)も導入する流れになっています。
#投げ銭機能もある
 

S N Sや動画サービスや音声サービスが、サービス内に「お店機能」を埋め込む流れは不可避で、こうなってくると自社サイト型の「E Cサイト」の立ち位置が少し難しくなりそうです。

さすがに「まったく無くなる」とは思わないですが、少なくとも、これまで通りにはいかない。
 

これが何を意味するのか?

S N Sや動画サービスや音声サービスが、「お店」としても機能し始めたら、当然、「商品を持っている表現者」が強くなる。

そこそこの地殻変動が起きると思います。

……これが一つ目の流れ。
続いて、二つ目です。

 

「なるべくコストを割かない」が主流になりそう

YouTubeが一番分かりやすいと思うので、YouTubeを軸に話してみます。

YouTubeは、コロナで配信者(チャンネル)が激増したので、「パイ(再生回数)の奪い合い」は熾烈を極めています。

当然、2020年以前のようにはいかず、全員の再生回数が少しずつ落ちています。

再生回数が稼げなくなってくると、まずは「大きなチーム」からやられます。

「コロナで利用者が減った航空会社」みたいなものです。
 

会社であれば希望退職を募って、体よくリストラをして、「会社のスリム化」を進めますが、
さすがに「再生回数が落ちたから、お前、クビね」とは言いにくい。
 

そうなると、次に、「配信者が渋滞して再生回数が稼げなくなることを見越して、最初からYouTube配信にコストを割くつもりがない勢」が目立ってくる。

編集もしない、スタッフも雇わない…ひろゆきサンみたいな人です。

それと、
あと半年もすれば、「メンバーシップ(月額課金)」に全振りしている(月に2回しか稼働しない)キングコング西野なんかもYouTuberとして目立ってくる。
「目立ってくる」というか、議論の対象になってくる。

「あれ? あのやり方の方が美味しいんじゃね?」といった感じで。
この未来は100%来ます。
#キッパリ
 

そういう「コストを割かずに売上を作るYouTuber」が台頭してくると、「大勢で動画を作り込んでいるチーム」が、やりきれなくなってくると思います。

ここはメンタルの部分なのでボディーブローのように効いてきて、2021年下半期は、各YouTubeチャンネルで「一旦、運営方法を見直しましょう」が相次ぐでしょう。

※カジサックには一年前から「本気で商品開発しといた方がいいよ」と言っています。まだピンときていないみたい。
 

YouTubeは、テレビが辿った歴史を猛スピードで再現しているような印象です。
 

これからのYouTubeの潮流として「なるべくコストを割かずに運営していくには、どうすれば?」という考えがベースになってくると思います。

コストというのは「予算」だけじゃなくて、「時間」も含みます。

蜷川実花さんが、生活サイクルの中で撮っている写真をコンテンツにして、オンラインサロンを回すような。
 

これはYouTubeに限った話ではなくて、(コロナも相まって)あらゆるシーンで「なるべくコストをかけない」が主流になってきています。
 

なるべくコストをかけない競争が始まれば、僕らは、どこを目指せばいいのか?
 

答えは、「自分の型(パッケージ)を作ること」だと思います。

コストをかけなければ、当然、手抜きに見えるし、貧しく見えます。

ですが、たとえば、ベルサイユ宮殿の数千分の一の規模(予算)で作られている『千利休の茶室』は手抜きには見えないし、貧しくも見えないじゃないですか?

ステージ上には座布団一枚しかないのに、『落語』は貧しく見えないじゃないですか?

YouTubeでいうと、『THE FIRST TAKE』は手抜きに見えないじゃないですか?
 

「コストをかけない時代」は、そういった感じで「安く見えない型」を作ったもん勝ちだと思います。
逆に言うと、「型を作らずに、コストをかけない戦いをしても未来がない」という話です。
 

何かの参考になると嬉しいです。
 

現場からは以上で〜す。
 

【追伸】

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https://youtu.be/m6dP-yaadiA

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