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「意味の時代」の落とし穴

2022.08.20 / 西野亮廣エンタメ研究所


 

おはようございます。
西野のInstagram恒例の「朝のストレッチ生配信」を休んだら、Instagramのフォロワーが増えたキングコング西野です。
#ふざけるな

さて。
今日は『「意味の時代」の落とし穴』というテーマでお話ししたいと思います。
僕の失敗談です。

 

僕らが向き合わなきゃいけないものを明確にする。


3日ほど集中して『Midjourney』を触ってみた結果(皆さんとワークショップをした結果)、「AIの癖」を把握することができました。

結論から言うと、AIアートといえど…いや、AIアートだからこそ「データが少ない(データにブレがある)ジャンルの絵は、現時点では、かなりヘタクソ」ということ。

写真タッチの人物の表情は、「不気味の谷」を、まだ若干越えておらず、ポージングに関しては、ネット上に転がっている人物のポージング画像とキャプション(画像に添えられる言葉)に違いがありすぎて、AIが惑わされて、「足を組む」を判断できず、まだまだエラーも多い。

※なので、検索に引っ掛かることを目的(下心)として、『CHIMNEY TOWN 』でもないのに、『#chimneytown 』を入れるのは(AIを混乱させるだけ=chimneytownの精度を下げるだけなので)やめてね。

今のところ、「キャラクター込みの絵」を描くときは、キャラクターに背中を向かせておくのが『吉』です。

昨日の記事の通りで、「AIと人間は(現時点では)補強関係にある」という見方が正しくて、ここからは、「AIアートからヒントをもらって、プロダクト(製品)に落とし込む際の『整える部分』は、人間(プロ)の仕事」という棲み分けになってくるでしょう。

大切なのは、AI の才能を知り、「人間の仕事場」を正しく知ることです。

テクノロジーの進化によって、人間の技術が無価値化して、「ならば、人間に求められていることって何だっけ?」と考えるのは、『AIアート』に限った話ではありません。

古くは、『電卓(計算機)』が誕生したことで、「暗算」(暗算が得意)が無価値化したのもそう。

それこそ、昔は『電卓』を持ち歩くことはなかったので、買い物の時などに、まだ「暗算」めいた作業が必要でしたが、今はもう、一人が一台『電卓(スマホ)』を持ち歩いているので、「暗算」の出番がいよいよありません。
こうなってくると「暗算が得意な人」になる努力を、他のものに充てた方が良さそうです。

学校の授業もそう。

機能(情報を伝える)部分に関しては、めちゃくちゃイケてる先生(面白い塾の先生など)のオンライン授業で良くて、学校の先生はオンライン授業終わりのワークショップorディスカッションのMCにまわった方が本当はイイ。
#機能は外注した方がいい

……と言っちゃうと、学校の先生のプライドを刺激しちゃうんだけど、言ってしまったら「教科書に補填してもらっている部分を拡張する」というだけの話で、「教科書は読ませるけど、映像は見せない。もっと俺を見て!」というのは、変な話です。

オンライン学習の有用性に関してはミネルバ大学が証明しているので、抗うところ(先生のプライドを持ち込むところ)じゃありません。

学校の先生は「現場にいる」という強みにもっともっと目を向けて、前半20分は、藤原和博先生の授業や、ビリギャル坪田先生の授業や、オリラジあっちゃんの授業をオンラインで繋いで、後半20分は「どうだった? 何か質問ある人?」みたいな感じで、学校の先生が仕切って、コミュニケーションをとってくれたら最高です。

「学校の先生なんて要らない」という話ではなくて、「学校の先生ならではの仕事(学校の先生にしかできない仕事)をしてくれたら嬉しいな」という話です。

どのジャンルであれ、『機能』に関しては、テクノロジーか、『機能のチャンピオン(1位の人間)』に置き換えられるので(※日本の学校のように「子供の学び」よりも「先生の仕事(プライド)」を優先して、抗うパターンもありますが…)、やはり僕らは『人間ならではの仕事』や『意味』のようなものに、もっともっと意識を向けた方が良さそうです。

そんなこんなで、ここからが本題です。

 

スナック『Candy』の話


先日、ちょっと面白いこと(※西野の失敗未遂)があったので、共有させていただきます。

スナック『Candy』(五反田店)の話です。

スナック『Candy』(五反田店)というのは、僕が100%株主を務めている「(株)スナック」が運営している変なスナックです。

『Candy』は全国にありますが、五反田店以外は弊社ではなく、別会社が運営している(いわゆる)「名前貸し(ブランド貸し)」です。

これを言うと、いろんな経営者さんから、ものすご〜く驚かれるのですが、名前貸ししているお店から「売り上げ」は1円も受け取っていません。

ちなみに「(株)スナック」からの役員報酬も、たぶん、「0円」とか「1円」です。

利益を作りたくて始めた店(会社)じゃなくて、挑戦する人を応援するコミュニティーを熟成させる為に作った会社なので、僕的には、それで構いません。
#足長オジサンだよ

その気になって、多店舗展開すれば、「国内最大のオンラインサロン」という下地があるので、それほど苦労せずに年商3億円〜5億円にはなると思います。

そんな中、先日、CHIMNEY COFFEE代表の山邊から「スナック『Candy』(株式会社スナック)を買いたいんですけど!」」とお願いされました。

正直、僕からすると、もともと1円も受け取っていない会社だし、後輩の挑戦の後押しにもなるし、『オイシイ話』であることは間違いないのですが…なんか嫌な匂いがしたんです。

くれぐれも「山邊に対して」嫌な匂いを感じとったわけではなくて、ここでスナック『Candy』(株式会社スナック)をウン千万円〜ウン億円で売っても、良い未来が待っている気が全然しなかったんです。

最初は、山邊の申し出に対して、「なんで、今回の僕は首を縦に振らないんだっけなぁ〜」と思ったのですが、すぐに、答えが分かりました。

答えは、Candy(五反田店)の価値が『意味』そのものだからです。

誰も、あの店に、美味しい料理や、美味しい酒を求めて来てないんですね。
#失礼だろ

僕も頻繁に利用していて、夜な夜な、国内のトップクリエイターや、一流の経営者がCandyに集まっていますが、そういう人達が集まっている理由は「西野がやってる店」という“意味的価値”であって、“機能的価値”では無いんですね。

ここでは名前が言えないようなスーパースターも出入りしているのですが、そういう人達からすると「もっと静かな店」は他にあるし、「もっと美味しい店」は他にある。
なので、彼らは、Candyに『機能』を買いに来ていない。

ここで西野がオーナーから外れて、Candyが他の誰かがやっている「機能のお店」あるいは「別の意味を持つお店」になると、これまでの『意味』に反応していた人達はゴッソリいなくなります。
もしかすると、他の地域(別会社がやっている)『Candy』も、「…だったら、Candyという名前じゃなくてイイっす」と言い出すかもしれない。

すごい危ないところだったなぁと思ったわけです。

後輩の頼みなんて、いつもは「いいよ〜」と返すのですが、今回ばかりは、ちょっとイヤな匂いがして、原因を探った結果がコレでした。

これは、くれぐれも「売り上げとかじゃねえべっ!大切なのは『想い』だっぺ!」という頑固ジジイをやっているわけではなくて、むしろ、その逆。
「意味を失うと、ガッツリと売り上げが落ちちゃうじゃん」という話です。

『機能』がコモディティー化した今、「意味が大事だよね」は散々言われています。

そんな中、僕らは自身のサービスに「どう『意味』をのせていくか?」に目を向けられるようになってきましたが、『もともと持っていた意味』に関しては、少し無自覚です。

システム化する際に『意味』を手放してしまっているケースがあるかもしれません。

ここは、お互い気をつけていきましょう。

現場からは以上です。

【追伸】

https://salon.jp/nishino」を付けて今日の記事の感想を呟いていただけたら、西野がエゴサーチで見つけ出してニヤニヤします。
宜しくお願いいたします。

https://salon.jp/candy

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