新作歌舞伎『プペル ~天明の護日人間~』のラストシーンを考える

2021.10.30 投稿
西野亮廣エンタメ研究所

※この記事の内容は外部に発信していただいて大丈夫です。


おはようございます!
CHIMNEYTOWNの女性スタッフが立ち会ったコンサルのテーマが、よりによって『ラブホテルの盛り上げ方』だったキングコング西野です。
#過去の手口を全部喋ったよ

さて。
今日は「新作歌舞伎『プペル ~天明の護日人間~』のラストシーンを考える」というテーマでお話ししたいと思います。
タイトルから分かるとおり、ゴッリゴリのクリエイティブ回です。
そして「考える」なので、まだ結論ではなく、「こういう方向で進めると面白くなるかもなぁ〜」という内容です。
制作過程丸裸の「これぞ、オンラインサロン」をお届けします。

 

ラストシーンの「船」を舞台で表現するには?


「絵本」や「アニメーション」だと、早い話、そのものを“描いてしまえば”、そこに存在させることができますが「舞台」となると、そうはいきません。
「実際に再現する部分」と「お客さんの想像力に補わせる部分」があって、その塩梅が演出家の腕の見せ所です。

たとえば、えんとつ町だと「町の全貌」を舞台上にリアルサイズで存在させることはできないので、「うわぁ〜、えんとつ町だぁ〜」と“見える”ように、いろんなものをデザインしていくわけですが、今回の舞台だと、「舞台セットは抽象的(何にでも見えるように)に、小道具は具体的に」という打ち手を選んでいます。

ボロキレが垂れているセットは、そのままだと「ゴミ山」に見えますが、その前に綺麗な『机』と綺麗な『ミシン』を置けば、あら不思議、そこは「仕立て屋」に見えてきます。
こんな感じの工夫が数百個あるのが「舞台」です。

そして、『えんとつ町のプペル』の舞台化の最大の課題は、「ラストシーンの『船』をどう表現するか?」です。
難易度で言うと、「星空」を表現する方がまだマシで、「船」は本当に難しい。
「小舟」であれば、そこまで難しくはないですが、『えんとつ町のプペル』の煙の空に飛ばすのは30メートルほどの大きな船です。

こんな話をすると、「そこは大きな船を想像してもらいましょう」という意見も出るのですが、ここが舞台の面白いところで、「実際に再現する部分」と「お客さんの想像力に補わせる部分」があるのですが、お客さん側に立ってみた時に、「想像力で補いたい部分」と「実際に再現してほしい部分」があるんです。

で、「船」は、まさに「実際に再現して欲しい部分」で、僕がお客さんなら、「船はご想像にお任せします」とされてしまうと、裏切られたような気持ちになります。
「いやいや、船を舞台上に作るのが難しいのは分かるけど、そこをなんとか頑張ってよ」と。

僕のモットーは「良い意味でも、お客さんの期待を裏切ること」ではなく、「お客さんの期待を超えること」です。
皆が船を期待しているのであれば、その期待からは1ミリも逃げずに、船を出して、その上で、期待を超えます。

ファミリーミュージカル『えんとつ町のプペル』は、30メートルの船を、たしかに舞台上に存在させます。
そこから逆算して。舞台セットをデザインしました。
お楽しみに。

 

歌舞伎版の「船」は、どう表現する?


少しだけ種を明かすとミュージカル版の方が、そもそも会場の『東京キネマ倶楽部』の内装が船っぽいのもあって、それがラストシーンの「船」の助けになっているのですが、新作歌舞伎『プペル ~天明の護美人間~』は、そうはいきません。
会場である『新橋演舞場』は船にはなりませんし、「少し模様替えすれば船になるような舞台セット」は、『えんとつ町』だとできそうですが、『江戸の町』だとチョット難しそう。

「江戸の町→船」の変身をすると、「瓦屋根がある船」みたいになってしまって、それはそれで、「ああ、あそこ(屋根部分)は何ともできなかったんだなぁ」という印象を持たれてしまいます。

となると、舞台のセリ(中央の穴ぼこ)から、船を出すしか無さそうですが、セリから出せる船のサイズには、まぁまぁ限界があります。
せっかく「船」が登場したのに、それが、こじんまりとしたものだったら、一気に拍子抜けしてしまいます。

それに…

「世界に持っていく」ということを考えると、「バカでかい舞台セット」は、相性が良くありません。
「バカでかいセット」ありきで作ってしまうと、その作品は、なかなか海を超えません。

踏み込んだ話になりますが、世界展開を見越すならば、日本公演終了後の「機動力」も考えて、作品を作っていかないといけないわけですね。
#このあたりが西野っぽい

先日、『スナック西野』のゲストに来てくださった市川海老蔵さんに、「歌舞伎は、何を持って歌舞伎なのか?」という根源的な質問を投げたところ、「歌舞伎役者が出ているものが、歌舞伎です」と返ってきました。
なるほど。
となると、海外に絶対に持っていかなきゃいけないのは、「歌舞伎役者」で、海外公演は「多くの歌舞伎役者が海を渡る」という前提で、そこから逆算して舞台セットをデザインした方が良さそうです。

そんな中で、今、僕の頭の中にあるプラン(たぶん、これ、本決まりになると思う!)は、
ラストシーンの煙の空に飛ばすのは「船」じゃなくて、「巨大な(ボロキレの)鷹」がいいんじゃないかなぁと思います。

仕立て屋でプペルが縫った巨大な布を「気球」として利用して、船を飛ばすのではなくて、
仕立て屋でプペルが縫った巨大は布を「翼」として利用して、船を飛ばす。

クライマックスは、江戸の空に、翼がボロキレで縫われた「バケモノ鷹」を飛ばして、その鷹の背に、海老蔵さん親子を乗せる。
新橋演舞場の舞台ギリギリまで広がった巨大な両翼をヴァッサ〜ヴァッサ〜と動かして、世界中のエンタメファンを圧倒する計画です。

勝負所は「鷹の翼の動き」の再現度だと思っていて、そこを「機構(マシーン)」でやってしまうと、リアル感に欠けてしまうので、ルビッチの叫びにほだされた町の人達が、一人、また一人…と『鷹の羽』になっていき(大きなツギハギ布)を手にして、歌舞伎役者数十人がかりでマスゲームのように『バケモノ鷹の翼』を作る。

僕の頭の中には、舞台上のイメージと、世界のエンタメファンを圧倒させるイメージはすでにできていて、美術の佐藤中一さんに、「すみません。ラストシーンは『船』じゃなくて、超巨大な『バケモノ鷹』でいこうと思うんですけど」と言ったところ、笑っておられたので、たぶん、いけると思います(笑)。

圧倒します。
現場からは以上でーす。

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