おはようございます。
よくよく考えたら、「なんで美術館とか作ってんだよ」と思ったので、よくよく考えるのを辞めることにしたキングコング西野です。
さて。
今日は「『すべてに意味があった』と思った話」をさせていただきます。
現在、伊豆大島に建設を予定している『AKIHIRO NISHINO MUSEUM(泊まれる美術館)』のお話です。
五感を立てる
家から会社までの道のりに、それほど差は無いし、
食卓に並ぶ料理にも、それほど差は無いし、
SNSのタイムラインに流れてくるネタにも、それほど差はありません。
皆の前には、だいたい同じような情報が流れているのに、情報の捉え方(情報を見る目)の違いで、天と地ほどの差が生まれてしまいます。
耳にしてもそうか。
初めてイベントを主催する人は、とにかく耳が起きていません。
たとえば講演会で、登壇者が最後の挨拶を済ませたら(頭を下げたら)、間髪入れずに退場の曲を流した方がいいのですが、数十秒の無音を作った後、ヤンワリと曲を流し始めたりする。
その無音が満足度を下げる不協和音であることも分かっていないどころか、無音であることに気づいていないし、自分がお客さんとして参加したプロのイベントが、そこのケアが行き届いていることにも気づいていない。
ただボーッとイベントに参加して、ボーッと見て、ボーッと家に帰って来ちゃう。
「あの高揚感を生んでいた要因は何なのか?」という答えを探すこともしない。
間違っていてもいいんだけれど、仮説を立てることが大切で、検証できたら尚良し。
話が少し脱線してしまうのですが、僕は「差し入れ」が大嫌いで、理由は「手荷物になるから」なのですが、もうちょっと言うと、「道路脇に見つけた木や花の咲き方に疑問を持っても手で調べられなくなるから」です。
僕にとっては「手が塞がれる」というのは、「目や耳を潰される」ぐらいの痛みがあるのですが、おそらくボーッと生きている人(情報を素通りしてしまう人)は、手を使った仮説&検証をする機会が少ないから、“手を使う人”のことが想像できない。
たとえばホラ、子供の頃、やたら道路脇の縁石や、ちょっとした塀の上を歩いて、親から注意されませんでした?
注意されても、また登ったでしょ?
多くの大人はあれを「子供は高いところが好き」という片付け方をしていると思うのですが、最近、いつも通っている道の脇にあるちょっとした高い場所(たとえばガードレールのポールの上)に立ちました?
「子供って、なんで、高いところに登るんだろ?」と思ったら、とりあえず、自分も登ってみるんです。
登ってみると分かるのですが、高さに興奮しているのではなくて、視点が変わるから、いつも見ていた世界が僅か1秒で全て変わってしまうんです。
ここから、「縁石に登る子供は別世界にトリップすることに興奮を覚えている」という仮説を立てることができます。
あとは、別のシチュエーションで、別世界にトリップできる装置を作って、ひたすら検証。
「どうやら、この仮説は合っているぞ」となれば、そのまま自分達のサービス(僕の場合ならイベント空間)に落とし込みます。
話がそこまで繋がっているので、手荷物を持たされると、シンプルに会社の売上が下がるんです。だから差し入れが嫌いです。
おもわずメモをとった“なるほど”ビジネス
さて。
そんな感じで、常に五感を立てながら、情報を飲み込んでいるわけですが、最近、面白いネタを見つけました。
有明にある『中国ビザ申請センター』に落ちていたネタなのですが、先日、中国のVISAを取りに行ったんです。
ホームページには「当日、持ってきていただく物」という欄があって、全ての項目にチェックを入れ、全て忘れずに持っていったんです。
ところが窓口に行くと、「当日、持ってきていただく物」の欄には無かった『eチケットの写し(コピー)』と『ホテル予約の写し(コピー)』を出すように言われるんです。
そんなの聞いてないじゃないですか?
また、日を改めて来る時間の余裕も僕にはありません。
「いきなり『コピー』が必要と言われても…」と頭を抱えて、ふと横を見ると、『有料のコピー機』があるんです。
そして、そのコピー機の前は長蛇の列(笑)
「やりやがったな、中国」と笑いました(笑)
#メチャクチャ褒め言葉です
そこは毎日「長蛇の列」なわけですから、『中国ビザ申請センター』からすると、「当日、持ってきていただく物」の欄に、『eチケットの写し(コピー)』と『ホテル予約の写し(コピー)』を書いておけばいいじゃないですか?
でも書かない。
何故なら、書いたら売上が下がるから。
憎いけど、面白いし、「これがビジネスだよなぁ」とソッコーでメモりました。
あの列に並んだ人の中で、「このネタを自社サービスに取り込んでやろう」と考えた人は、どれぐらいいるんだろう?
#あんまりいない気がする
五感を立て、ネタを拾ったら、パクる
そんなこんなで、最後に『AKIHIRO NISHINO MUSEUM』の話です。
先日、『AKIHIRO NISHINO MUSEUM』の建築チームと合宿をしたのですが、そこで、この『中国ビザ申請センター』の話をしたんです。
その時、一人のスタッフさんから「私も先日、家族で『ジップライン』を体験したのですが、入り口で『手袋はお持ちですか?』と言われたんです」という話が返ってきました。
ジップラインを体験するには手袋が必要で、お持ちでない人は「有料のレンタル手袋」に泣きつくしかないそうです。
家族旅行に手袋を持っていくヤツがどこの世界にいるんだよ(笑)
これも、『中国ビザ申請センター』のコピー機と同じで、「ここまで来ちゃったんだから、もう、200円ぐらい出すわビジネス」です。
フザけたビジネスですが、チリツモで、バカにはできなさそうです。
そして「これを美術館でも採用しよう」となったわけですね。
僕らが出した答えは、「美術館は『全館土足厳禁』(まぁ、ホテルだし、飛行機の下で寝そべったりしたいし)。もちろん、裸足や靴下で歩き回っていただいても構いませんが、ちなみに、AKIHIRO NISHINO MUSEUMのオリジナルスリッパをエントランスで販売しとります」です。
「美術館」や「ホテル」とか言いながら、まさかまさかの「スリッパで生計を立てる」というフザけた設計です。
こうして考えると、目の前に流れてくる全ての情報には意味があって、それを活かすも殺すも自分次第(いかに五感を立てているか?)だなぁとあらためて思いました。
美術館の中身の話は、またあらためて、ゆっくりさせていただきます。
現場からは以上です。
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