失敗しない講演会の作り方

投稿日:2019.05.01 / 西野亮廣エンタメ研究所

※この記事の内容は外部に発信していただいて大丈夫です。


おはようございます。

「芸人」や「絵本作家」をやっとりますが、よくよく考えたら、イベントを作らせたら、国内トップクラスの男です。

あ、キングコング西野です。

さて。

昨日は群馬で講演会がありました。

プロのイベンターではなく、一般の方が主催する講演会です。

呼んでいただいてありがたいですし、こうして一般の方が声をあげるのは本当に素晴らしいことだと思います。

ただ、当然、イベントの改善点は山ほどあって、今後、他の方をお呼びする機会もあるかもしれないので、「講演会を主催する時はこうした方がいいよー」という話をさせていただきたいと思います。

誰かを責めるつもりは微塵もなく、イベント運営の注意点を皆で共有して、皆のレベルを上げることが目的です。

少しお付き合いください。

 

『失敗しない講演会の作り方』

最近、「俺はホリエモンをイベントに呼んだことがある!」「僕は落合陽一をイベントに呼んだことがある!」「僕は幻冬舎の箕輪さんをイベントに呼んだことがある!」…と、ポケモンを集めるかのように起業家をイベントに呼んで、自分の経歴に加える方をよく目にします。

そんな中、「イベントに呼ぶことがゴールになってしまっていて、肝心のイベント内容がボロボロ」という事故が多発しております。

そこで今日は、毎度、とんでもねークオリティーのイベントを提供し続けているキングコング西野亮廣こと「性欲オバケ」が、『失敗しない講演会の作り方』についてお話ししたいと思います。

今後、講演会を主催しようかなぁと思われている方は参考にしてください。
 

その① 素人主催者は『大きな会場』を選ぶな!

イベントを主催するとなると、素人主催者は途端に勇者モードに入り、「1000席の会場を、俺は埋める!」と大風呂敷を広げます。

ルフィーみたいでカッコイイですね。

ただ、それをしてしまうと、結局、本番当日まで集客活動に追われ、肝心の内容の方に頭と手がまわりません。

そして、ヒドイ場合は、空席をたくさん作ってしまって、「このイベントはあんまり盛り上がっていないんだな」「この出演者はあんまり人気がないんだな」という印象をお客さんに植えつけてしまいます。

空席だらけのイベントのツライところは、「お客さんが安心してリアクションがとれない」点にあります。

「笑いどころで、私だけ笑ってしまって、変に目立ったら嫌だから、笑うのは我慢しよう」といった感じです。

その地獄的な状況を作り出したのは、その会場を選んだ「主催者」です。

講演会をはじめて主催する時は200~300席。メチャクチャ背伸びしても500席までの会場を選びましょう。

1000席以上の会場は本当にやめておいた方がいいです。

 

その② いやマジで『大きな会場』を選ぶな!

もう一度言いますが、素人主催者は勇者モードに入り、「オラは1000席は埋めっぞ!ワクワクすっぞ!」とか言い出して、大きな会場を選びがちです。

悟空みたいでカッコイイですね。

ただ、結論からいうと、素人が『大きな会場』を転がすのは無理です。

理由は音響です。

大きな会場というのはマイクの音が反響してボワンボワンなっちゃうのですが、普段、自分がお客さんとして参加している“プロが手掛けるイベント”で、ボワンボワンなっている場面に直面したことがないので、素人主催者は想像(想定)ができていません。

プロのイベントには熟練の「音響さん」という人がいて、最後列まで鮮明に音が届くように、専用の機材を持ち込み、何時間もかけて、音を整えています。

これは漫才師であろうが、ミュージシャンであろうが、講演家であろうが、音の響きが悪いと、リズムが狂い、いつものパフォーマンスができません。

ぶっちゃけていうと、僕たちプロは、プロのクセに、音の響きが悪いと若干機嫌が悪くなります。

マイクのスピーカーは、客席に向けたものと、ステージに立つ出演者に向けたものと二つあって、出演者に向けたスピーカーから出る音のボリューム調整も一つ間違うと、出演者は音を外したり、リズムが狂ったり、酷い場合は喉を潰してしまったりします。

イベントの音響は本当に繊細で、小さな会場だとそこまで影響は出ませんが、大きな会場になってくると、かなりのダメージが出ます。

なので、素人だけでイベントを主催する場合は大きな会場は避けましょう。

『屋外イベント』なんて、もってのほかです。

 

その③ 開場時・登場時・講演終わりは音楽を流せ

開場時に曲を長し続けて、出演者が出る時は別の曲に乗り換えて、ボリュームを上げて、出演者をステージに送り出しましょう。

曲の乗り換え(音響機材の取り扱い)に慣れていないのなら、曲は乗り換えなくていいので、開場時に流している曲をそのまま使って、ボリュームを上げて「いよいよ始まりますよ感」を出しましょう。

出演者がステージ中央に到着したら、曲を落としましょう。

この際、ブチンッ!と一気に切るのではなく、ある程度のスピードでボリュームを落としていきましょう。

そして、出演者の話が終われば、間髪入れずに退場曲を流しましょう。

この曲はお客さんが全員会場の外に出きるまで流し続けましょう。

ココを押さえるだけで、イベントの満足度は大きく変わります。

 

その④ 余計なことをするな!

素人主催者は、手伝ってくれる友達もこぞって素人なものですから、お友達同士の会議で「逆に、こんな演出、面白くな~い?」「こんな斬新な登場、よくな~い?」と盛り上がってしまいがちです。

素人による斬新な演出は、マジで地獄を見るからやめた方がいいです。

そもそも、世の中に何故その演出が無いのかを考えた方がいいです。

答えは「誰かが試したんだけど、地獄を見たから」です。

もう、淘汰されたんです。

お客さんがお金と時間を払って見に来ているのは、素人主催者の素人演出ではなくて、出演者なので、そこは見誤ってはいけません。

 

その⑤ すべての責任が出演者に向くことを自覚しろ!

最後にこれだけ。

主催者にしてみると「ホリエモンをゲストに呼んだイベント」かもしれませんが、お客さんからすると「ホリエモンのイベント」です。

なので、会場選びの失敗や、音響の不備や、謎の演出の責任は、すべてホリエモンにいってしまいます。

主催者が失敗すると、お客さんの中に残るのは、「ホリエモンのイベントに行ったけど、酷かった」という感想です。

「ブランド(名前)を借りる」というのは、それだけの責任が伴っていることを自覚しましょう。

現場からは以上でーす。

 

昨日の群馬講演の様子。

客席の電気は落した方がいいよ。

 

昨日の群馬公演は2000人収容の会場。

これは相当の音響機材と、プロがいないと大変なことになる。

 


昨日の群馬公演の音響機材。

これはスナックに置くレベルのやつ。

 


昨日は「客席の真ん中を通って退場する」という演出があった。

退場時に音楽は流れない。

無音のまま、静かに客席の真ん中を通って帰った。

今後、こういうことはやらない方がいいよ。
(※怒っているわけじゃないよ。今後の話ね!)

 


講演会終わり。

サロンメンバーとの呑み会。

 

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