今の僕の頭の中にある物語

投稿日:2019.08.23 / 西野亮廣エンタメ研究所

※この記事の内容は外部に発信していただいて大丈夫です。


おはようございます。

社長をヤン君に任せることを決めて、クリエイターに専念することを決めた途端に、「あんなヤツとは仕事しない!」「ムカつく!帰る!」と、タガが外れたようにワガママ糞人間になってしまったキングコング西野です。

さて。

クリエイターに専念することを決めた記念に、今日は、今の僕の頭の中にある物語を皆様に共有したいと思います。

2021年に出そうかなぁと思っている絵本の構想(プロット)です。

ご存知の方も多いかもしれませんが、絵本『えんとつ町のプペル』(40万部突破)は、映画『えんとつ町のプペル』の“チラシ”で、『えんとつ町のプペル』という物語の一部しか描いていないどころか、そもそも主人公すら登場していません。

『えんとつ町のプペル』の主人公は、煙突掃除屋の少年の父親の「ブルーノ」です。

(※こちらは映画のプロローグ)
https://gamp.ameblo.jp/nishino-akihiro/entry-12392720861.html

ザックリ説明すると、映画『えんとつ町のプペル』は………
えんとつ町の秘密を知るお喋りモグラが酔っ払った勢いで『星』の話を「ブルーノ」に喋ってしまい、その話を真に受けたブルーノが船をこしらえて海に出て、『星』を見つけ、煙の上に本当にあった『星』のことを町の皆に伝えようとするわけですが、その想いは志半ばで途絶えてしまい、その父の想いを継いだ息子と息子の友達のゴミ人間が『星』を見に行くことを企てるのだが……といった「あらすじ」になっております。

(※映画のストーリーは昨日の仙台の講演会で1時間半かけてお話ししましたが、西野亮廣中の才能を全てブチ込んだストーリーとなっておりますので、お楽しみに!)

さて、この「あらすじ」で、ひっかかるのは「酔っ払ったモグラの話を真に受ける?」という点です。

監視の目をくぐって海に出るのは、命懸けのアクションなのですが、お喋りモグラの与太話だけでは、ここまでの行動は起こせません。

ここで必要なのは、「ブルーノが『本当に煙の上に星があるかも!』と思ってしまう理由」ですね。

この「理由」を作らないことには、『えんとつ町のプペル』という物語に厚みが生まれません。

実は『えんとつ町』の物語は“現段階”で…

①絵本『えんとつ町~ドラゴンハンターの大罪~』(2021年発売)

②絵本『えんとつ町~魔法のバスと不思議な世界~』(2022年発売)

③絵本『えんとつ町のプペル』(2016年発売)

④絵本『えんとつ町~モンスターの贈り物~』(2020年発売)

…の【4部構成】となっておりまして(※タイトルはすべて『仮』です)、これから皆様にお話しするのは2021年に発売予定の『えんとつ町~ドラゴンハンターの大罪~』で、この物語こそがブルーノが「煙の上に星があるかも」と思ってしまった「理由」です。


「えんとつ町は煙突だらけ。

そこかしこから煙があがり、頭の上はモックモク。

朝から晩まで、黒い煙でモックモク。

えんとつ町に住む人は、

青い空を知りやしない。

輝く星を知りやしない。

見上げることを知りやしない……」

絵本『えんとつ町~ドラゴンハンターの大罪~』は、こんな語りから始まります。

舞台は『えんとつ町』。

時代は『えんとつ町のプペル』の30年前。

主人公は…ブルーノ少年です。

ゴンドラも開通して、交通の便も良くなった「えんとつ町」。

食事の配給の漏れも無く、あらゆるモノが揃い、目立った不自由などありません。

ところが、町の住人達はどこか浮かない顔。

一体、この町には何が足りないのでしょうか?

(※勘の良い方はお気づきだと思いますが、えんとつ町のモデルは“今の日本”です)

えんとつ町では大雨の日になると、煙の中から「ゴロゴロ」という音が聞こえ、時々、煙の中から「光の柱」が地面に落ちます。

皆さん、ご存知の『雷』ですね。

ところが、空を知らない町は『雷』の正体も知らず、「あれは何だろう?」といった調子です。

ある大雨の日に、光の柱が落ちた場所が火事になりました。

まもなく、やって来たのは大きな鞄を背負った奇妙な男。

ブルーノ少年は、その男を目で追います。

男は火の中にズンズン入っていき、しばらくすると、火の中から大きな大きな「ウロコ」を持って出てきます。

ブルーノ少年が「それは何だ?」と訪ねると、男は答えました。

「これは『竜のウロコ』だ」

この町に降る大雨は、あの煙の中にいる『竜』というバケモノの仕業で、竜は「ゴロゴロ」と鳴き、ときどき、こうして地上に降りてくる……と男は言います。

男は、竜が地上に降りてきた時に剥がれ落ちる『竜のウロコ』を集めているドラゴンハンターでした。

『竜のウロコ』は一枚40~50㎝ほど。

どうやら、『竜』というのは、とんでもなく巨大なバケモノです。

町の人は勿論のこと、ブルーノ少年はドラゴンハンターに興味深々。
ブルーノ少年が、ハンターの家について行くと、家の中は『竜のウロコ』がたくさん。

『竜の牙』もあれば、ハンターが見た『竜のイラスト』もあります。

ドラゴンハンターが現れたその日から、えんとつ町では『竜ブーム』がおこり、大雨の日には、ブルーノ少年もハンターと一緒になって『竜のウロコ』を探しました。

雨が降らない日もブルーノ少年は、町の空を覆う煙を見上げ、『竜』を探し、そしてある時、煙の切れ間から「キラリと光る何か」を見つけたのです。

ハンターに聞けば、それは『竜の涙』だという。

ブルーノ少年の“竜熱”はどんどん上がるわけですが、ある時、あのドラゴンハンターが『竜のウロコ』を作っている現場が町の人達に見つかってしまいます。

『竜』というバケモノなんて存在しなくて、全てはドラゴンハンターによる作り話だということが発覚しちゃったわけですね。

ドラゴンハンターは町中から猛バッシングに遭います。

ブルーノ少年が気になったのは、「そもそも、なぜ、そんな嘘をついたのか?」

ブルーノ少年が、そっくりそのままハンターに質問をぶつけると、ハンターは、こう答えました。

「上を見て欲しかったから」

えんとつ町の住人は朝から晩まで下を見て生活をしてます。

この町に足りていないのは「見上げること」で、ドラゴンハンターは『竜』という大嘘をつくことで、町の皆に上を向かせたわけですね。

(※このドラゴンハンターのモデルは空前のUFOブームを作った矢追純一さんです)

「煙の中には何もない」と本当のことを言っても人は見上げません。
「漫画『はじめの一歩』に勇気をもらって、頑張れた」というような、『嘘でしか向けられない顔の角度』というものがあって、ドラゴンハンターがやった仕事こそが、僕たちクリエイターのお仕事です。

絵本『ドラゴンハンター』は、鬱屈した時代に夢を語ったクリエイターの物語です。

結局、えんとつ町には『竜』などいなかったのですが、となってくるとブルーノ少年の中に一つの疑問が残ります。

「だったら、あの日見た『キラリと光る何か』は、いったい何だったんだ?」
…ここから『えんとつ町のプペル』に繋がるわけですね(*^^*)

よくスタッフさん達には「スターウォーズを作るんですよ」と言っていますが(※あんなの7日で書ける)、ごらんの通り『えんとつ町』は、とんでもなく長い物語で、すべてを形にするのには何年もかかります。

もし僕が事故や病気で死んじゃったら、どなたか代わりにこの物語を形にしてください。

突然死が無いかぎりは僕が責任をもって形にします。

こんな調子で今日も天才やってます。

現場からは以上でーす。

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