全員参加をデザインする

投稿日:2022.09.13 / 西野亮廣エンタメ研究所

※この記事の内容は外部に発信していただいて大丈夫です。



おはようございます。
友人からの審査員の仕事の依頼(ボランティア)を受けたのですが、「審査時間が6時間で、事前に目を通さなきゃいけない動画資料が3時間」ということを知り、現在、大仏みたいな表情をしているキングコング西野です。

さて。
今日は『全員参加をデザインする』というテーマでお話ししたいと思います。
リーダーの立ち振舞いについての話です。

 

「線路」を敷くか、「ガードレール」を作るか?


昨日はDAOについてお話しさせていただきました。
何度説明しても「自律分散型組織=リーダーのいない組織」と翻訳してしまう人がいるので、「じゃあ、一回やってみて」と丸投げした結果についてアレコレと。

結論、リーダーがいなかったら、会議の為の会議が延々と繰り返されるだけで、世の中がワクワクするようなことは何も進みませんでした。
そんなことは小学生の頃から分かりきっていたことなので、とくに驚きもしませんし、「そのことをちゃんと共有できて良かった」といった感じです。

とはいえ、「リーダーがいたらDAOじゃないじゃーん勢」が世の中にはまだまだいるし、DAOの認知度からすると、これからも生まれ続けるので、「『リーダー』というものを、こういう風に捉えておくといいよ」的な話をしたいと思います。

まず、リーダーには3つのタイプが存在します。

①待ち合わせ場所になるリーダー
②線路を敷くリーダー
③ガードレールを作るリーダー  

①は極楽とんぼの山本さんみたいな人のことです。
優秀で、個性の強い者同士だと、ついついぶつかっちゃうのですが、山本さんを真ん中に置く(祀る)ことで、才能や個性の矢印が山本さんに向かい、無駄な削り合いが生まれず上手くまわります。

ロンブーの淳さんも、ココリコ遠藤さんと二人だったら方向性の違いが生まれたりすることもあるかもしれないけれど、ココリコ遠藤さんとの共通項である「山本さんを面白がる」で繋がると衝突が起きない。

待ち合わせ場所になるリーダーというのは才能で、「ホームレス小谷」なんかもそれに該当します。

今日の話はどっちかというと、①ではなくて、「②線路を敷くリーダー」と「③ガードレールを作るリーダー」の話。

この二つを混同させちゃいけません。

「リーダーがいたらDAOじゃないじゃないか!」という人がイメージしているリーダーは、おそらく「②線路を敷くリーダー」のことでしょう。

多くのチーム(企業)のリーダーが②なので、そうイメージしてしまうのも無理ありません。
学校の先生も、まだまだ②が多い印象です。

たしかに、走る場所を決められてしまうと(やることを決められてしまう)と、「自律」でも「自立」でも何でもありません。
ただの「労働」です。

おっしゃるとおり、これだと「DAO」ではありません。

僕が「DAOにはリーダーが必要だ」と言っているリーダーは、それではなく、「③ガードレールを作るリーダー」です。

これはBBQ型のサービスを提供するリーダー(あるいは現場スタッフ)の基本姿勢でもあります。

③がやらなきゃいけないことは、おおよその方向を示すことであり、「道幅を決めること」です。

「ここから外れると、皆がバラバラになるし、崖から落ちちゃうので、この幅の中で自由にやってください」という。

「サーキットは作るけど、そこをどう走るかは任せる」といったところでしょうか。
サーキットが無いと、ドライバーや技術屋の試行錯誤を向ける先が定まらないんですね。

「このスピードでカーブに入った方がいいんじゃね?」や、「リアウイングをもうチョイ立てて、風の力で車体を地面に押しつけた方がいいんじゃね?」という試行錯誤(コミュニケーション)は、サーキットがあるから生まれるわけで、「皆さん、好きな車を作って、好きな道を走ってくださーい」ではその会話は生まれない。

どのように設計すれば、同時多発的に建設的な会話が生まれるのか?
それを考えるのが③の仕事です。

なので、「リーダーがいる」ということと、「自分達のことは自分達で考える」は、③の場合においては相反関係にはありません。

「リーダーはいるけど、自分達で考えて動く」は③のコミュニティーにおいては全然ありえます。

先日、チムニータウンDAOの担当のザッキーには「完全な丸投げをするな。それだと何も始まらないぞ」という話をしました。

たとえば、絵本の表紙を作るときは、まずはコッチでAパターンとBパターンを作ってしまう。

そして、「AとB、どっちがいいっすかね?」と皆に聞く。
全員に聞いて、最後は多数決ではなく、リーダーが決める。

これだとプロジェクトは前に進みますし、皆も参加できるし、「なるほど。こういう時はアッチが選ばれるんだな」と勉強し、成長する。

これを「絵本の表紙を作りたいです。みんなアイデアくださーい」としてしまうと、試行錯誤の矢印が分散するので、来来来世まで何も決まらない。

ちなみに、昨日、次のNFTのキャラクター(凹んだヤカン)の名前をDAOのメンバーに考えてもらいました。

ザッとこんな名前があがってきました↓

『PECKOLN』(ペッコるん)
『PECOL』(ペコる)
『HEKONDOLE』(ヘコンドル)
『KETTLEN 』
『YAKAN』(やかん)
『NanYa・Kahn』(ナンヤ・カーン)
『PECKOYAKAN』(ペコヤカン)
『KAKETORU』(欠けとる:KA-Kettle)
『Peccolino』(ペッコリーノ)
『PECOPACON』(ペコパコン)
『KETTLUN』(けとるん)
『PECON』(ペコン)
『HEKOYAKAN』(ヘコヤカン)
『POCON』(ポコン)
『DECOBOCOTTI』(デコボコッティ)
『KERARETOLE』(ケラレトル)
『Ketty』(ケッティー)
『BOCCO』(ボッコ)
『YA-GAN』(ヤーガン)
『Jacopo』(ヤコポ)
『Hechorosa』(ヘコローザ)
『bouilloire』(ブイヨワール)
『PEKOJAR』(ペコジャー)
『YAYA-YAKAN』(ややヤカン)
『Akan』(アカン)
『TAKEYAKAN NAOTO 』(タケヤカン ナオト)
『PECOYAN』(ぺこやん)
『hekon』(ヘコン)
『OTOTTUAN』(おとっつぁん)
『BOCON』 (ぼっこん)
『wakanboya』(沸かんボーヤ。)
『HECONDOLNE』ヘコンドルネ
『WACKY』(沸っきー)

#ヘコンドルww
#ワロタ

…これらの名前のガードレールとなったのは、一つ前のキャラクターの『パックリーノ』(靴の先っちょがパックリ割れたモンスター)であり、『ガブリエル』(ガブリと齧られたリンゴのモンスター)でしょう。

彼らの名前が「今回のゴミシリーズのネーミングの方向性はコッチ(この範囲)ですよ」と教えてくれている。
#ガードレールになっている

これを、一発目から「名前何にしましょう? DAOなんで、皆で考えてください」としていたら、まるで決まらない。

くれぐれもこれは、「②線路を敷くリーダー」がダメで、「③ガードレールを作るリーダー」が素晴らしい…という話ではありません。

「コミュニティーによって求められるリーダーが違う」という話と、「自律分散型組織であろうと、BBQであろうと、リーダーは必要だよ」という話です。

現場からは以上です。

【追伸】

https://salon.jp/nishino」を付けて今日の記事の感想を呟いていただけたら、西野がエゴサーチで見つけ出してニヤニヤします。
宜しくお願いいたします。

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